『電話男』

- 発行
- 1985年5月 ベネッセコーポレーション 216頁 絶版 購入
- 発行
- 1987年7月 福武文庫(併録作品を『小説伝・純愛伝』と入れ替え) 253頁 絶版 購入
- 発行
- 2000年6月 ハルキ文庫 230円 品切 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 電話男 / 迷宮生活
- 評価
- ★★★
孤独な現代にあって、電話でのコミュニケーションで唯一他人と接続できる哀しい人間達の物語。それは(ハルキ文庫解説にあるように)確かにインターネット時代を予見するものであるんだろう。暗闇で静かに語り合おう。
『小説伝・純愛伝』

- 発行
- 1986年3月 ベネッセコーポレーション 241頁 絶版 購入
- 発行
- 1988年11月 福武文庫(併録作品を『電話男』と入れ替え『小説伝』と改題) 226頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 小説伝 / 純愛伝
- 評価
- ★★★★★
小説の中に小説があり、その中に小説がある、その中にまた…という多層構造小説を題材とした小説。未だ誰も最後まで読みきったものがいないというその長大な小説に、周到な準備をして挑む者たちを描く。企画の勝利。
『ゼウスガーデン衰亡史』

- 発行
- 1987年6月 ベネッセコーポレーション 379頁 絶版 購入
- 発行
- 1991年1月 福武文庫 444頁 絶版 購入
- 発行
- 1999年1月 ハルキ文庫(1編を追加) 509頁 品切 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ゼウスガーデン衰亡史
- 評価
- ★★★★
鮫入りプールなど奇抜なアトラクションで注目を集め、日本全土へ勢力を広げ、爛熟し、ついには没落へ至る遊戯場ゼウスガーデン。古代ローマ史を基に、時に戦国武将伝のようでもある年代記。構築的冗談の迫力たるや。
『半島記・群島記』

- 発行
- 1988年9月 新潮社 221頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 半島記 / 群島記
- 所要
- 2時間30分
- 評価
- ★★★
汚染により封鎖され遺棄された北の半島で霊界を見る「半島記」。自我を捨てる教団が爛熟の南島で拡大する「群島記」。どちらも『ゼウスガーデン衰亡史』と地続きの物語だけど、短編としてのシンプルな志向性が良い。
『荒野論』

- 発行
- 1991年3月 ベネッセコーポレーション 222頁 絶版 購入
- 発行
- 1995年12月 福武文庫 234頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 荒野論 / ゴブリン / 記憶 (ほか)
- 評価
- ★★★
短編集。いや、詩集なのかもしれない。理詰めの心地よさが著者の魅力の一つだ。「斜線を引く」のデジタルな反復運動をはじめ、この多彩な作品群でそのことがよくわかる。『小説伝』の自己解体というべき物語も収録。
『俳句という遊び 句会の空間』

- 発行
- 1991年4月 岩波新書 259頁 819円 購入
- NDC
- 911(日本文学>詩歌)
- 目次
- 句会の空間 / ある俳句史―飯田龍太と三橋敏雄 / 句会の醍醐味 (ほか)
- 所要
- 2時間20分
- 評価
- ★★★
絶賛を集める名句、場を和ます洒落句が並ぶなか、句会の緊張感が伝わる。自分の作品が評されている間のとぼけ具合が皆さん上手かったりして。豪華メンバーだが特に高橋睦郎のアタックの強い言葉選びにぐっと来ます。
『悪夢氏の事件簿』

- 発行
- 1991年5月 集英社 269頁 絶版 購入
- 発行
- 1997年4月 集英社文庫 290頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 悪夢氏最初の御挨拶 / 新・自殺クラブ / 不死の悩み (ほか)
- 評価
- ★★★
いままで悪い夢しか見たことがないという悪夢氏のもとに持ちこまれる悪夢的事件を描く連作的長編。「自殺クラブ」、不死の悩み。理知的であるということは世の中が退屈に見えるということ。全てが馬鹿げたゲームで。
『瓶の中の旅愁 小説の特異点をめぐるマカロニ法師の巡礼記』

- 発行
- 1992年4月 ベネッセコーポレーション 353頁 絶版 購入
- 発行
- 1996年5月 福武文庫 423頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 瓶の中の旅愁
- 評価
- ★★★
小説の仕組みを事細かにあげつらうメタ・フィクション。「最高の言葉」を求めてマカロニ法師一行は世界を旅する、小説という小さな容器から逸脱することを楽しみながら。物語に浸らせないことが、物足りなくもある。
『浴室の窓から彼女は』

- 発行
- 1992年7月 角川書店 212頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 浴室の窓から彼女は
- 評価
- ★★★
ラブストーリー、確かにそうなんだけれど微妙。妄想の小部屋に閉じこもっている男と、妄想を実現させるタイプの女、現実的な妄想のありかたを探してるようだ。作者がウィザードリィ好きであることだけはよく分かる。
『日本国の逆襲』

