『死亡遊戯』

- 発行
- 1994年6月 河出書房新社 183頁 1575円 購入
- 発行
- 1999年1月 河出文庫 170頁 525円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 死亡遊戯 / DS(ドミネーション・サブミション)
- 評価
- ★★★★★
歌舞伎町に垂れ落ちる性欲。風俗のキャッチが視線を担っているが主人公は街の欲望そのもの。冷たく濡れた手触りが不快で気持ちいい。表題作のほかハックされるハッカーの話「DS」も収録されていて、こちらも刺激的。
『SATORI』

- 発行
- 1995年8月 河出書房新社 152頁 1427円 購入
- 発行
- 1999年1月 河出文庫 186頁 525円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- SATORI / ナンブ式 / マイナス天国
- 評価
- ★★★★
デジタルドラッグ、サトーリ。<一片の意識がある。一片の世界がある>冬の静電気のような一瞬の緊張。パチリ。希薄な現実感に指先が痛い。構成はめちゃくちゃだがこの不安定さはなかなかいい。表題作他ニ編を収録。
『刺青』

- 発行
- 1996年9月 河出書房新社 139頁 1325円 購入
- 発行
- 1999年1月 河出文庫 136頁 462円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 刺青
- 評価
- ★★★
廃業を決めていた彫物師のもとに少女が訪ねてくる。少女は背に観世音と龍を彫ってもらい「男」が驚愕する様を夢想して笑う。エロティックな精神の廃墟、堕ちてから始まる世界観。スピード感あるイメージ映像が魅力。
『ソロ』

- 発行
- 1996年9月 講談社 169頁 絶版 購入
- 発行
- 2001年3月 講談社文庫 172頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ソロ / アス・ホール / 外回り (ほか)
- 評価
- ★★★
殺した女と過ごす1人漫談がコミカルに寒くっていい表題作他2編。相当に病んでいるが、まだ「こちら側」にいるようにも見える、境界の千鳥足歩行ぶり。自分が剥れそうなざわついた不快感の描出はいつもながらうまい。
『サイゴン・ピックアップ』

- 発行
- 1997年9月 河出書房新社 171頁 1575円 購入
- 発行
- 1999年2月 河出文庫 223頁 599円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- サイゴン・ピックアップ / 白ナイル / ベナレス・クロス
- 評価
- ★★★★★
借金取りから身を隠すために仏門に入った男は俗塵にまみれたまま宿命に連れ去られる。地雷型の玩具がランダムに暗示を吐き出す、まっすぐ進め、そいつを殴れ。オリエンタル好きの外国人向けみたいだがカッコイイよ。
『境界』

- 発行
- 1998年2月 講談社 153頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 境界
- 評価
- ★★★★
勧められて精神科へやってきた男。帰り際追ってきたクラチキミコと名乗る看護婦の病的な言動。病院には別のクラチミチコが勤めている。歪んだ現実、あるいは妄想? 文体の不思議なリズム感が不安を掻きたてる長編。
『スミス海感傷』

- 発行
- 1998年8月 集英社 173頁 1470円 購入
- 発行
- 2001年3月 集英社文庫(4編を追加) 254頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- カナル高浜 / スミス海感傷 / アズマぁ (ほか)
- 評価
- ★★★
義理の弟から父の遺品を手渡される風俗嬢という表題作ほかニ編。表題作は彼の著作としてはおとなしい。新境地とでも言うのか、こんなまっとうな物語もあるんだな。発表年の古い小品「アズマぁ」との熱量の差は歴然。
『ブエノスアイレス午前零時』

- 発行
- 1998年8月 河出書房新社 146頁 1050円 購入
- 発行
- 1999年10月 河出文庫 140頁 462円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ブエノスアイレス午前零時 / 屋上
- 評価
- ★★★★
ダンスホールを備えた雪の温泉旅館にやって来る一団。ブエノスアイレスを幻視する盲目の老婆に手を差し出す主人公。という表題作よりも併録の「屋上」のほうが好きだ。ゆるやかに閉塞する屋上生活が物哀しくていい。
『陽炎の。』

- 発行
- 1998年11月 文藝春秋 210頁 絶版 購入
- 発行
- 2002年2月 文春文庫 226頁 530円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 陽炎の。 / 海で何をしていた? / 砂と光 (ほか)
- 評価
- ★★★★★
失業者の苛立ちを描いた表題作と、前後不覚の幻想生活「事情聴取」がイカす短編集。これまで内面をあえて排除する作家なのかと思っていたが、ここではキリキリと胃痛のような精神活動がある。新潟弁もどこか新鮮だ。
『スモーク・オン・ザ・ナイフ』

