『アンダーグラウンド』

- 発行
- 1997年3月 講談社 727頁 2625円 購入
- 発行
- 1999年2月 講談社文庫 777頁 1090円 購入
- NDC
- 916(日本文学>記録 手記 ルポルタージュ)
- 目次
- 千代田線 / 丸ノ内線(荻窪行き) / 丸ノ内線(池袋行き/折り返し) (ほか)
- 評価
- ★★★
地下鉄サリン事件の被害者へインタビューした分厚いノンフィクション。ここで著者は裏方となり生の声を拾い上げることに徹している。怒りや哀しみよりも日常の延長してそこにあったという事実のみが伝わる恐ろしさ。
『村上朝日堂はいかにして鍛えられたか』

- 発行
- 1997年6月 朝日新聞社 332頁 絶版 購入
- 発行
- 1999年8月 新潮文庫 344頁 620円 購入
- 共著
- 絵:安西水丸
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- もう十年も前のことだけど / 95年日本シリーズ観戦記「ボートはボート」 / 体罰について (ほか)
- 評価
- ★★★★
もっともな提案なり納得の感想なりがあるエッセイ集。「日本マンション・ラブホテルの名前大賞」が春樹のエッセイ「らしくもなく」大笑い。巻末に収録されてる「苦情の手紙」でキュッと引き締まってしまうのだけど。
『若い読者のための短編小説案内』

- 発行
- 1997年10月 文藝春秋 268頁 1300円 購入
- 発行
- 2004年10月 文春文庫 251頁 500円 購入
- 共著
- 絵:安西水丸
- NDC
- 910(日本文学>日本文学)
- 目次
- まずはじめに / 吉行淳之介「水の畔り」 / 小島信夫「馬」 (ほか)
- 評価
- ★★★
日本文学の教授としてプリンストン大学で開設した講座。学生とともに学びながら楽しく読もうという姿勢。文学理論に通じてないと言いながら、エゴとセルフの構造図なんて描かれるとそれだけで感心してしまうのだが。
『ポートレイト・イン・ジャズ』

- 発行
- 1997年12月 新潮社 111頁 2625円 購入
- 発行
- 2004年2月 新潮文庫(『ポートレイト・イン・ジャズ2』と合本) 341頁 820円 購入
- 共著
- 共著:和田誠
- NDC
- 764(音楽・舞踊>器楽合奏)
- 目次
- チェット・ベイカー / ベニー・グッドマン / チャーリー・パーカー (ほか)
- 評価
- ★★★
和田誠が描くジャズメンの肖像に村上春樹が文章を寄せたもの。音に垂直に切り込んだり一転してその頃の気分の描写に終始したりするが少なくとも教条的ではない。イラストが放つエネルギーがそれぞれに色を与えてる。
『辺境・近境』

- 発行
- 1998年4月 新潮社 252頁 絶版 購入
- 発行
- 2000年6月 新潮文庫 301頁 500円 購入
- 発行
- 2008年2月 新潮社(新装版) 252頁 1680円 購入
- NDC
- 915(日本文学>日記 書簡 紀行)
- 目次
- イースト・ハンプトン 作家たちの静かな聖地 / 無人島・からす島の秘密 / メキシコ大旅行 (ほか)
- 評価
- ★★★★
メキシコ、ノモンハンなどをめぐる紀行エッセイ。『ねじまき鳥〜』の舞台となったノモンハンにそのままで残る戦場と、讃岐うどん食べまくりの旅が同列にあるのは逆にバランスいいのかも。しみじみおかしい独特の味。
『辺境・近境 写真篇』

- 発行
- 1998年5月 新潮社 150頁 2520円 購入
- 発行
- 2000年6月 新潮文庫 237頁 780円 購入
- 共著
- 写真:松村映三
- NDC
- 748(写真・印刷>写真集)
- 目次
- イースト・ハンプトン / からす島 / メキシコ (ほか)
- 評価
- ★★★
写真がメインで、文章が少し。からす島にメキシコともとより多目的な旅であったから写真もそれぞれ「不揃いな薪」のように彩り豊かだ。モンゴルの不良にノモンハンの砲弾とか。虎の子を抱く村上のひきつり顔も素敵。
『ふわふわ』

- 発行
- 1998年6月 講談社 22頁 絶版 購入
- 発行
- 2001年12月 講談社文庫 54頁 440円 購入
- 共著
- 絵:安西水丸
- NDC
- 726(絵画・書道>漫画 挿絵 童画)
- 目次
- ふわふわ
- 評価
- ★★
気心しれたコンビによる絵本。息遣いや世界観は春樹のそれなので、行間には埋めようもない深い穴があったりするのだが、リラックスした比喩は心和む。安西水丸の不安定なまま安定した線と淡い色によく調和していて。
『夢のサーフシティー CD−ROM版村上朝日堂』

