トップ > 現代文学100字レビュー > 日本作家(か行) > 小林恭二
最新書評:2008年3月22日
汚染により封鎖され遺棄された北の半島で霊界を見る「半島記」。自我を捨てる教団が爛熟の南島で拡大する「群島記」。どちらも『ゼウスガーデン衰亡史』と地続きの物語だけど、短編としてのシンプルな志向性が良い。
現代から幕末へタイムスリップしてきた若者と歌舞伎を楽しみながら、着物や料理など江戸風俗の粋を講習する設定。黙阿弥『三人吉三』の名演に思わず引き込まれる。因果の闇、その退廃美がやっぱり江戸末期の魅力で。