- 発行
- 1992年10月 新潮社 226頁 絶版 購入
- 発行
- 1996年7月 新潮文庫 252頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 大相撲の滅亡 / 千年観光団 / 懐瘋 (ほか)
- 評価
- ★★★★
日本経済の世界制覇を揶揄した表題作を含む短編集。「車神」は車を崇めたてる精神構造を皮肉っていて共感できるから好き。他の短編も良質の日本人論であり高水準のエンタテイメント。凡庸な日本人たることは難しい。
『邪悪なる小説集』

- 発行
- 1996年6月 岩波書店 301頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 銃を持つ少女 / 再臨 / 救済 (ほか)
- 評価
- ★★★
「虚構は混沌を分類するコードに過ぎない」という台詞を借りれば、確かに邪悪なものとして分類されるんだろうな。ちょっと怖くって解説できない短編もありつつ。奇妙なラブストーリー「予言」が何故だか身に染みる。
『短歌パラダイス 歌合二十四番勝負』

- 発行
- 1997年4月 岩波新書 256頁 絶版 購入
- NDC
- 911(日本文学>詩歌)
- 目次
- 1日目 地獄 / 幕間 辺獄 / 2日目 煉獄
- 所要
- 3時間50分
- 評価
- ★★★
現代を代表する歌人が20人も集まって短歌でバトる「歌合」。歌自身(大滝和子の芽は白眉)や著者の深い読解ももちろん痺れるが、それより褒めあい落としあいの白熱討論がすごい。二日目がやや急ぎ足なのは少々残念だ。
『数寄者日記 無作法御免の茶道入門!』

- 発行
- 1997年10月 淡交社 206頁 絶版 購入
- NDC
- 791(諸芸・娯楽>茶道)
- 目次
- 数寄者日記 / スペシャル茶会―秘すれば花
- 所要
- 2時間50分
- 評価
- ★★★
茶道をまったく知らない著者がぶつかり稽古、その無作法ぶりに悲鳴を上げる茶会。冷や汗ドタバタでも大丈夫!という手引書だ。経験値低めのまま最後は主人まで務めてしまうからすごい。茶器や掛物についても学べる。
『カブキの日』

- 発行
- 1998年6月 講談社 321頁 絶版 購入
- 発行
- 2002年7月 新潮文庫 385頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- カブキの日
- 評価
- ★★★★★
世界座の楽屋に広がる広大な迷宮を蕪は進む。切幕を与えられた京右衛門の荒れた舞台に、やがて神が降りてくる。歴史を越える「藝」を描きながら文藝の魅力を発揮した長編。神の舞というクライマックスに目も釘付け。
『父』

- 発行
- 1999年7月 新潮社 240頁 絶版 購入
- 発行
- 2003年3月 新潮文庫 299頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 父
- 所要
- 4時間
- 評価
- ★★★
満州で生まれ戦後を探究思索に生き、緩やかな自死を求めた父の姿を追う。後年父に心を閉ざしてしまうくだりでどきりとするが、徹底した客観性・理に勝った描出はそれゆえにか。この時代の人物像からの逸脱は確かだ。
『悪への招待状 幕末・黙阿弥歌舞伎の愉しみ』

- 発行
- 1999年11月 集英社新書 205頁 693円 購入
- NDC
- 774(演劇・映画>歌舞伎)
- 目次
- 第一章 いざ、幕末江戸の芝居小屋へご招待 / 第二章 「稲瀬川庚申塚の場」 / 第三章 「葛西が谷夜鷹宿の場」&「高麗寺前の場」 (ほか)
- 所要
- 3時間
- 評価
- ★★★
現代から幕末へタイムスリップしてきた若者と歌舞伎を楽しみながら、着物や料理など江戸風俗の粋を講習する設定。黙阿弥『三人吉三』の名演に思わず引き込まれる。因果の闇、その退廃美がやっぱり江戸末期の魅力で。
『首の信長』

- 発行
- 2000年5月 集英社 307頁 1890円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 筑波嶺日記 / 聖者伝 / 怨霊巌流島 (ほか)
- 評価
- ★★★★
歴史管理人のミスから運を失くした信長。何度リセットしてもその首はあっさりはねられる。SFチックな歴史小説集で、ドタバタの中にも色気ある文章。ファンなら怒りそうな幕末の志士伝(オットセイの西郷)なんてのも。
『モンスターフルーツの熟れる時』

- 発行
- 2001年5月 新潮社 195頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 君枝 / 友子 / 千原 (ほか)
- 評価
- ★★★
町の風景を食い尽くす「誰とでも寝る女の子」、美貌のために命を削る元彼女、僕はある約束を思い出さなければならない。連作的長編だが、変わり続ける歴史をただ眺める無力感が味わえる。そんな微笑ましく深い絶望。
『宇田川心中』

- 発行
- 2004年3月 中央公論新社 449頁 1995円 購入
- 発行
- 2007年3月 中公文庫 501頁 1000円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 宇田川心中
- 所要
- 4時間20分
- 評価
- ★★★★
渋谷道玄坂を舞台に、森と渓谷の地であった頃から江戸時代、現代を飛び超える愛憎の流転。何度転生しても再び逢うという約束が浄瑠璃的世界で煌く佳作。後半の派手な展開はやりすぎだけどその過剰さもまた著者の味。