『日蝕』

- 発行
- 1998年10月 新潮社 189頁 絶版 購入
- 発行
- 2002年2月 新潮文庫 212頁 420円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 日蝕
- 評価
- ★★★★★
15世紀南仏。とある神学僧が森に住む錬金術師と出会い、事の真実へと潜ってゆく。両性具有者、魔女、神と悪魔の長編。難解な文体は中世の禍々しくも美しい世界を描ききるために選び取られ、適切な効果を成している。
『一月物語』

- 発行
- 1999年4月 新潮社 210頁 絶版 購入
- 発行
- 2002年9月 新潮文庫 181頁 380円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 一月物語
- 評価
- ★★★
明治の十津川を舞台にした物語。夢か現か、聖か毒か。つまりは胡蝶の夢だ。真拆は「明治の人みたいに」真実を悩む。ストーリーとしては平凡と言えるが読めない漢字と大時代的な文章修辞で時代を感じさせる現代文学。
『文明の憂鬱』

- 発行
- 2002年1月 PHP研究所 187頁 絶版 購入
- 発行
- 2005年12月 新潮文庫(24編を追加) 264頁 460円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 「玩具」と「ペット」 / 加工の技術 / 得体の知れぬもの (ほか)
- 所要
- 1時間30分
- 評価
- ★★★
後付のタイトルのわりにはちゃんと文明の憂鬱。AIBO、ライフスペース、米国テロなど時事ニュースを取り上げるが、枚数の都合か論考自体はそんなに深くない。でも新しい視点の提示が意図され、いわばブログ風の憂鬱。
『葬送』

- 発行
- 2002年8月 新潮社(第一部) 553頁 絶版 購入
- 発行
- 2002年8月 新潮社(第二部) 713頁 絶版 購入
- 発行
- 2005年7月 新潮文庫(第一部 上) 355頁 540円 購入
- 発行
- 2005年7月 新潮文庫(第一部 下) 364頁 540円 購入
- 発行
- 2005年8月 新潮文庫(第二部 上) 457頁 660円 購入
- 発行
- 2005年8月 新潮文庫(第二部 下) 475頁 660円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 葬送
- 所要
- 21時間50分
- 評価
- ★★★★
激動するパリを舞台にショパンとドラクロワ、二人の天才を追う大作。物語的には大味なんだけれども、気が遠くなりかけるたびに目覚しい比喩で引き戻される。特に演奏会では美しすぎる描写に感嘆。この文章力は本物。
『高瀬川』

- 発行
- 2003年3月 講談社 221頁 1575円 購入
- 発行
- 2006年10月 講談社文庫 252頁 560円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 清水 / 高瀬川 / 追憶 (ほか)
- 評価
- ★★★★
読みにくいだけの「追憶」や「氷塊」を評価するつもりはないんですが。表題作での日本的「私小説」の手玉の取り方に、奇抜だけでない力を感じるので。『日蝕』での読みは誤読だったのではないかと思わせるまともさ。
『滴り落ちる時計たちの波紋』

- 発行
- 2004年6月 文藝春秋 295頁 1600円 購入
- 発行
- 2007年6月 文春文庫 346頁 630円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 白昼 / 初七日 / 珍事 (ほか)
- 所要
- 3時間40分
- 評価
- ★★★★
いろんな人が試し終わった「文学実験」に果敢にも乗り出す短編集。『最後の変身』の印象が強すぎて他が霞むのだが、引き篭る男の濃密な怨念を描きながら精密なカフカ論であるこの一編のためだけにも賞賛されてよい。
『顔のない裸体たち』

- 発行
- 2006年3月 新潮社 160頁 1365円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 「大阪城にて」 / <吉田希美子>と<ミッキー> / 恋らしきもの (ほか)
- 所要
- 3時間
- 評価
- ★★★
出会い系サイトで知り合った男に撮られたセックス写真が、ネットで流れてゆく。「事件の背景」として描かれているので地味な生い立ちも緊張感が持続する。その「事件」に意外性がないのでそのまんまで終わるのだが。
『本の読み方 スロー・リーディングの実践』

- 発行
- 2006年8月 PHP新書 224頁 756円 購入
- NDC
- 019(図書館・図書館学>読書 読書法)
- 目次
- 第1部 量から質への転換を / 第2部 魅力的な「誤読」のすすめ / 第3部 古今のテクストを読む
- 所要
- 2時間20分
- 評価
- ★★★
本はじっくり時間をかけて読んだ方が身になるよと「反速読」のススメだが、この本を手に取る人には皆そんなこと当たり前なんじゃないかな。テクニックの部分よりも、実践編として古今のテキストを読み説くのが見所。
『ウェブ人間論』

- 発行
- 2006年12月 新潮新書 203頁 714円 購入
- 共著
- 共著:梅田望夫
- NDC
- 547(電気工学・電子工学>通信工学 電気通信)
- 目次
- ウェブ世界で生きる / 匿名社会のサバイバル術 / 本、iPod、グーグル、そしてユーチューブ (ほか)
- 所要
- 1時間40分
- 評価
- ★★★
ウェブ進化した先で人間はどのように存在するか。もっと言えばこれからどう生きるのが得か、だな。対談なので性善説的な期待と、楽観への疑義がバランスよく入って。紙媒体の動きも語るので本好きも手に取っていい。
『あなたが、いなかった、あなた』

- 発行
- 2007年1月 新潮社 294頁 1680円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- やがて光源のない澄んだ乱反射の表で……/『TSUNAMI』のための32点の絵のない挿絵 / 鏡 / フェカンにて (ほか)
- 所要
- 4時間20分
- 評価
- ★★★
実験小説群。「母と子」の多面体の様相、同時発生する選択肢は確かに見たことのない世界。読み進める楽しみがある。自己満足に近いものもあるんだが、その鍛錬の結果として出てくるはずの作品を今後に期待しようか。