花村萬月の100字レビュー(1998〜)

花村萬月書評ページ

『ぢん・ぢん・ぢん』

表紙

発行
1998年7月 祥伝社 676頁 2940円 購入
発行
2001年3月 祥伝社文庫(上) 544頁 860円 購入
発行
2001年3月 祥伝社文庫(下) 616頁 860円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
序章 / 第一章 トマトタンメン / 第二章 イナオリズム (ほか)
評価
★★★★★

大長編哲学小説。ヒモ修行中のイクオが出会う尋常ならざる人物達。美醜は本質的にムゴイものだ。差別することされること、イクオは明暗を流れる。延々繰り返されるセックス描写と黙考が一つの倫理体系を築いている。

『ゲルマニウムの夜』

表紙

発行
1998年9月 文藝春秋 251頁 1300円 購入
発行
2001年11月 文春文庫(『ゲルマニウムの夜 王国記I』と改題) 316頁 540円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
ゲルマニウムの夜 / 王国の犬 / 舞踏会の夜 (ほか)
評価
★★★

娑婆から修道院へ戻った朧は罪を重ねつづける。おお神よ!という芥川賞受賞作。しかし、どうにも言葉が固い。特に前半は単にノりづらい修辞の羅列。思ったほどグロくはないが「キックガッツという祈り」は少々痛い。

『二進法の犬』

表紙

発行
1998年11月 光文社カッパ・ノベルス 755頁 品切 購入
発行
2002年2月 光文社文庫 1099頁 1100円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
第一章 家庭教師 / 第二章 白黒の犬 / 第三章 ちいさな変化 (ほか)
所要
11時間30分
評価
★★

極道娘の家庭教師になった男が知る闇の世界とせつねぇ愛。なるほど教師なら不要な知識振りかざしても文句ない。手本引きで落とす博奕の緊張感などメリハリはあるが長い。退屈しそうになるたびにサービスエロシーン。

『守宮薄緑』

表紙

発行
1999年3月 新潮社 251頁 絶版 購入
発行
2001年9月 新潮文庫 295頁 460円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
崩漏 / 守宮薄緑 / 核 (ほか)
評価
★★★

珍しくメタ的な「犬の仕組」があるほかは愛と暴力とサービス精神に満ちた作品が並ぶ短編集。グロいことはグロいんだが、沖縄のヤモリだとかの冷ためのイメージを配置しているので飲み下せる。しかし確信犯だよなぁ。

『王国記』

表紙

発行
1999年12月 文藝春秋 259頁 1300円 購入
発行
2002年11月 文春文庫(『ブエナ・ビスタ 王国記II』と改題) 270頁 470円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
ブエナ・ビスタ / 刈生の春
評価
★★★

『ゲルマニウムの夜』の続編にあたる中編二編。修道院に戻った朧の目指す王国。「ブエナ・ビスタ」の強固に理論武装された神の視座と還俗した先生の風俗体験とでは、傲慢の質は違うのだろうか。宗教という閉鎖空間。

『風転』

表紙

発行
2000年6月 集英社 691頁 2730円 購入
発行
2003年9月 集英社文庫(上) 421頁 720円 購入
発行
2003年10月 集英社文庫(中) 442頁 760円 購入
発行
2003年11月 集英社文庫(下) 404頁 700円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
第一章 うど橋 / 第二章 刺青の男 / 第三章 盗作 (ほか)
評価
★★

父を殺して逃亡する。が、すぐ楽しげなバイク野宿旅(ヤクザ同伴)になるし、ただ旅立つ動機を与えたかっただけかもね。「能書きを垂れて照れる」という構造を全ての登場人物がもっているので、哲学か豆知識かは豊富。

『汀にて 王国記II

表紙

発行
2001年2月 文藝春秋 268頁 1350円 購入
発行
2004年2月 文春文庫(『汀にて 王国記III』と改題) 268頁 490円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
汀にて / 月の光
評価
★★★

アスピラント教子とともに修道院を抜け出した朧は五島列島へ向かう。妊娠することのない教子を抱きながら神について考える。知恵熱に浮かされているだけなんだ。宗教を語りつつ通俗的であろうとあえてやってるのか?

『自由に至る旅 オートバイの魅力・野宿の愉しみ

表紙

発行
2001年6月 集英社新書 252頁 777円 購入
NDC
915(日本文学>日記 書簡 紀行)
目次
第1章 オートバイとの出会い / 第2章 北海道への旅 / 第3章 基本は野宿 (ほか)
所要
2時間50分
評価
★★★

バイク旅のハウツー。野宿の滋味を知ってる人なら「自由とは?」に深く頷けることだろう。技術過信と車自慢が最小限になってるので、半島の風圧、林道の匂い、走る歓びが余す所なく。スピード信仰は止しましょうね。

『雲の影 王国記III

表紙

発行
2003年3月 文藝春秋 284頁 1500円 購入
発行
2006年2月 文春文庫(『雲の影 王国記IV』と改題) 286頁 600円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
雲の影 / PANG PANG
所要
3時間
評価

朧と教子の宗教哲学風ダベり&エロ、百合香と赤羽の未来のない再会&エロ、ってどうなのよ。会話はすべて独り言、エロも一人でヤッてるような弛緩モード。王国は遥かに遠く、こんな場所でわだかまってちゃいかんぞ。

『虹列車・雛列車』

表紙

発行
2003年6月 集英社 236頁 1470円 購入
発行
2006年7月 集英社文庫 241頁 500円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
虹列車 / 金城米子さん / 癈鶏の (ほか)
所要
3時間40分
評価
★★★

北へ旅する青春小説で沖縄猥雑私小説を挟み込む構成。沖縄部、特に「金城米子さん」は筆に淫する冗長さで良くも悪くも唸るしかないのだが、最後が爽やかな分だけ雛にだまされたような気がする。旅を自在に操る作家。

『青い翅の夜 王国記IV

表紙

発行
2004年1月 文藝春秋 288頁 1500円 購入
発行
2007年4月 文藝春秋(『青い翅の夜 王国記V』と改題) 282頁 600円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
むしろ揺り籠の幼児を / 青い翅の夜
所要
2時間30分
評価
★★

僕が作ろうとしていた王国、その王は僕ではなかったんだと気づくシリーズ転換点。この物語読み進むのが辛くなってきてた頃だが真の王の登場で繋ぎとめられる。偽悪的なジャンが押し出すトーンも新たな展開を運んで。

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