- 発行
- 1998年7月 朝日新聞社 61頁+CD-ROM 絶版 購入
- 共著
- 絵:安西水丸
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- パワーブックも入る僕の愛用のトートバッグ / 不調ながら完走した館山の若潮マラソン / なかなか心穏やかに生きられない僕の読書生活 (ほか)
- 評価
- ★★
著者のHPの内容をCD-ROMにつめこんだもの。読者からのメールに村上春樹が答えてゆくというものが主体。とにかく文章量が尋常じゃない。自分の興味のある部分だけを拾い読みしてもいい。安西水丸との生声対談は必聴。
『約束された場所で underground 2』

- 発行
- 1998年11月 文藝春秋 268頁 品切 購入
- 発行
- 2001年7月 文春文庫 332頁 550円 購入
- NDC
- 916(日本文学>記録 手記 ルポルタージュ)
- 目次
- インタビュー / 河合隼雄氏との対話
- 評価
- ★★★★★
被害者の話をまとめた前作に続きオウム信者側へのインタビュー。純粋であることは社会不適応と同義で、オウムは理想的な容物だったのか。随所で著者が反論に出ているが、どちらが「正しい」のかは誰にもわからない。
『スプートニクの恋人』

- 発行
- 1999年4月 講談社 309頁 1680円 購入
- 発行
- 2001年4月 講談社文庫 318頁 600円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- スプートニクの恋人
- 評価
- ★★★★
年上の女性ミュウに恋をしたすみれは、ギリシャで不用意な扉を開け消え去ってしまう。明らかになるミュウの秘密。「こちら側」と「あちら側」、あるいは「不在」という長年のテーマを凝縮した長編。だが短く感じる。
『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』

- 発行
- 1999年12月 平凡社 119頁 1470円 購入
- 発行
- 2002年11月 新潮文庫 122頁 500円 購入
- 共著
- 写真:村上陽子
- NDC
- 915(日本文学>日記 書簡 紀行)
- 目次
- スコットランド / アイルランド
- 評価
- ★★★★
アイルランド・スコットランド紀行。ウィスキーの地を訪ね、誇り、喜び、哲学に触れる。生牡蠣にシングルモルトを注いですすりこむなんてもうたまらない。気候風土で育てられた酒はやはりその場で飲まねばならない。
『神の子どもたちはみな踊る』

- 発行
- 2000年2月 新潮社 201頁 1365円 購入
- 発行
- 2002年3月 新潮文庫 237頁 460円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- UFOが釧路に降りる / アイロンのある風景 / 神の子どもたちはみな踊る (ほか)
- 評価
- ★★★★
神戸の地震にインスパイアされた連作短編集。各短編の登場人物達は暗喩的に直裁的に揺り動かされ突き上げられ、神戸と地続きになっているそれぞれの生活を噛み締めることになる。かえるくんとはいったい何者なのか?
『「そうだ、村上さんに聞いてみよう」 と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』

- 発行
- 2000年8月 朝日新聞社 217頁 絶版 購入
- 共著
- 絵:安西水丸
- NDC
- 910(日本文学>日本文学)
- 目次
- 大疑問1 どうやって禁煙しましたか? / 大疑問2 風呂で身体を洗う時は何を使いますか? / 大疑問3 全裸の女性がベランダに出てきたら? (ほか)
- 評価
- ★★★
読者からのメールによる質問、不倫の悩みやマラソンの秘訣などに返答する。Webサイトでやった「大疑問週間」を中心に構成。作品の解説はしない主義の著者であるが、その優しさからか珍しくもヒント的なものはある。
『またたび浴びたタマ』

- 発行
- 2000年8月 文藝春秋 178頁 品切 購入
- 共著
- 画:友沢ミミヨ
- NDC
- 807(言語>研究法 指導法 言語教育)
- 目次
- またたび浴びたタマ
- 評価
- ★★★
回文カルタ。何故だ。言語感覚での余技か。シモネタ・ナンセンス満載で、それはそれでめちゃ上手い。友沢ミミヨの絵と奇妙にマッチした別世界へミニトリップだ。「裸体が渋い武士がいたら」なんて個人的にオーケー。
『翻訳夜話』

- 発行
- 2000年10月 文春新書 245+15頁 777円 購入
- 共著
- 共著:