『雨月』

- 発行
- 2002年10月 光文社 281頁 1680円 購入
- 発行
- 2005年2月 光文社文庫 287頁 540円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 雨月
- 評価
- ★★★
ラブホテルのシーツに染みついた情念、この世界からはみ出した女が見つめる暗闇、煙草の空箱で作った山の空虚など彼特有の怠惰な筆致。でも途中からやにわにサスペンス調になってしまうのが「なぁんだ」と思ったり。
『紫の領分』

- 発行
- 2002年10月 講談社 266頁 絶版 購入
- 発行
- 2006年2月 講談社文庫 317頁 600円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 紫の領分
- 評価
- ★★★
横浜と仙台、それぞれ別の女と暮らす。その往復と嘘を反復し続けることによって生まれる無常感。もちろん読者にとっても主人公にとっても期待通りのカタルシスがやってくるわけだが、紫の稜線はあくまで死を騙って。
『ダローガ』

- 発行
- 2003年8月 新潟日報事業社 346頁 2520円 購入
- 発行
- 2007年2月 河出文庫(『雪闇』と改題) 512頁 893円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 出張 / 繭 / アリバイ (ほか)
- 評価
- ★★★★★
故郷新潟の地上げをするべく飛ばされた男。実質的なリストラへの遠い海鳴りみたいな怒りと、趣味以上の腕の三味線が人間関係を複雑にして。最後まで続く曇天に、何より雪と波濤を舞わせる三味線の音色描写がすごい。
『箱崎ジャンクション』

- 発行
- 2003年10月 文藝春秋 338頁 1680円 購入
- 発行
- 2006年10月 文春文庫 394頁 690円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 箱崎ジャンクション
- 評価
- ★★★★
二人のタクシードライバーが互いの車を交換して他人として走る。精神安定剤や離婚届が同乗しなくともそこは苛立ちと倦怠が充満する箱だ。自分以外誰もいない渋滞。暴走の予感を孕む文章の向こうに重い手応えがある。
『焦痕』

- 発行
- 2005年2月 集英社 225頁 1680円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 焦痕 / 腹が痛い / 素描 (ほか)
- 所要
- 3時間10分
- 評価
- ★★★★
すれ違う他人に次々カメラが渡されていく連作短編だが全部同じ人間に見える。誰だって焦げた執着を抱えて鏡に唾吐いてるからな。円環にすることで出口さえ奪う非情さで「持て余された自分」の向き先を教えてくれる。
『第二列の男』

- 発行
- 2005年7月 作品社 179頁 1575円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 蟻 / 脈拍の間 / オクトパス・ガーデン (ほか)
- 所要
- 2時間10分
- 評価
- ★★★
藤沢っぽい握りこぶし全開な作品、精緻な文体で腰の据わった作品、実験的な崩れ方の作品、とバラけた短篇集ながら主人公たち全員が倦んでいる。溜息が重くてやりきれない。日雇い労働者が掛け算をやったところでさ。
『幻夢』

- 発行
- 2007年8月 文藝春秋 201頁 1650円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 迦桜羅 / タケヤブヤケタ / キューブ7 (ほか)
- 所要
- 2時間40分
- 評価
- ★★★
剣道の話が二つ入ってるからか、鎌倉が舞台だったりするからか、古風で厳格な美しさがある短編集。カラス目線だったり不条理だったり新しい試みはちょっと不安定。もともと不安定なところが魅力的だったりするけど。
『心中抄』

- 発行
- 2007年10月 河出書房新社 189頁 1470円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 光追うこと / 夢破ること / 黄泉通じること (ほか)
- 所要
- 2時間10分
- 評価
- ★★★
故郷新潟を舞台に、現在と過去がどろどろと溶け合う自伝的小説。遊び場だった神社、若い芸者、作家の原風景はどんよりモノトーンの雪空だ。苦しい記憶。こんなに歪んでる作品が一番自伝的だってのはどういうわけだ。