『’THE SCRAP’ 懐かしの一九八〇年代』

- 発行
- 1987年2月 文藝春秋 219頁 1100円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- スクラップ / だいじょうぶです。面白いから−東京ディズニーランド / オリンピックにあまり関係ないオリンピック日記
- 評価
- ★★★
ビリー・ジョエルにカレン・カーペンター、フィッツジェラルドなどアメリカ、その幻想を語るエッセイ集。東京ディズニーランドへの論考などもある。「懐かしの」と言いながらその80年代に出版されてるのもポイント。
『日出る国の工場』

- 発行
- 1987年4月 平凡社 247頁 絶版 購入
- 発行
- 1990年3月 新潮文庫 241頁 700円 購入
- 共著
- 絵:安西水丸
- NDC
- 916(日本文学>記録 手記 ルポルタージュ)
- 目次
- メタファー的人体標本 / 工場としての結婚式場 / 消しゴム工場の秘密 (ほか)
- 評価
- ★★★★
日本の正しき工場見学。人体標本、工場としての結婚式場、消しゴム工場などそれぞれの確かな哲学が静かに臥せっている。未知の世界。「かつら工場」も楽しい。ここから『ねじまき鳥〜』の笠原メイが動き出すわけだ。
『ノルウェイの森』

- 発行
- 1987年9月 講談社(上) 267頁 1365円 購入
- 発行
- 1987年9月 講談社(下) 260頁 1365円 購入
- 発行
- 1991年4月 講談社文庫(上) 269頁 絶版 購入
- 発行
- 1991年4月 講談社文庫(下) 262頁 絶版 購入
- 発行
- 2004年9月 講談社文庫(新装版・上) 302頁 540円 購入
- 発行
- 2004年9月 講談社文庫(新装版・下) 293頁 540円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ノルウェイの森
- 評価
- ★★★★
言わずと知れた大ベストセラー。珍しくもここで感傷はどろどろした質量を持っている。直子の落とす影は深い。反・直子としての緑にしても同様に哀しみとともにある。リアリズムで綴られる生と死、そして愛の抒情詩。
『ダンス・ダンス・ダンス』

- 発行
- 1988年10月 講談社(上) 344頁 1785円 購入
- 発行
- 1988年10月 講談社(下) 339頁 1785円 購入
- 発行
- 1991年12月 講談社文庫(上) 373頁 絶版 購入
- 発行
- 1991年12月 講談社文庫(下) 365頁 絶版 購入
- 発行
- 2004年10月 講談社文庫(新装版・上) 415頁 680円 購入
- 発行
- 2004年10月 講談社文庫(新装版・下) 408頁 680円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ダンス・ダンス・ダンス
- 評価
- ★★★★★
札幌からハワイへ。失ったもの、失ってゆくもの、僕は踊りつづけ、死は増殖する。『羊をめぐる冒険』の続編。接点を探しているようだ、人や世界とダイレクトに繋がることを求めて。ユキ、五反田君、人物が魅力的だ。
『はいほー! 村上朝日堂』

- 発行
- 1989年5月 文化出版局 205頁 品切 購入
- 発行
- 1992年5月 新潮文庫 182頁 460円 購入
- 共著
- 絵:安西水丸
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 白子さんと黒子さんはどこに行ったのか? / わり食う山羊座 / 青春と呼ばれる心的状況の終わりについて (ほか)
- 評価
- ★★★
おなじみエッセイ集。実際の話、著者のエッセイは小説とのテンションの差に愕然とするのだが。双子の女の子やピンボールへのこだわり、床屋のマッサージの考察など。「うさぎ亭」のコロッケ定食、その描写は垂涎だ。
『TVピープル』

- 発行
- 1990年1月 文藝春秋 185頁 絶版 購入
- 発行
- 1993年5月 文春文庫 210頁 450円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- TVピープル / 飛行機−あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか / 我らの時代のフォークロア−高度資本主義前史 (ほか)
- 評価
- ★★★
後ろから押されるように現実の中に転がってきた非現実。僕らはそいつと面識がないものだからうっかり挨拶しちゃったりする。そんな短編集。よく分からないけれど。原因のない不安感が全体にある。加納クレタもそう。
『遠い太鼓』

- 発行
- 1990年6月 講談社 497頁 絶版 購入
- 発行
- 1993年4月 講談社文庫 570頁 840円 購入
- NDC
- 915(日本文学>日記 書簡 紀行)
- 目次
- 遠い太鼓−はじめに / ローマ / アテネ (ほか)
- 評価
- ★★★★
「ある日突然、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ。」蜂2匹分の疲弊を癒すようにイタリア、ギリシャを漂った3年間の記録。優れた紀行文なのだが闘病的な重さを纏っている。そこにこそ引き込まれるのだけれど。
『雨天炎天』

- 発行
- 1990年8月 新潮社(ギリシャ編+トルコ編) 82+100頁 絶版 購入
- 発行
- 1991年7月 新潮文庫(合本、『雨天炎天 ギリシャ・トルコ辺境紀行』と改題) 187頁 380円 購入
- 発行
- 2008年2月 新潮社(新装版) 280頁 1680円 購入
- 共著
- 写真:松村映三
- NDC
- 915(日本文学>日記 書簡 紀行)
- 目次
- アトス−神々のリアル・ワールド / チャイと兵隊と羊−21日間トルコ一周
- 評価
- ★★★
ギリシャ・アトスの修道院を訪ね、トルコの兵隊に空手を教える、じっくり腰を据えた紀行。それぞれに趣向は違って、ギリシャ編はやはり修道院的に厳格な空気を漂わせているし、トルコ編は埃っぽく温かい太陽の匂い。
『国境の南、太陽の西』

