『優しくって少しばか』

- 発行
- 1986年9月 集英社 301頁 1356円 購入
- 発行
- 1990年1月 集英社文庫 294頁 480円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 優しくって少し ばか / 西洋風林檎ワイン煮 / 雑司ヶ谷へ (ほか)
- 評価
- ★★★★★
「男の純情」が柔らかく部屋に満ちる表題作がしみじみとよい。文体もセリフも微笑ましくて、清涼な読後感。その他はトーン変わって阿刀田高的に背筋の寒い短編が並ぶが、「雑司ヶ谷へ」で選び取られる細部が僕好み。
『時々、風と話す』

- 発行
- 1987年10月 ミリオン出版/大洋図書 225頁 絶版 購入
- 発行
- 1989年12月 角川文庫 227頁 品切 購入
- 共著
- 絵:沢田としき
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- りんごの樹の下で / Gを待つあいだに / うつむくミニスカート (ほか)
- 評価
- ★★★★
巻頭の漫画作品が全体のイメージを誘導してしまう短編集。バイクと恋人達の小さな痛みを曖昧な輪郭で包んでいるような世界。自己模倣的だとしても「バスに乗って それで」の文体は感情の不如意さそのままで面白い。
『スメル男』

- 発行
- 1989年4月 講談社 297頁 絶版 購入
- 発行
- 1992年6月 講談社文庫 407頁 660円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- スメル男
- 評価
- ★★★
誰もが嘔吐する悪臭が東京中に広がる。その原因はある男の体臭。どう考えても喜劇にしかならない設定でありながら愛と正義の冒険活劇となる長編。母の死という抒情の序盤からは予想もつかないSF的クライマックスへ。
『黄色いドゥカと彼女の手』

- 発行
- 1989年5月 ミリオン出版/大洋図書 210頁 絶版 購入
- 発行
- 1991年9月 角川文庫 238頁 567円 購入
- 共著
- 絵:沢田としき
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 黄色いドゥカと彼女の手 / 曲がった指の理由 / バイクストリーキング顛末 (ほか)
- 評価
- ★★★
漫画が入ってたりする短編集で、『時々、風と話す』の続編にあたるわけだな。危なっかしい10代のバイク風景をセンチメンタルに描く。絵も文も非常に甘口だ。退屈だったり空腹だったりするけれどバイクは風を切って。
『十九、二十』

- 発行
- 1989年10月 朝日新聞社 228頁 絶版 購入
- 発行
- 1992年11月 新潮文庫 254頁 420円 購入
- 発行
- 1996年5月 朝日文芸文庫 229頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 十九、二十
- 評価
- ★★★★
二十歳になることでもセックスすることでもなく、父親を見限ることで男は大人になるのだ。エロ本出版社での短期バイトで変質してゆく貧乏学生の冴えない夏を描く。ラストシーンでの父の不在、その踏み越え方は見事。
『0をつなぐ』

- 発行
- 1990年3月 トレヴィル/リブロポート 214頁 絶版 購入
- 発行
- 1993年6月 新潮文庫 196頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 14階からの視線 / 箱の中には / どうしても思い出せない約束 (ほか)
- 評価
- ★★★
ホラー風だったりサイコサスペンス調だったりと「世にも奇妙な」短編集。肌がザワつくムードだけ残して「後は想像しろ」と放り投げる手法は定型詩のような物だが、0をつないだ鎖のなかに閉じ込められた自分に焦燥。
『スバラ式世界』

- 発行
- 1990年4月 主婦の友社 203頁 絶版 購入
- 発行
- 1992年9月 集英社文庫 232頁 500円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- スバラ式世界 / 世にも涼しい医者物語 あるいは血も凍る体験 / 東京トテチテタ月報 (ほか)
- 評価
- ★★★★
本家だか元祖だか後々シリーズ的に増殖するエッセイの多分これが大本。その軽妙さで評判の雑文家にも何故かノレなかったりしたのだが、これならイケる。「若いということは、とっても恥ずかしいことである」からだ。
『しょうがない人』

- 発行
- 1990年7月 集英社 238頁 1470円 購入
- 発行
- 1993年3月 集英社文庫 257頁 480円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- メロンを買いに / ミズヒコのこと / すれちがうだけ (ほか)
- 評価
- ★★★
しょうがない人たる父親への想いが中心の自伝的(?)短編集。憧れのメロンというおかしみも家族の記憶とオーバーラップして小さな幸せがお広い部屋に満ちる。父なんて赤の他人だけどそれでも父でしかない諦念的幸せ。
『東京トホホ本舗』

- 発行
- 1991年3月 学生援護会 222頁 絶版 購入
- 発行
- 1994年9月 新潮文庫 198頁 絶版 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 第一章 東京トホホ本舗 店主前口上 / 第二章 苦手だからトホホなのか、トホホだから苦手なのか / 第三章 昔は随分とトホホだった (ほか)
- 評価
- ★★★
ありあまるトホホな毎日。パーティでエビをすっ飛ばしたり、国家コーラと思いこんでいたりして、激しい困惑へ至るエッセイ。情けなさを肯定しながら力弱く呟く後姿は一つの「若者の代弁者」だったりしたのだろうか。
『あるべき場所』

- 発行
- 1991年6月 新潮社 195頁 絶版 購入
- 発行
- 1994年6月 新潮文庫 200頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 空室なし / 北へ帰る / あるべき場所 (ほか)
- 評価
- ★★★
道路に落ちている鶏の足。あるべき場所にないものが放つ違和感。つまり僕のあるべき場所もここじゃないってことだな。そういう諦念的違和感の短編集。これは口が曲がるほど酸っぱい蜜柑なのだ。食べずに分かるほど。
『吾輩ハ苦手デアル』

