東直子の100字レビュー(すべて)

東直子書評ページ

『春原さんのリコーダー』

表紙

発行
1996年12月 本阿弥書店 155頁 品切 購入
NDC
911(日本文学>詩歌)
目次
ひやしんす / 草かんむりの訪問者 / ひんやり風の吹く朝に (ほか)
所要
0時間50分
評価
★★★

第一歌集。柔らかくて押し付けがましさのない作品たちだが、誠実なふわふわさ。遠い景色を提げてるような遠近感のズレが心地よい。お気に入りはこの歌。「廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て」

『短歌はプロに訊け!』

表紙

発行
2000年4月 本の雑誌社 318頁 絶版 購入
発行
2005年10月 角川ソフィア文庫(『短歌はじめました。』と改題) 253頁 660円 購入
共著
共著:穂村弘/沢田康彦
NDC
911(日本文学>詩歌)
目次
クリスマス / 電話 / 傷 (ほか)
所要
4時間
評価
★★★

短歌同人誌「猫又」の歌を評する座談会。回を追うごとに同人の技術も個性もはっきりして「プロレス」なんてお題だって伸び伸びバラバラ。プロの歌にはない飛ばし方があって楽しい。穂村が「型」にうるさいのが意外。

『青卵』

表紙

発行
2001年12月 本阿弥書店 213頁 2415円 購入
NDC
911(日本文学>詩歌)
目次
海の椅子 / 嗽薬 / つがいのナイフ (ほか)
所要
1時間20分
評価
★★★

さようなら窓。音の連れてくる情景が意味よりもまず先にあって、全体的にジャンプ率が高め。気持ちよく迷子になれる。旧かなに凝ってた時期のも同じ。しかし一冊にこんなに詰めちゃっていいの?ってたっぷりの歌集。

『回転ドアは、順番に』

表紙

発行
2003年8月 全日出版 175頁 絶版 購入
発行
2007年11月 ちくま文庫 195頁 609円 購入
共著
共著:穂村弘
NDC
911(日本文学>詩歌)
目次
遠くから来る自転車を / 青空くさいキスのはじまり / 月を見ながら迷子になった (ほか)
所要
0時間40分
評価
★★★★★

恋を歌い、愛を詩う交換詩歌集。キラキラした想いの結晶が夏の残り香を連れてくる。台所から出てきたような語彙で折り重なる呼吸の密度は軽々と現実を超える。中盤の交歓の節が完璧だから、二人の行方が涙腺に響く。

『短歌があるじゃないか。 一億人の短歌入門

表紙

発行
2004年5月 角川書店 222頁 1365円 購入
共著
共著:穂村弘/沢田康彦
NDC
911(日本文学>詩歌)
目次
きらきら / 草 / 人名を入れ込んで詠む (ほか)
所要
3時間
評価
★★★

お題で詠んだ同人歌を三人で選考評論。プロの短歌と並ぶとその感覚の飲み下し方がやはり違うのだと分かったような気になる短歌入門。それでも素人なりの瞬発力で特に「ママン」の章では背筋の寒くなる歌が高水準だ。

『愛を想う』

表紙

発行
2004年9月 ポプラ社 101頁 1260円 購入
共著
共著:木内達朗
NDC
911(日本文学>詩歌)
目次
手を重ねあうだけで / たましいなんて欲しくなかった / 好き、です。 (ほか)
所要
0時間30分
評価
★★★★

歌画集。可愛らしくて抱きしめたくなる歌ばかり。甘さじゃなくって痛みが、きりきりと想いを伝えてくる。愛について考えることは、苦しいことだね。イラストがまたいかしてんだ。触角のない蝶はちょっと夢に見そう。

『長崎くんの指』

表紙

発行
2006年7月 マガジンハウス 205頁 1470円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
長崎くんの指 / バタフライガーデン / アマレット (ほか)
所要
1時間50分
評価
★★★★

夢みたいに透明で静やかな遊園地をめぐる連作短編小説集。なんて優しい人物造形。蝶守の岩山さんも観覧車番の森田さんも疲れたマリアさんも、みな柔らかく何かを放ってる。微笑みながら泣くときの、ほら、あの感じ。

『今日のビタミン 短歌添え

表紙

発行
2006年9月 本阿弥書店 153頁 1260円 購入
NDC
596(家政学・生活科学>食品 料理)
目次
黒豆の時間 / 鍋の中 / 適当ちらしずし (ほか)
所要
1時間
評価
★★★

ちらしずし、春の天麩羅、シナモン入りのハンバーグ。食に関する短いエッセイで、それぞれに短歌が一首添えられてる。平穏な生活の上に食材がきらきら開いてゆくほどの幸、そのあるがままの旨味を堪能できる一冊だ。

『とりつくしま』

表紙

発行
2007年5月 筑摩書房 201頁 1470円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
ロージン / トリケラトプス / 青いの (ほか)
所要
1時間30分
評価
★★★★

心を残して逝った人々がマグカップやジャングルジムや日記帳やらにとりついて、自分がいなくなった後の世界を見つめる短編集。愛した人を見つめるだけの寂しさと静けさと。しんと心拍数が下がっていくような文章で。

『さようなら窓』

表紙

発行
2008年3月 マガジンハウス 221頁 1575円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
青鬼 / カブ / お春さん (ほか)
所要
1時間20分
評価
★★★

初の長編。名歌「さようなら窓さようならポチ買い物にゆけて楽しかったことなど」から膨らませた恋愛小説だから、この短歌だけで泣ける人はぜひ。幼さと切なさと心細さと、二人で過ごした思い出の詰まるこの部屋で。

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