井沢元彦の100字レビュー(すべて)

井沢元彦書評ページ

『卑弥呼伝説 地に降りた神々

表紙

発行
1991年6月 実業之日本社 357頁 絶版 購入
発行
1995年6月 実業之日本社JoyNovels 248頁 絶版 購入
発行
1997年11月 集英社文庫 383頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
第一章 神の密室 / 第二章 ヒムカとトヨ / 第三章 吉野ヶ里の幻 (ほか)
評価
★★★★

「ヒミコは殺された」という言葉を残して死んだ友人。その密室殺人の謎を、そして邪馬台国の謎を追って行くうち主人公の身にも危険が迫る。ミステリーというより邪馬台国論争への自説を小説という形で発表した論文。

『天皇になろうとした将軍』

表紙

発行
1992年5月 小学館 229頁 絶版 購入
発行
1998年4月 小学館文庫 253頁 500円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
第一話 天皇になろうとした将軍―足利義満 / 第二話 祖父・尊氏の秘密を解く―足利尊氏
評価
★★★

常識的に考えたら答えはおのずから出る、と歴史の「なぜ?」を読み解いてゆく、『逆説の日本史』のベースとなるような論説。野心家たる義満はともかく、尊氏が人間臭く現れてくるのはひとつの成果じゃないだろうか。

『「言霊の国」解体新書』

表紙

発行
1993年2月 小学館 255頁 絶版 購入
発行
1998年6月 小学館文庫 278頁 540円 購入
発行
2006年7月 祥伝社文庫 299頁 600円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
第一章 「言霊の国」序説 / 第二章 「言霊の国」解体原論 / 第三章 日韓に横たわる「恨」をめぐって (ほか)
評価
★★★

「平和」と唱えるだけで平和になるという言霊信仰の国日本。そのためには「自衛」が不可欠のはずなのに議論さえできないのは何故なのか。嫌ほど繰り返される活舌よい論調。一つの意見だ、反論があるならすればよい。

『逆説の日本史1 古代黎明編 封印された「倭」の謎

表紙

発行
1993年10月 小学館 389頁 1628円 購入
発行
1998年1月 小学館文庫 488頁 650円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
序論 日本の歴史学の三大欠陥 / 第一章 古代列島人編 / 第二章 大国主命編 (ほか)
評価
★★★★★

ライフワークと言える歴史解明第一弾。歴史学界の史料至上主義的無能を鋭くあばきつつ大国主命や卑弥呼の謎に迫る。中でも天皇陵管理体制への怒りは決して新説ではないにしろ、これがベストセラーであるからすごい。

『逆説の日本史2 古代怨霊編 聖徳太子の称号の謎

表紙

発行
1994年7月 小学館 434頁 1628円 購入
発行
1998年3月 小学館文庫 525頁 690円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
第一章 聖徳太子編 / 第二章 天智天皇編 / 第三章 天武天皇と持統女帝編 (ほか)
評価
★★★★

聖徳太子編が白眉。「聖徳」の名から浮かび上がる、その波乱の生涯。怨霊信仰というキーワードで一変する歴史。仮説から断定へわしわし進む力強さが魅力だ。奈良の大仏建立の経緯にしても明快で分かりよい。楽しい。

『逆説の日本史3 古代言霊編 平安建都と万葉集の謎

表紙

発行
1995年5月 小学館 370頁 1628円 購入
発行
1998年5月 小学館文庫 439頁 650円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
第一章 道鏡と称徳女帝編 / 第二章 桓武天皇と平安京編 / 第三章 『万葉集』と言霊編 (ほか)
評価
★★★★

平城京から長岡京へ、そして平安京への遷都の真実。万葉集成立の事情。言葉を発するとそれは実現するという「言霊」信仰で論破する終盤の勢いはさすが。船岡山を始点とした平安京の対怨霊構造には大きく納得できる。

『GEN 『源氏物語』秘録

表紙

発行
1995年10月 角川書店 302頁 絶版 購入
発行
1997年11月 実業之日本社JoyNovels 245頁 絶版 購入
発行
1998年10月 角川文庫 331頁 560円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
GEN
評価
★★★★

吉野の奥に現存する南朝の血統。そこには歴史を覆すような源氏物語古写本が眠っていた。唯一の跡取りだった娘が心中して謎は混迷へ。著者の自説を小説という形で読みやすくした歴史論。タブーに触れまくりで楽しい。

『逆説の日本史4 中世鳴動編 ケガレ思想と差別の謎

表紙

発行
1996年6月 小学館 347頁 1628円 購入
発行
1999年1月 小学館文庫 438頁 650円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
第一章 『古今和歌集』と六歌仙編 / 第二章 良房と天皇家編 / 第三章 『源氏物語』と菅原道真編 (ほか)
評価
★★★

平安時代を読み解く鍵として戦争と平和、そしてケガレ・差別といった複雑な問題に入りこんでしまっている。そのため、歴史という分野からしばしば逸脱しているが、説の正しさを問う前に面白い。中世も謎が多いのか。

『歴史の森の影法師』

表紙

発行
1996年9月 有学書林 227頁 絶版 購入
発行
1997年7月 祥伝社黄金文庫(『歴史の嘘と真実』と改題) 249頁 560円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
恐るべき「正義」と「常識」の実態 / 歴史の真相を見抜く眼 / 現代に巣喰う古代の呪縛 (ほか)
評価
★★★