- 発行
- 1999年2月 河出書房新社 261頁 1680円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 『ゾーンを左に曲がれ』の頃。 / 歌舞伎町という生き方 / 「世界」との駆け引き (ほか)
- 評価
- ★★★
芥川賞への道のりってことにもなる初のエッセイ集。歌舞伎町に実存を見てしまうような初期の硬さが、徐々に和らいでゆく過程が面白い。鎌倉への転居という生活の推移が、作風の変化と直結してるのも素直な人である。
『マダム・グレコ フリーク・ストーリーズ』

- 発行
- 1999年3月 河出書房新社 189頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- フェーズ4をくらったのか / 一〇三二階 / <ROMANCE>あるいは (ほか)
- 評価
- ★★★
習作を含む荒削りなエネルギーの短編集。サイバーパンクとか実験小説な奴とか、サザエさんだったりとかめちゃめちゃです。こういう変態的な教養はなかなか出しづらいと思うけれど、もっと煮詰めたのも読んでみたい。
『歓喜まんだら』

- 発行
- 1999年10月 マガジンハウス 225頁 1260円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 選評 藤沢周 / 電気女 瀧浦ベアトリ / 洗脳ジョリジョリ教 金村恵吏 (ほか)
- 評価
- ★★
藤沢周が選者となった「女が描く官能小説」集。男の欲望の鏡になりきって反射する作品が選ばれていて企画的には(官能小説的には)成功なんだろうが、男には到達できない地点ってものがもっと別にあるような気がする。
『礫 (れき)』

- 発行
- 1999年10月 講談社 217頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 礫
- 評価
- ★★★★
結婚を目前に控えた新聞記者が蹴躓く現実。愛にあがいているが何も望んでいない空疎な青年像。生を覆う曖昧な苛立ちは『ブエノスアイレス〜』に近い。誰かが言ってたような気がする「沸点の低い怒り」が顕著な長編。
『鎌倉古都だより』

- 発行
- 2000年2月 新潟日報事業社 175頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 北鎌倉の風 / 奇跡の夜 / 波の上の小さな虹 (ほか)
- 評価
- ★★★
故郷の地方紙で掲載されたエッセイ集。懐かしき新潟と現在の鎌倉を往復する心象風景。自作解説だとか、芥川賞受賞の喜びだとか、子煩悩ぶりだとか、実にストレート。クールな作風の土台ともなる方言風温かさがある。
『オレンジ・アンド・タール』

- 発行
- 2000年5月 朝日新聞社 213頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- オレンジ・アンド・タール / シルバー・ビーンズ
- 評価
- ★★★★
屋上からダイブした友人の影を抱えながら曖昧な生を拡散させる少年達。「キレる」という安易な逃げ道を追い詰めながらもルーズな味わい。「キワキワだっちゅうの」って感じだ。裏返しの「シルバー・ビーンズ」併録。
『愛人』

- 発行
- 2000年6月 集英社 182頁 1575円 購入
- 発行
- 2004年1月 集英社文庫 221頁 500円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 愛人
- 評価
- ★★★
妻子と別居し愛人と関係を続ける作家。都合のいい女になりたいという愛人たる女性編集者の不気味さに、もう一人女が加わって混濁する長編。「セックスだけの関係」にこんなに泥濘しては元の木阿弥。眉の媚態がよい。
『黒曜堂』

- 発行
- 2000年9月 マガジンハウス 262頁 1575円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 黒曜堂
- 評価
- ★★★★
毎日別の名前・肩書きで名刺を作りにくる女。本名がニセモノだった時、抱いた女の存在は消える。名前をひと山いくらで売る名刺屋の長編。「自分など、何処にも、ない」というのが真実で、それゆえ人を求めるのかい。
『さだめ』

- 発行
- 2000年9月 河出書房新社 163頁 1470円 購入
- 発行
- 2006年1月 河出文庫 184頁 546円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- さだめ
- 評価
- ★★★
AVスカウトマンが見つけた逸材。破格のギャラを無表情に要求する女に透けてくる不穏な私生活。「正気を保て。あるいは、狂気を保て。」彼女が走り去ったのはどっちの方角なのか。意味を削ぐスピードはいつもながら。
『奇蹟のようなこと』

- 発行
- 2000年9月 幻冬舎 258頁 品切 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 童貞 / エッジ / 口紅 (ほか)
- 評価
- ★★★
懐古的口調で綴られた、新潟でくすぶる高校生の長編。煙草を吸って、喧嘩して、でもまだ女を知らない。不明瞭な欲望をもてあます若さが匂いたち、自分も確かにそこにいたのだと思わせる。ただ早く大人になりたくて。
『藪の中で… [ポルノグラフィ]』

- 発行
- 2001年6月 徳間書店 266頁 絶版 購入
- 発行
- 2007年1月 徳間文庫 286頁 620円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 藪の中で…
- 評価
- ★★★
劣情を催させることを目的に書かれた「官能小説」ってやつだ。ゴルフ場の林の中という舞台も、旦那に聞こえるような距離で奥さんとという設定もポルノ的。つまり「欲情させてやるぜッ」と著者の力いっぱいの文章で。