『聖の青春』

- 発行
- 2000年2月 講談社 333頁 絶版 購入
- 発行
- 2002年5月 講談社文庫 419頁 680円 購入
- NDC
- 796(諸芸・娯楽>将棋)
- 目次
- 第一章 折れない翼 / 第二章 心の風景 / 第三章 彼の見ている海 (ほか)
- 評価
- ★★★★
病と闘いながら29歳までの人生を「勝ち」に賭けた将棋界の怪童・村山聖の執念。羽生と同時代にこんな物語が進行していたとは。生きる目的は名人になることだけといった上昇欲をこそ、彼の才能と呼ぶべきものだろう。
『将棋の子』

- 発行
- 2001年5月 講談社 301頁 絶版 購入
- 発行
- 2003年5月 講談社文庫 352頁 620円 購入
- NDC
- 796(諸芸・娯楽>将棋)
- 目次
- 第1章 北へ / 第2章 沈黙の海 / 第3章 夢への遡上 (ほか)
- 所要
- 4時間
- 評価
- ★★★
実は将棋の話ではない。「将棋から追われた男」のルポだ。羽生らが華々しく進撃する最中、夢破れ奨励会を去る男ももちろんいる。将棋が人生のすべてであったという誇りを抱えたまま「その後」を生きるのは厳しいね。
『パイロットフィッシュ』

- 発行
- 2001年10月 角川書店 245頁 1470円 購入
- 発行
- 2004年3月 角川文庫 247頁 500円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- パイロットフィッシュ
- 評価
- ★★★★★
頭から尻まで意志が詰まってるのに不思議に透明感を湛えた文章で、気の抜けた部分がまったくない。「心の湖に沈む消せない記憶」という装置もその感傷も、決して目新しいものでもないんだけど、正攻法でぐっとくる。
『アジアンタムブルー』

- 発行
- 2002年9月 角川書店 326頁 1575円 購入
- 発行
- 2005年6月 角川文庫 332頁 580円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- アジアンタムブルー
- 評価
- ★★★★
『パイロットフィッシュ』続編。癌で死に行く恋人という設定はストレートすぎて卑怯だと思うのだが「ボルシチ博士」とかSM海外ツアーだとか、伏線ともいえないただのリフレインが大いに効いてる。大団円も文句なし。
『編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと』

- 発行
- 2003年1月 講談社 268頁 1575円 購入
- 発行
- 2006年7月 講談社文庫 312頁 580円 購入
- NDC
- 796(諸芸・娯楽>将棋)
- 目次
- 天才たちのスーパーバトル / 将棋中毒者の生活と意見 / 大棋士ここだけの話 (ほか)
- 評価
- ★★★
棋士たちの破天荒な人となりを見るにつけ、これは本当に現代の話なんだろうかと思う。大勝負の緊迫場面はもちろん私生活も時代がかってる。「将棋は芸であり道であった」し。そんな無頼たちを優しく見守るエッセイ。
『九月の四分の一』

- 発行
- 2003年4月 新潮社 203頁 絶版 購入
- 発行
- 2006年2月 新潮文庫 240頁 420円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 報われざるエリシオのために / ケンジントンに捧げる花束 / 悲しくて翼もなくて (ほか)
- 所要
- 1時間40分
- 評価
- ★★★★
息が詰まる純愛の短編集。あまりにナイーヴすぎてもどかしいのだが、記憶のなかの恋はいつも美しくて、まるで自分の思い出のように浮かび上がってくる。なぜそこで踏み止まるのか?とため息づくのもまた読む喜びだ。
『ドナウよ、静かに流れよ』

- 発行
- 2003年6月 文藝春秋 367頁 1785円 購入
- 発行
- 2006年6月 文春文庫 420頁 620円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 第1章 ドナウからの声 / 第2章 同級生 / 第3章 初恋 (ほか)
- 所要
- 4時間30分
- 評価
- ★★★★
自称指揮者とウィーンで心中するに至った女子留学生の「何故」を追うノンフィクション。東欧ゴシックな街の色調の中、友人への手紙などに見える言葉だけが若々しくて。全てが仮定だとしても一途な想いが光っている。
『ロックンロール』

- 発行
- 2003年11月 マガジンハウス 298頁 1575円 購入
- 発行
- 2007年8月 角川文庫 300頁 540円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ロックンロール
- 評価
- ★★★
パリのホテルに閉じこもって執筆する作家の元へ訪ねてくる女性編集者。人の悲しみだけを感受する少年の冒険が絡みそうで絡まなかったり伏線を珍しく放置気味。そのくらいの気安い恋の物語ではある。パリの恋は特別?
『孤独か、それに等しいもの』

- 発行
- 2004年5月 角川書店 222頁 1470円 購入
- 発行
- 2006年9月 角川文庫 227頁 500円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 八月の傾斜 / だらだらとこの坂道を下っていこう / 孤独か、それに等しいもの (ほか)
- 所要
- 2時間20分
- 評価
- ★★★
自分を壊しかねない強い感情への防衛として心を鈍く平たく麻痺させていった人物ばかりが登場する、しんどい短編集。扉を開こうとする意志が生まれる場所を探してぼそぼそと進む筆。いつの間にか読者も光を探してて。
『別れの後の静かな午後』

- 発行
- 2004年10月 中央公論新社 197頁 1365円 購入
- 発行
- 2007年9月 中公文庫 247頁 540円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- サッポロの光 / 球運、北へ / 別れの後の静かな記憶 (ほか)
- 所要
- 2時間30分
- 評価
- ★★★
恋愛と別れの短編集。ここから物語が始まるのだという場所で終わる、余韻と感傷が著者ならではの味。材料も展開もこれまでどおりなので安心して読めますね(?)。登場人物がタバコ吸いすぎなのも気になってきました。
『ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶』

- 発行
- 2005年6月 新潮社 189頁 1365円 購入
- 発行
- 2007年12月 新潮文庫 214頁 420円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- キャトルセプタンブル / 容認できない海に、君は沈む / ドイツイエロー (ほか)
- 所要
- 1時間40分
- 評価
- ★★★
『九月の四分の一』に対置する恋愛小説集。こちらは女性を主人公としていて流麗な展開風景なのだが、ペニスとペニス的なもの(エッフェル塔だとか)に感傷をかぶせて仕上げる作者の手癖が逆に強調されて見えたりする。