雑誌などに単発で掲載された、力を抜いたエッセイが主体。後の歴史考察に繋がる準備稿のようなものもあるし、名古屋への郷土愛もある。信長も秀吉も家康も、みんな名古屋の生まれ。すごいだろうと言われても困るよ。

『逆説の日本史5 中世動乱編 源氏勝利の奇蹟の謎

表紙

発行
1997年5月 小学館 329頁 1628円 購入
発行
2000年1月 小学館文庫 394頁 630円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
第一章 源頼朝と北条一族編 / 第二章 源義経と奥州藤原氏編 / 第三章 執権北条一族の陰謀編 (ほか)
評価
★★★

鎌倉幕府が成立し、武家が政権を執ってゆく過程を解読する。「判官びいき」で義経がすごくカッコよく見えがちだけど、やっぱり頼朝の方が偉人なんだね。と単純に納得してしまう。戦術と戦略は違う、というのも納得。

『朝日新聞の正義』

表紙

発行
1998年1月 小学館 253頁 絶版 購入
発行
1999年12月 小学館文庫 285頁 520円 購入
共著
共著:小林よしのり
NDC
070(ジャーナリズム・新聞>ジャーナリズム 新聞)
目次
第1章 ワシらも「朝日少年」だった / 第2章 これは「人権真理教」の新聞なんよ / 第3章 なぜ朝日は尊大でいられるの? (ほか)
評価
★★★

朝日新聞がその偏向を隠して正義面をできるのは何故なのか、偉そうなのは何故なのか、という対談集。新聞によって「事実」の取捨が違うのは当然のことだから、情報を鵜のみにしてはいけないという警句としては有用。

『逆説の日本史6 中世神風編 鎌倉仏教と元寇の謎

表紙

発行
1998年7月 小学館 437頁 1628円 購入
発行
2002年7月 小学館文庫 510頁 690円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
第一章 鎌倉以前の仏教編 / 第二章 浄土門の聖者たち編 / 第三章 道元と日蓮編 (ほか)
評価
★★★

サブタイトルどおり元寇時の背景とその後への影響(外交ベタな日本人)を考察するのがメインだが、その前に置かれた鎌倉新仏教から日本の宗教観へと結ぶ論考が熱い。人間臭い宗祖たちの像から、歴史もまた変わるから。

『逆説の日本史7 中世王権編 太平記と南北朝の謎

表紙

発行
1999年10月 小学館 363頁 品切 購入
発行
2003年3月 小学館文庫 429頁 630円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
第一章 尊氏対後醍醐編 / 第二章 『太平記』に関する小論編 / 第三章 尊氏対直義編 (ほか)
評価
★★★

本一冊書けるほど思い入れのある義満の時代。尊氏から義教もかっこよく描出されているのだが、義満はやはり格が違うな。戦乱を描いている物語がなぜ「太平記」と名付けられているのか?という小論がなかなか面白い。

『逆説の日本史8 中世混沌編 室町文化と一揆の謎

表紙

発行
2000年12月 小学館 419頁 1628円 購入
発行
2004年6月 小学館文庫 495頁 690円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
第1章 「懶惰の帝王」足利義政編 / 第2章 日野富子と傀儡政権編 / 第3章 国一揆と一向一揆編 (ほか)
所要
7時間40分
評価
★★★

戦国前夜、将軍の求心力が減じた室町後期。何かが起こりそうな気配だけが高まってゆくという、今に通じる時代を分析する。室町文化の考察あたりは将棋でさえも「怨霊史観」で解かれるものの、中休み的にほっとする。

『逆説の日本史9 戦国野望編 鉄砲伝来と倭寇の謎

表紙

発行
2001年11月 小学館 411頁 1628円 購入
発行
2005年5月 小学館文庫 481頁 690円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
琉球王国の興亡編 / 海と倭寇の歴史編 / 戦国、この非日本的な時代編 (ほか)
所要
5時間30分
評価
★★★

琉球王国の歴史と倭寇の話が半分、後半は多士済々の戦国。武田信玄が天下を取れないワケ、軍師山本勘助の実在性なども語られるので大河ドラマファンにも。上杉や武田らと織田信長の決定的な違いにはなるほどと思う。

『逆説の日本史10 戦国覇王編 天下布武と信長の謎

表紙

発行
2002年10月 小学館 401頁 1628円 購入
発行
2006年6月 小学館文庫 481頁 690円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
第一章 織田信長の変革編 / 第二章 信長vs宗教勢力の大血戦編 / 第三章 新しき権力の構築編 (ほか)
所要
6時間20分
評価
★★★

歴史考察10冊目は一冊全部信長。特に宗教との関わり方については、世の信長像の最も誤解の大きなところとして精密に検証される。比叡山焼き討ちは残虐さを示さないとか。「本能寺の変」については意外にさらっとで。

『逆説の日本史11 戦国乱世編 朝鮮出兵と秀吉の謎

表紙

発行
2004年2月 小学館 449頁 1680円 購入
発行
2007年6月 小学館文庫 544頁 690円 購入
NDC
210(日本史>日本史)
目次
第1章 豊臣秀吉、その虚像と実像編 / 第2章 織田つぶしの権謀術数編 / 第3章 対決、徳川家康編 (ほか)
所要
8時間20分
評価
★★★

秀吉の台頭と没落まで。本能寺の前後で何が起こったのか、その幸運の大きさと展開の速さにはなかなかしびれる。しかし朝鮮出兵あるいは唐入りについては勢い饒舌になるのだが(この本の読者には)周知で不要なのでは。

井沢元彦書評ページ