現代文学100字レビュー

小説もエッセイも紀行も、作家別に100字の書評と五段階評価でおすすめを案内します。プロフィール、初めて手に取るべき本などのガイドもあります。

最近読んだ5冊

イッセー尾形『とりあえずの愛』

表紙

発行
2001年6月 朝日新聞社 281頁 1680円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
百番目の湖 / 山田太郎がやって来た / 花とカルピスの君 (ほか)
所要
2時間40分
評価
★★★★

短編小説集。「百番目の湖」の完成度にはびっくりした。夜の湖で泳ぐ女、などある種の形式に従順ながらもイメージ喚起力は良質。「なにげない日常」でも「不条理」でもなくて小説として正統派なものも書けるのかと。

白石一文『草にすわる』

表紙

発行
2003年8月 光文社 197頁 1365円 購入
発行
2006年6月 光文社文庫(1編を追加) 270頁 540円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
草にすわる / 砂の城
所要
2時間20分
評価
★★★

表題作では心中未遂の果てに、「砂の城」では血族の連鎖の先に、生きることの意味を見出す、のだが、心の動きを書き込まない作風ゆえにか伝わりにくいかも。想像力で補う元気があれば一緒に覚醒できるかもしれない。

東直子『さようなら窓』

表紙

発行
2008年3月 マガジンハウス 221頁 1575円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
青鬼 / カブ / お春さん (ほか)
所要
1時間20分
評価
★★★

初の長編。名歌「さようなら窓さようならポチ買い物にゆけて楽しかったことなど」から膨らませた恋愛小説だから、この短歌だけで泣ける人はぜひ。幼さと切なさと心細さと、二人で過ごした思い出の詰まるこの部屋で。

丸山健二『夏の流れ』

表紙

発行
1967年7月 文藝春秋 220頁 絶版 購入
発行
1973年7月 講談社文庫(『正午なり』と合本、『夏の流れ・正午なり』として) 373頁 絶版 購入
発行
2005年2月 講談社文芸文庫(一部の作品を入れ替え『夏の流れ―丸山健二初期作品集』として) 297頁 1313円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
夏の流れ / 雪間 / その日は船で
所要
1時間40分
評価
★★★

刑務官と死刑囚の「現場」をストイックな文体で描いたデビュー作にして芥川賞受賞作たる表題作をはじめ、初期の短編を収録。近年の作品に比べると感情移入しやすく読みやすくて、でも執行の場面の緊張感はすごいね。

丸山健二『正午なり まひるなり

表紙

発行
1968年8月 文藝春秋 229頁 絶版 購入
発行
1973年7月 講談社文庫(『夏の流れ』と合本、『夏の流れ・正午なり』として) 373頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
正午なり
所要
1時間50分
評価
★★★

都会での暮らしに敗れ、郷里へ引き返した青年の悶々とした生活を描く長編。人との関係性が苦手で自室でできる仕事を探したり軽く引きこもり。性的な恐れみたいなものは示唆されながらも、終章の性急さにはやや焦る。

書評数1500冊以上。作家数120人くらい。そんな読書家じゃないので年に100冊くらいのペースでゆっくり増えていきます。

もうすぐ読む本(積読本)

  • 青山真治『ホテル・クロニクルズ』
  • 池上永一『バガージマヌパナス』『レキオス』
  • 池澤夏樹『沖縄式風力発言』『キップをなくして』
  • 井沢元彦『逆説の日本史11』
  • 大江健三郎『燃えあがる緑の木』
  • 岡崎祥久『昨日この世界で』
  • 角田光代『ピンク・バス』『あしたはうんと遠くへいこう』
  • 川上弘美『真鶴』『古道具 中野商店』
  • 鴻上尚史『SAY-SHO』『僕たちの好きだった革命』
  • 西原理恵子『ああ息子』
  • 佐藤友哉『子供たち怒る怒る怒る』
  • 椎名誠『絵本たんけん隊』『まわれ映写機』『大漁旗ぶるぶる乱風編』『全日本食えば食える図鑑』
  • 重松清『トワイライト』
  • 篠原一『アイリーン』
  • 柴田元幸『バレンタイン』
  • 島田雅彦『郊外の食卓』
  • 田口ランディ『ハーモニーの幸せ』
  • 長嶋有『ジャージの二人』
  • 中村航『夏休み』
  • 中原昌也『KKKベストセラー』『サクセスの秘密』
  • 花村萬月『幸荘物語』
  • 古川日出男『サマーバケーションEP』『僕たちは歩かない』
  • 星野智幸『植物診断室』『われら猫の子』
  • 松浦寿輝『あやめ 鰈 ひかがみ』
  • 宮本輝『月光の東』
  • 目取真俊『沖縄「戦後」ゼロ年』
  • 山川健一『新選組、敗れざる武士達』
  • 吉田修一『ひなた』

もうすぐ読むって言いながら何年も積んであるものも多いけどな。積んどくのが楽しいわけじゃない。もちろん。