『アメリカの夜』

- 発行
- 1994年7月 講談社 166頁 絶版 購入
- 発行
- 2001年1月 講談社文庫 196頁 560円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- アメリカの夜
- 評価
- ★★★
ブルース・リーとドン・キホーテを目指すデビュー作。「模倣のひと」となるべく、徹底的に自己を客体化する。狂気を演じようとする幼さと理屈っぽささえもが演じられたものだ。それを反転しても作者が見えない凄味。
『ABC戦争』

- 発行
- 1995年8月 講談社 159頁 品切 購入
- 発行
- 2002年6月 新潮文庫(『公爵夫人邸の午後のパーティー』と合本) 317頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ABC戦争
- 評価
- ★★★★
通学列車の中で戦争が始まる。ありふれた田舎不良の小競り合いなのだが、その戦争がもう一つの戦争を誘発する。前半の回りくどさが「本当の戦争」をクリアに見せているが、「わたし」の立場がいまひとつ定まらない。
『インディヴィジュアル・プロジェクション』

- 発行
- 1997年5月 新潮社 195頁 絶版 購入
- 発行
- 2000年7月 新潮文庫 206頁 380円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- インディヴィジュアル・プロジェクション
- 評価
- ★★★★★
渋谷で映写技師をしているオヌマの日記。以前武闘集団で危ない仕事をしていた経緯が徐々に明らかになり、夢うつつの戦争状態に突入する。緊張感が最後まで持続する傑作だが、装丁のイロっぽい女の子の意図は不明瞭。
『公爵夫人邸の午後のパーティー』

- 発行
- 1997年7月 講談社 157頁 絶版 購入
- 発行
- 2002年6月 新潮文庫(『ABC戦争』と合本、『ABC戦争』として) 317頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 公爵夫人邸の午後のパーティー / ヴェロニカ・ハートの幻想
- 評価
- ★★★
怪しげなパーティーに潜入した楠木夫人、銃密売のアジトにいる女子高生ジュンコ。二人は物語の進行をただ見つめるだけで動かない。意図的に読みづらくされた文章のおかげで結局何も起こらなかったような気さえする。
『無情の世界』

- 発行
- 1999年1月 講談社 207頁 品切 購入
- 発行
- 2003年3月 新潮文庫 221頁 420円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- トライアングルズ / 無情の世界 / 鏖(みなごろし)
- 評価
- ★★★★
短編集。「鏖(みなごろし)」がすさまじい。脳内物質大放出のカタルシス。これだけ抑制された文章で描かれる血だるまに戦慄だ。「トライアングル」の平凡な不条理にはなぜか筋肉少女隊を思った。そんな感じですけど。
『アブストラクトなゆーわく』

- 発行
- 2000年4月 マガジンハウス 197頁 1050円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 「使用上の注意!」 / 平凡なラブストーリー / 2種類の運命の見方 (ほか)
- 所要
- 1時間50分
- 評価
- ★★★
anan連載の緩くてオッケーなエッセイ集。テレビドラマとかキャラクター商品とか占いとか、作家にとっても読者にとってもどうでもいい話題が満載。小説作品につながるこの文体のアクは素なのかどうか、問うてみたい。
『ニッポニアニッポン』

- 発行
- 2001年8月 新潮社 158頁 1260円 購入
- 発行
- 2004年8月 新潮文庫 193頁 380円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ニッポニアニッポン
- 評価
- ★★★★
トキを密殺することで「ニッポン」を問い直そうとする長編。歪んだナショナリズムと的外れのテロリズムに、インターネット時代がうまくはまってる。引きこもりストーカーな主人公の偏執的な造形が著者らしくていい。
『シンセミア』

