トップ > 現代文学100字レビュー > 日本作家(あ行) > 岡崎祥久
何者でもないおれが越冬のために選んだ仕事は、コンベアの箱に本を詰めていくバイト。夢とか希望とかはさて置いて、機械の心を手に入れる…。自己評価と実像が乖離することは、悪いことじゃないんだよ。若い頃はね。
呪いでコドモになってしまった(のかどうかは意図的に不確かな)男が、学校に転校して来て。異物によって変わってゆく子供達のバランスの取り方。魔導教室の唐突な暴力はおそらく失敗してるのだが、瑕もまた印象深い。
このくらいシニカルで貧乏で楽天屋な男は「一人も悪くない」と嘯いたりするものだが、それなりにうまく立ち回ってる主人公たちの短編集。人並みゆえの抜けの悪さがそれ以上の感慨を呼ばなかったりして、まぁ普通に。
北海道から東京までのバイク一人旅と、東京から鹿児島までの夫婦ドライブが一冊に。これで日本縦断の気分。なのに登場人物がみな俗物なせいですごいチマチマ感。旅向きでない人達の旅を見て、思い当たることを探せ。
大学の夜間部で、宵闇にだけ展開する恋愛小説。「夜」を理由付けにしてるだけという気もするが、それ故の静けさは肌に快いし、自分の身の丈にあった「不器用な恋」を描いておくことは作家にとって悪いことじゃない。