辻仁成『永遠者』

新刊・近刊情報

辻仁成『永遠者』データ

2012年10月12日 文藝春秋 1680円

ISBN:9784163817002

本書の舞台は1899年12月のパリ。万国博覧会開催を目前にして、公使館はフランス国内の情報収集・緊張関係が続くロシアの情報収集などに追われていた。若き日本人外交官ザマ・コウヤは、連日公使館に送られてくる電信の解読にあたっていた。ある日訪れたダンスホールで、どこか風変わりな踊り子にひかれるようになり、次第に親しくなっていく。カミーユと名乗る彼女は「サムライの子孫」であり「本物の日本刀」を持っているコウヤに強く興味をもち、やがて二人は時間も忘れて求め合うようになる。心も体もカミーユに囚われ、日本で待つ許婚マキエとは別れて結婚したいというコウヤに、カミーユは出生の秘密ー1730年生まれのヴァンパイヤであり、一族の儀式を通過しなければ一緒にはなれない、と告げる。ある夏の晩、赤い蝋燭が並べられた祭壇で祈祷師による儀式を受けたコウヤは、カミーユと同じ永遠者ー人間の生き血を吸って不死者となって生き続ける運命となった。
20世紀が幕を開け、帰国することになったコウヤに、カミーユは自分の部屋のカギとペンダントを渡す。「いつかまた会う日まで」月日は流れ、第二部の舞台は第二次大戦末期の東京。入院中の妻マキエを見舞うコウヤを、病院関係者はみな「息子」と思っていた。そう、カミーユと別れて45年近い歳月が流れたが、コウヤは若者のままだった――。
時空を超えて壮大に繰り広げられるコウヤの愛と冒険の物語。暴力と殺戮が繰り返される残酷な世紀を二人の究極の愛はどう乗り切るのか。二人の永遠者が再び会う日はくるのか。著者が「近年書いた小説の中で最も力を注いだ、総括的作品」と明言する力作です。

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