『13』

- 発行
- 1998年2月 幻冬舎 477頁 品切 購入
- 発行
- 2002年1月 角川文庫 541頁 840円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 第一部 13 / 第二部 すべての網膜の終り
- 所要
- 9時間10分
- 評価
- ★★★
特異な色彩感覚をもった少年が神を映像化する軌跡。東京からコンゴの密林、華々しいハリウッドまで一息でジャンプしながらも、荒唐無稽さよりは懇切丁寧さで説得しきる物語。第一部と第二部の温度差が良くも悪くも。
『沈黙』

- 発行
- 1999年7月 幻冬舎 406頁 品切 購入
- 発行
- 2003年7月 角川文庫(『アビシニアン』と合本、『沈黙/アビシニアン』として) 597頁 1000円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 第一部 獰猛な舌 / 第二部 カモフラージュ/モンタージュ / 第三部 受肉する音楽 (ほか)
- 所要
- 7時間10分
- 評価
- ★★★
人間の根源的な悪とは何か。血族の忘れられた歴史と、抹殺された音楽。「ちゃんと繋げるから心配すんな」というような大胆な場面転換や年代記的豊穣な語り口に惚れぼれする。でもよく分からないとしたら構造がゆえ。
『アビシニアン』

- 発行
- 2000年6月 幻冬舎 221頁 品切 購入
- 発行
- 2003年7月 角川文庫(『沈黙』と合本、『沈黙/アビシニアン』として) 597頁 1000円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- I 二〇〇一年、文盲 / II 無文字 / III 猫は八つの河を渡る
- 所要
- 2時間20分
- 評価
- ★★★
『沈黙』に繋がるアナザーストーリー。家出した少女が公園で猫と暮らすなんて乱暴な導入から一転、終結に向けて光が集まってくるようなラブソングへ。痛みを分かちあい、偏頭痛を鎮めるための物語は静かに語られる。
『アラビアの夜の種族』

- 発行
- 2001年12月 角川書店 659頁 2835円 購入
- 発行
- 2006年7月 角川文庫(1) 277頁 540円 購入
- 発行
- 2006年7月 角川文庫(2) 364頁 660円 購入
- 発行
- 2006年7月 角川文庫(3) 407頁 660円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- アラビアの夜の種族
- 所要
- 10時間10分
- 評価
- ★★★★
3人の主人公による砂のイスラーム年代記。地下遺跡ダンジョンだとか邪神との妖術戦とかRPGをクリアしたような読後感。というか虚も実もウィザードリィだね。入れ子構造の語りの流暢さに、長さはあまり気にならない。
『中国行きのスロウ・ボートRMX』

- 発行
- 2003年7月 メディアファクトリー 191頁 893円 購入
- 発行
- 2006年1月 文春文庫(『二〇〇二年のスロウ・ボート』と改題) 155頁 500円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 考古学的疑問から出発する / 両手はきちんと膝の上においておきなさい / 僕に読める字もあり、読めぬ字もあった (ほか)
- 所要
- 1時間30分
- 評価
- ★★★★
村上春樹トリビュート作品。東京脱出に敗北し続ける僕と三人のガールフレンドたちのポップなクロニクル。山手線で失敗するエピソードだとか原作知ってると震えるような細部がちりばめられて、そのリスペクトを堪能。
『サウンドトラック』

- 発行
- 2003年9月 集英社 453頁 1995円 購入
- 発行
- 2006年9月 集英社文庫(上) 302頁 600円 購入
- 発行
- 2006年9月 集英社文庫(下) 348頁 630円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- サウンドトラック
- 所要
- 11時間40分
- 評価
- ★★★★★
洪水と疫病の熱帯化した東京。崩壊を座して待てない無邪気な破壊神となって少年少女が暴走する。銃火器で、あるいはダンスで。衝動も思想も見えなくて要は人物造形の弱さなのかもしれないが、熱量がはんぱなくて是。
『gift』

- 発行
- 2004年10月 集英社 157頁 1365円 購入
- 発行
- 2007年11月 集英社文庫 196頁 420円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ラブ1からラブ3 / あたしはあたしの映像のなかにいる / 静かな歌 (ほか)
- 所要
- 1時間10分
- 評価
- ★★★
長編へ膨らむ手前のイメージ実験のような掌編集。ストーリーとして回収しようという意思もなく断片そのままなんだが、それゆえに棒立ちの力強さみたいなものが溢れてる。こんなファンタジックになんでこんな自信が。
『ベルカ、吠えないのか?』

- 発行
- 2005年4月 文藝春秋 344頁 1800円 購入
- 発行
- 2008年5月 文春文庫 394頁 570円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 「おれは解き放ちたいのだ」 / 一九四三年 / 「組長、おやすみ」 (ほか)
- 所要
- 5時間30分
- 評価
- ★★★★
犬の血統で紡がれる戦争の時代。政治的駆け引きや人間の愚をこの視点で描ききった奇抜さ。ハードボイルド系の文体が、配役たちに沈黙を強いて。年代記とヤクザの娘のパートとが絡みながら進行するがスピード感よし。
『LOVE』

- 発行
- 2005年9月 祥伝社 329頁 1680円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ハート/ハーツ / 秋、品川、ニーサン / ブルー/ブルース (ほか)
- 所要
- 4時間20分
- 評価
- ★★★★
猫を数える連作。この何にも似ていない世界奪回の剛腕はすごいね。東京的なスピードで群像が火花を散らすストーリーよりも、鋭敏な感覚器がむき出しになった文章に痺れる。二人称は優しさ、君を見てるって優しさだ。
『ロックンロール七部作』

- 発行
- 2005年11月 集英社 321頁 1680円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ロックンロール第一部 / ロックンロール第二部 / ロックンロール第三部 (ほか)
- 所要
- 3時間30分
- 評価
- ★★★
ロックンロールの誕生と浸透を巡る連作。七大陸を流転する現代史。多くを語らずに、時には「あらすじ」のようにも修辞を省略しながらぐいぐい進む。リズム、ビートがすべてを支配するの? なんという骨太の音圧か。