- 発行
- 2003年10月 朝日新聞社(上) 397頁 1785円 購入
- 発行
- 2003年10月 朝日新聞社(下) 411頁 1785円 購入
- 発行
- 2006年10月 朝日文庫(I) 274頁 525円 購入
- 発行
- 2006年10月 朝日文庫(II) 293頁 525円 購入
- 発行
- 2006年11月 朝日文庫(III) 289頁 525円 購入
- 発行
- 2006年11月 朝日文庫(IV) 294頁 525円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- シンセミア / 田宮家の歴史 / 第一部 自殺・事故死・行方不明 (ほか)
- 評価
- ★★★★★
轢自殺を発端に神の町で連続して起こる事件、世界の審判と救済を見据える大長編。多くの人物が絡み合う物語を編むという意図は分かる。警察官・中山の造形は素晴らしいけど人多すぎ。結末は阿部らしく冷徹でグッド。
『映画覚書 Vol.1』

- 発行
- 2004年5月 文藝春秋 513頁 2500円 購入
- NDC
- 778(演劇・映画>映画)
- 目次
- 映画覚書I 二〇〇二―二〇〇四 / 徹底討論I 阿部和重×中原昌也 / 映画覚書II 一九九九―二〇〇一 (ほか)
- 所要
- 5時間50分
- 評価
- ★★★
映画学校出身の経歴をもつ著者だが、初の映画評論集となる。話題作好きなのかマニアックなのか(ヲタなのか)すら分からないくらい幅広い引き出しが面白い。中原昌也、蓮實重彦との対論にいろんなスタンスも見えつつ。
『青山真治と阿部和重と中原昌也のシネコン!』

- 発行
- 2004年6月 リトルモア 255頁 1575円 購入
- 共著
- 共著:青山真治/中原昌也
- NDC
- 778(演劇・映画>映画)
- 目次
- ジョン・カーペンター『ゴースト・オブ・マーズ』 / モンテ・ヘルマン『コックファイター』 / デヴィッド・クローネンバーグ『スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする』 (ほか)
- 所要
- 1時間50分
- 評価
- ★★★
映画を巡る鼎談集。中原のB級趣味全開な暴走と、阿部の愛のあるボケ突っ込みと、青山の映画人としての強い主張。後半は総当たり対談になるんだけど、こちらのほうは文学的な議論もあったりして興味深いものはある。
『グランド・フィナーレ』

- 発行
- 2005年2月 講談社 200頁 1470円 購入
- 発行
- 2007年7月 講談社文庫 229頁 490円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- グランド・フィナーレ / 馬小屋の乙女 / 新宿ヨドバシカメラ (ほか)
- 所要
- 2時間30分
- 評価
- ★★★
芥川賞受賞の表題作はロリコン男の溜息がいっぱい。悔恨しながらも心に闇なんてなくって、こんな風に曖昧な微熱が続くだけだ、という見識か。その他の短編は『シンセミア』の作者とは思えない疾走する未熟感が充満。
『阿部和重対談集』

- 発行
- 2005年8月 講談社 386頁 1995円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- あたらしいぞ私達は。 高橋源一郎 / 小説家の思考 保坂和志 / ライド・オン・ザ・ロマンス・カー 赤坂真理 (ほか)
- 所要
- 6時間30分
- 評価
- ★★★
相手によって完全に閉じてたり、友達的にくだけてたりと気分が見えすぎで、対談向きじゃないなと思わせる対談集。小説という企て、その手法論について語るのが主軸になっているので阿部作品のサブテキストにはなる。
『プラスティック・ソウル』

- 発行
- 2006年3月 講談社 212頁 1680円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- プラスティック・ソウル / 『プラスティック・ソウル』リサイクル
- 所要
- 2時間
- 評価
- ★★
話者も視点もぐちゃぐちゃに折り重なったドラッギーな作。分裂する自己って初期の方法論をもてあました結果、シンプルな混沌になってる。端的にいってやはり失敗作では…。「解説」が読み方をリードしすぎで鼻白む。
『ミステリアスセッティング』

- 発行
- 2006年11月 朝日新聞社 245頁 1575円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ミステリアスセッティング
- 所要
- 3時間10分
- 評価
- ★★★
吟遊詩人に憧れる純真な少女。あくまで騙りなんだろと物語が崩壊する場所を期待してるとソレは確かに起こるのだが、無垢であることは揺らいでおらず、著者の見せたい未来を想像して戦慄。人を信じるって何だろうね。