- 発行
- 1992年10月 講談社 294頁 1529円 購入
- 発行
- 1995年10月 講談社文庫 299頁 540円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 国境の南、太陽の西
- 評価
- ★★★
痛々しく若い愛と性という前半は分かる。過去の愛が現在へ侵食してくる後半をどう読むか。人物達は残酷なほど年をとり、なおかつ現実と折り合いがついていない。成長することは残酷だね、で読み終わっていいものか?
『やがて哀しき外国語』

- 発行
- 1994年2月 講談社 283頁 1427円 購入
- 発行
- 1997年2月 講談社文庫 286頁 540円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- プリンストン−はじめに / 梅干し弁当持ち込み禁止 / 大学村スノビズムの興亡 (ほか)
- 評価
- ★★★
旅行者ではなく生活者の視点で語られたプリンストン滞在記。(大学で教えることは別として)ジャズを聴いたり走ったり特に変わった生活でもないのだが、日本を離れて日本や文学を考えたりするのは意義があるんだろう。
『ねじまき鳥クロニクル 第一部・泥棒かささぎ編/第二部・予言する鳥編』

- 発行
- 1994年4月 新潮社(第一部) 308頁 1680円 購入
- 発行
- 1994年4月 新潮社(第二部) 356頁 1890円 購入
- 発行
- 1997年10月 新潮文庫(第一部) 312頁 540円 購入
- 発行
- 1997年10月 新潮文庫(第二部) 361頁 580円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 火曜日のねじまき鳥、六本の指と四つの乳房について / 満月と日蝕、納屋の中で死んでいく馬たちについて / 加能マルタの帽子、シャーベット・トーンとアレン・ギンズバーグと十字軍 (ほか)
- 評価
- ★★★★★
猫が消える。妻が消える。井戸の底で座りながら、僕は夢を見る。間宮中尉による(現実感は希薄ながらも)写実的な戦争話、そのブレスの長さは新境地。綿谷ノボルという明確な憎悪の対象が立ち現れるのも好ましい長編。
『使いみちのない風景』

- 発行
- 1994年12月 朝日出版社 107頁 絶版 購入
- 発行
- 1998年8月 中公文庫 145頁 540円 購入
- 共著
- 写真:稲越功一
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 使いみちのない風景
- 評価
- ★★★
旅に関するエッセイ。『波の絵〜』と同様に写真が大きな比率を占めるので、環境音楽を聴くように写真を見、字を見ればいいのかもしれない。でも使いみちのない風景って言い方は好きだな。旅なんてそんなものだもの。
『夜のくもざる 村上朝日堂超短篇小説』

- 発行
- 1995年6月 平凡社 237頁 絶版 購入
- 発行
- 1998年3月 新潮文庫 249頁 700円 購入
- 共著
- 絵:安西水丸
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ホルン / 鉛筆削り(あるいは幸福としての渡辺昇1) / フリオ・イグレシアス (ほか)
- 評価
- ★★★★
雑誌広告のための短い文章を集めた短編集。広告に暗い話はいけないし、思想もいらない。圧倒的に楽しい。笠原メイだって楽しい。初めての関西弁小説「ことわざ」も可笑しい。勝手に言えば『象工場〜』の系譜だろう。
『ねじまき鳥クロニクル 第三部・鳥刺し男編』

- 発行
- 1995年8月 新潮社 492頁 2205円 購入
- 発行
- 1997年10月 新潮文庫 509頁 740円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 笠原メイの視点 / 首吊り屋敷の謎 / 冬のねじまき鳥 (ほか)
- 評価
- ★★★★★
圧倒的完結編。意識の深い深い所から、彼女を連れ帰ることはできるのか。前触れのない暴力衝動とある種の虐殺が緊張感を与えている。やはりパラレルな別世界は独壇場。コミュニケイトの冷たさとその熱量に震撼せよ。
『うずまき猫のみつけかた 村上朝日堂ジャーナル』

- 発行
- 1996年5月 新潮社 237頁 品切 購入
- 発行
- 1999年3月 新潮文庫 255頁 700円 購入
- 発行
- 2008年2月 新潮社(新装版) 254頁 1890円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 不健全な魂のためのスポーツとしてのフル・マラソン / テキサス州オースティンに行く。アルマジロとニクソンの死 / 人喰いクーガーとヘンタイ映画と作家トム・ジョーンズ (ほか)
- 評価
- ★★★★
『やがて哀しき〜』に続く滞在エッセイ。楽しい絵日記風。タイトルどおり猫がたくさん登場する。写真、絵も。リラックスした生活。しかしこのタイトルは批判本(?)『ねじまき鳥の探し方』への皮肉(?)なんだろうね。
『レキシントンの幽霊』

- 発行
- 1996年11月 文藝春秋 235頁 1223円 購入
- 発行
- 1999年10月 文春文庫 213頁 450円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- レキシントンの幽霊 / 緑色の獣 / 沈黙 (ほか)
- 評価
- ★★★
なんだかやたら人が死ぬ短編集。そのせいか(氷男のせいか?)ひんやりとしている印象。「七番目の男」のあのシーンは夢に見そうで怖かった。「沈黙」の「相手が打ち明ける過去の物語を聞く僕」というスタイルは円熟。
『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』

- 発行
- 1996年12月 岩波書店 198頁 絶版 購入
- 発行
- 1999年1月 新潮文庫 225頁 460円 購入
- 共著
- 共著:河合隼雄
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 第一夜 「物語」で人間はなにを癒すのか / 第二夜 無意識を掘る”からだ”と”こころ”
- 評価
- ★★★
河合隼雄との対談集。阪神大震災、オウムとシリアスに病む時代に生きる意義について語り合っている。春樹自身『ねじまき鳥』で深い井戸に潜っていったわけで、ヘビィなコミットメントについて心理学的な解説がある。