鴻上尚史の100字レビュー(1983〜93)

鴻上尚史書評ページ

『朝日のような夕日をつれて』

表紙

発行
1983年6月 弓立社 158頁 絶版 購入
発行
1991年8月 弓立社(『朝日のような夕日をつれて NEW VERSION』として) 169頁 品切 購入
NDC
912(日本文学>戯曲)
目次
朝日のような夕日をつれて
評価
★★★★

第一戯曲集。ゴドーを待ちながら、終わらない遊戯に明け暮れる世界。いや、終わりを遊んでいるのだろうか? 強力な無意味は神の領域だ。同時代的エンタテイメントでありながら、そこから走り去る速度がたまらない。

『宇宙で眠るための方法について』

表紙

発行
1984年2月 弓立社 166頁 絶版 購入
NDC
912(日本文学>戯曲)
目次
開場 / 第1幕 こうして私はどん底に転落した / 休憩時間 (ほか)
評価
★★★

学生のおちゃらけ的な劇中劇の連鎖から生まれ出るアイロニー。狂言回し、断食芸人、ダンサーがメタを食い尽くす。終わりのスイッチを押すのは誰なのか。安心して眠れる場所なんてここにはない。付録付き第二戯曲集。

『デジャ・ヴュ』

表紙

発行
1984年3月 新水社 208頁 1470円 購入
発行
1986年6月 新水社(『デジャ・ヴュ'86』として) 228頁 絶版 購入
NDC
912(日本文学>戯曲)
目次
付録I / 戯曲 デジャ・ヴュ / 付録II (ほか)
評価
★★★★

素敵な夢が欲しい、フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン! 同じシーンが何度か繰り返されるという表題だが、それでいてスピーディーに進む。真理から遠く離れて踊られるオクラホマミキサーと、アップデイトなジョーク。

『モダン・ホラー』

表紙

発行
1985年2月 白水社 176頁 1575円 購入
NDC
912(日本文学>戯曲)
目次
モダン・ホラー
評価
★★★

宇宙の果てで、終わってしまった者たちが集う、終わりなき宴。終わりから始めるというのは劇団としての痛い決意なのだがそれも感じさせず、ラストで神の出自が解き明かされようとも手遅れなくらいにドタバタ度高し。

『嘘が大好き』

表紙

発行
1985年6月 CBS・ソニー出版 269頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
ごあいさつ / 第一章 / 第一章改メごあいさつII (ほか)
所要
1時間50分
評価
★★★

初の書き下ろしエッセイ。恋愛論と見せかけて「グループ交際」がいま圧倒的に正しい!と80年代的なふざけた言い切りだけで全編を書き流したものだが、不倫の定義について「なるほどそうだ」と膝を打ってる俺ガイル。

『スワン・ソングが聴こえる場所』

表紙

発行
1987年3月 弓立社 204頁 絶版 購入
NDC
912(日本文学>戯曲)
目次
スワン・ソングが聴こえる場所
評価
★★★★★

核戦争三部作と呼ばれる初期三作の完結編。核戦争後のシェルターで鳴る物語。廃墟ではじける嬌声。生き残った者は何処へ向かい、遺言(=スワン・ソング)は誰が聞くのか。行こう、廃墟へ。舞い降りる意志が胸を打つ。

『冒険宣言 モダン・アドベンチャー・フェスティバル

表紙

発行
1987年4月 光文社 283頁 絶版 購入
発行
1993年3月 光文社文庫 346頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
第一幕 温泉的冒険! / 第二幕 恋愛的冒険! / 第三幕 朝日的冒険! (ほか)
評価
★★★

初のエッセイ集。舞台周辺とも言えないような四方八方の視線放浪ぶりで、温泉に一章を割きつつもほとんど温泉のことを言ってなかったりしながら、温泉へと逃亡する。第17回公演までの「ごあいさつ」も収録している。

『ハッシャ・バイ』

表紙

発行
1987年4月 白水社 183頁 1575円 購入
NDC
912(日本文学>戯曲)
目次
ハッシャ・バイ
評価
★★★★★

流れ星は10分に1度見られる、僕達は10分に1度は願う事を許されているのだ、という「希望」は素晴らしい。絶望の水脈を駆けぬける夢。深い深い眠り。サイコ・ダイブのように心の奥底に何があるのか見極めた傑作戯曲。

『鴻上夕日堂の逆上』

表紙

発行
1988年3月 朝日新聞社 223頁 絶版 購入
発行
1993年10月 新潮文庫 278頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
流行のカラクリI / どうしてコンサートはフル・ボリュームなのか? / どうして紅白歌合戦はつまらないのか? (ほか)
評価
★★★

『村上朝日堂の逆襲』の後を受けた連載エッセイ。現代の「カラクリ」を暴いてしまおうじゃないかという趣旨。純愛にファミコンにテレビにきしめん、その構造を考えながら接近する。それでも軽く読み流せて週刊誌的。

『音楽遊戯』

表紙

発行
1988年5月 シンコー・ミュージック 235頁 絶版 購入
NDC
767(音楽・舞踊>声楽)
目次
松任谷由美−スペシャル編 / 泉谷しげる / 武内亨(ザ・チェッカーズ) (ほか)
評価
★★★