- 発行
- 1992年1月 新潮社 200頁 絶版 購入
- 発行
- 1995年3月 新潮文庫 212頁 絶版 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- キス / 嘘 / 飛行機 (ほか)
- 評価
- ★★★
苦手なものを並べたエッセイ集。「ぼくはキスが苦手である」から入っちゃうのは恣意的というかなんというか。北海道の話はありそうなだけになかなか笑える。旺盛なサービス心からか筆も走って心地よいリズムがある。
『何者でもない』

- 発行
- 1992年6月 講談社 277頁 絶版 購入
- 発行
- 1995年10月 講談社文庫 313頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- クスコの引越し / 何者でもない / 一人芝居
- 評価
- ★★★
奴隷たる下っ端のショウジショウイチを軸に、個性的な劇団員たちのほころびっぱなしの生活を描く連作長編。上昇試行が出てこなくてここに留まるために懸命な感じだが、そういうものなのかもしれない。夢はあるかい?
『元祖スバラ式世界』

- 発行
- 1992年6月 主婦の友社 191頁 品切 購入
- 発行
- 1995年8月 集英社文庫 203頁 390円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 1章 哀愁編 / 2章 冷汗編 / 3章 ハラハラ編 (ほか)
- 評価
- ★★★
業界内輪話的ヨタも面白いのだが、恋愛編などの身に覚えがあるゾ系のエッセイの方が乗りやすい。恋人の父ってそんなもんだ。「爆走むねのりスペシャル1号物語」の不如意なマシンには(身に覚えはないわけだが)爆笑。
『平成トム・ソーヤー』

- 発行
- 1992年11月 集英社 331頁 絶版 購入
- 発行
- 1998年2月 集英社文庫 402頁 680円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 平成トム・ソーヤー
- 評価
- ★★★
神業のようなスリの技をもった高校生。そんな少々トリッキーな設定にもかかわらず、見事に青春小説的だ。初々しい恋の季節だね。手業を生かしてある冒険に向かうのだが、そこここに魅力的な紆余曲折があり楽しめる。
『透明な地図』

- 発行
- 1992年11月 エフエム東京 158頁 1529円 購入
- 発行
- 1997年2月 角川文庫(『海の短篇集』と改題) 146頁 399円 購入
- 共著
- 写真:山口昌弘
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 取り憑く島 / 何を入れる箱 / 願いをひとつ (ほか)
- 評価
- ★★★
文庫改題のとおり海を舞台にした短編集。南島の黒魔術、成長する石、天使の入った箱など不思議な物語が波打ち際で洗われている。ラジオ台本が元になっていると聞くと確かにそれっぽい。奇妙な体験を横耳で聞く感じ。
『どこにもない短篇集』

- 発行
- 1993年2月 徳間書店 223頁 絶版 購入
- 発行
- 1997年6月 徳間文庫 205頁 480円 購入
- 発行
- 2003年2月 角川文庫 216頁 480円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ただ開いているだけの穴 / 祖父のメンテナンス / 何のアレルギー? (ほか)
- 評価
- ★★★
誰もいなくなった町。額にバツが刻まれている感覚に悩む男。ファックスから出てきた腕。ネジの緩んでいる認識を振りかざし、魅力的に異世界を描く掌編集。スリッパとカステラの見分けがつかないおちゃめぶりもいい。
『こんなものを買った』

- 発行
- 1993年8月 毎日新聞社 229頁 1325円 購入
- 発行
- 1996年6月 新潮文庫 236頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- こんな編 / ものを編 / 買った編 (ほか)
- 評価
- ★★★
買い物日記。憧れのマスクメロンに能率手帳、カンフーシューズと非常に雑多な買い物人生。「買ったものに遊ばれている」状態で右往左往する、彼の腰砕けっぷりを楽しむエッセイでありますね。日々テンション高いな。
『はたらく青年』

- 発行
- 1994年2月 中央公論新社 226頁 絶版 購入
- 発行
- 1997年10月 中公文庫 310頁 絶版 購入
- 発行
- 2002年4月 角川文庫 267頁 520円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- スタンドボーイの哄笑 / ホットドッグマンの落胆 / ウエイターの痛恨 (ほか)
- 評価
- ★★★
バイト遍歴話。『十九、二十』のモチーフになったエロ本配達バイトの話が肝か。「日本一カッチョよく歩くマネージャー」とか「はまさん」とか、情景が目に浮かぶ「バイト学生から見た大人」の生態観察も心温まるね。
『買った買った買った』

- 発行
- 1995年12月 毎日新聞社 237頁 1325円 購入
- 発行
- 1999年3月 新潮文庫 246頁 絶版 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 買った編 / 買った買った編
- 評価
- ★★★
買い物エッセイ第二弾。足の裏に刺さった棘が抜けないとかダラダラなエッセイなのにちゃんと買い物になってるのは偉い。「家族サービスする父」的な要素が全体的にあって優しい顔にはなれる。脇の下が痛かろうとも。
『人の短篇集』

- 発行
- 1997年1月 角川書店 171頁 絶版 購入
- 発行
- 2000年1月 角川文庫 181頁 品切 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 電気工事夫の屈託 / 一瞬を生きる / 郵便配達夫の片想い (ほか)
- 評価
- ★★★
誰もが少なからず澱んでいる街の生活から人の心のカタチを拾い上げたタイトルどおりのショートストーリーズ。悔恨から何度も人生をやり直しているような、それでいて何も変わらない無力感を突きつけるような掌編集。