『最後の吐息』

- 発行
- 1998年1月 河出書房新社 161頁 1260円 購入
- 発行
- 2005年11月 河出文庫 180頁 504円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 最後の吐息 / 紅茶時代
- 所要
- 2時間
- 評価
- ★★★★
メキシコの熱と匂いと色彩。蜜のしたたる濃密な文体は中上健次ばりの息苦しさで、眩暈してるうちに場面は大きく跳躍している。見失うなよと身をくねらせる魚の残影が快い。併録の「紅茶時代」は途中で見失ったけど。
『嫐嬲 (なぶりあい)』

- 発行
- 1999年10月 河出書房新社 189頁 1680円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 嫐嬲(なぶりあい) / 裏切り日記 / 溶けた月のためのミロンガ
- 評価
- ★★★★
性別も名前も剥ぎ取った大・中・小3人の共同生活。誰でもない者同士で円環でいられるわけもなく、小さなテロをしかけて自分を確認することになる。その過程がスリリングでよい。「溶けた月の〜」は分かりにくすぎ。
『目覚めよと人魚は歌う』

- 発行
- 2000年5月 新潮社 148頁 絶版 購入
- 発行
- 2004年11月 新潮文庫 152頁 340円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 目覚めよと人魚は歌う
- 評価
- ★★★
孤絶した土地に逃げ込んだ日系ペルー人と、彼らを匿う意志もなくただ過去と現在を往復する女と、修復できない関係性を見せつける長編。幻想の向こう、曖昧なまま捨て置かれた事物が多すぎてもったいない気もするが。
『毒身温泉』

- 発行
- 2002年7月 講談社 173頁 絶版 購入
- 発行
- 2007年7月 講談社文庫(『毒身』と改題) 189頁 540円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 毒身帰属 / 毒身温泉 / ブラジルの毒身
- 所要
- 2時間30分
- 評価
- ★★★
南米を幻視する、マンゴーが実る中庭のハンモックで、ジェンダーをぶらぶら揺らしてる独身者のコミュニティ。共同体の始まりと終わりを描出しようと企みつつも「毒身帰属」とかシャレちゃうのはなぜなのか、照れか?
『ファンタジスタ』

- 発行
- 2003年3月 集英社 228頁 1785円 購入
- 発行
- 2006年4月 集英社文庫 238頁 600円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 砂の惑星 / ファンタジスタ / ハイウェイ・スター
- 所要
- 3時間40分
- 評価
- ★★★★
カラフルな幻想の短編集。スポーツと政治がユニフォームを交換し合う近未来の表題作は、こんなに不愉快で健康的な夢は見たことない。移民の歌「砂の惑星」にしてもイメージも言葉も奔放かつ強固で、安心して入れる。
『ロンリー・ハーツ・キラー』

- 発行
- 2004年1月 中央公論新社 253頁 1890円 購入
- 発行
- 2007年4月 中公文庫 277頁 840円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 静かの海 / 心中時代 / 昇天峠
- 所要
- 4時間20分
- 評価
- ★★★★
若オカミ亡き後の混沌たる心中事件。三人の手記がこの島国のムードに活を入れる。パラレルワールドとしての近未来は天皇制を反射板にしてリアルの思索へ帰ってくる。「生の実感」のために登場人物も作家も闘ってる。
『アルカロイド・ラヴァーズ』

- 発行
- 2005年1月 新潮社 155頁 1470円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- アルカロイド・ラヴァーズ
- 所要
- 1時間30分
- 評価
- ★★★★
植物的な生殖、あるいは無性的な愛をもって生を繰り返し、唯一の死を何度も死になおす。神話的なモチーフと噎せんばかりの甘い植物毒。そこは本当に楽園なのかな? 仮初の世に早く土に還りたいと願うに足るような?