ミュージシャンとの対談集。松任谷由美やエコーズだった頃の辻仁成、結婚したばかりの布袋寅泰・山下久美子夫妻などが目玉か。(当然)音楽の話は余りないが表現欲や愛の引き出し方などに彼らしさが。鮎川誠いいねぇ。

『天使は瞳を閉じて』

表紙

発行
1988年12月 白水社 201頁 絶版 購入
発行
1991年12月 白水社(『天使は瞳を閉じて インターナショナル・ヴァージョン』として) 207+125頁 絶版 購入
発行
2003年11月 白水社(『天使は瞳を閉じて クラシック版』として) 191頁 1995円 購入
NDC
912(日本文学>戯曲)
目次
天使は瞳を閉じて
評価
★★★★

透明な壁に囲まれた街。人類は進化し外へ出て行こうとする。放射能と宇宙線が待っていようとも。「ベルリン 天使の詩」を下敷きに人間になった天使達のその後を描く。天使は世界を見つめているか。91年版は英訳付。

『鴻上夕日堂の逆上 完結編』

表紙

発行
1989年3月 朝日新聞社 238頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
「不倫」の次は何か? / パーティー文化はどこへ行くか? / 「演技」とは何か? (ほか)
評価
★★★

トレンドとその行方を探るエッセイ完結編。尾崎もドラクエもニューヨークも登場。演劇と映画で忙しい中、手抜きもありつつ、流行がものすごい速さで過去になってゆく現在の不安定な足場をきっちりと見据えるその様。

『ピルグリム』

表紙

発行
1989年12月 白水社 166頁 絶版 購入
発行
2003年1月 白水社(『ピルグリム クラシック版』として) 201頁 1680円 購入
NDC
912(日本文学>戯曲)
目次
ピルグリム
評価
★★★★

オアシスという物語に取りこまれていく作者。伝言ダイヤルに、新しい村に、人々は集い去ってゆく。そこがユートピアであるためには何が必要で、誰が不必要なのか。永遠に幸せな場所なんてないんだ。虚ろな幻想の地。

『恋愛王』

表紙

発行
1990年8月 光文社 244頁 絶版 購入
発行
1996年7月 角川文庫 223頁 504円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
”待つほどいい”って言ったわね。長く待ちすぎたんじゃない? / いっしょに堕ちよう。 / 変な所に意地をはって顔では平気な顔をしているんです私って。 (ほか)
評価
★★★★

そうか、ついに恋愛を論じるか。映画や小説のなかの言葉を引用しながら、本当に相手を理解し自分を理解するための方策を伝道する。いい男(女)と出会うためにいい女(男)にならなきゃいけない。確信的大人のエッセイ。

『ビー・ヒア・ナウ』

表紙

発行
1990年12月 白水社 161頁 1575円 購入
NDC
912(日本文学>戯曲)
目次
ビー・ヒア・ナウ
評価
★★★

「お前を誘拐した」という脅迫状が主人公のもとに届く。人格改造セミナーとドロンジョとサブリミナル。様々な種類の時間が流れてはいるが言葉を物語を求める男は意志的に(あるいは消耗的に)ここにいる。取り辛いな。

『鴻上の知恵』

表紙

発行
1992年5月 朝日新聞社 213頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
文化の秘密 / 流行の秘密 / 映像の秘密 (ほか)
評価
★★★

トレンド・ブームの終焉を看取った著者の復帰エッセイ。湾岸戦争、ダイヤルQ2、有害図書、現代の言葉を分かり易く解説し、短い文章で真実に迫ろうとするタッチは変わらず。しかし「エッセイの解説」って難しいなぁ。

『楽園を追われる時に必要な物』

表紙

発行
1992年9月 光文社 238頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
二十世紀の終わりに / レコード千枚聴き / 時評'89〜'91 (ほか)
評価
★★★

一冊分にはならなかった幾種かのシリーズエッセイを寄せ集めたもの。「世紀末」の流行り物とその現象を分析するお得意路線や、音楽時評なんかもあるが、最後にこっそり入っている「演劇論」が実に本物だったりする。

『鴻上の知恵 完結編』

表紙

発行
1993年4月 朝日新聞社 217頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
タクシーの秘密 / お雑煮の秘密 / 一夫多妻制の秘密 (ほか)
評価
★★★

メディアの功罪、文化のあれこれ、時事について的確な批評と深読みをしていたかと思えば、自動車合宿教習の体験記が延々続いたりする。という完結編エッセイ。PKOやODAの秘密もあり、珍しくも本気の怒り口調もある。

『道楽王』

表紙

発行
1993年7月 光文社 234頁 絶版 購入
発行
1995年10月 光文社文庫 305頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
大空道楽 / 占い道楽 / 大阪道楽 (ほか)
評価
★★★

スカイダイビングに砂金採り、温泉など各種道楽に放蕩するエッセイ。屋形船で昼食を食うなんて、なんたる道楽。水族館道楽もカッコいいね。どうせ生きるなら遊んでやろうじゃないか、君もどうだい? という手引書。

鴻上尚史書評ページ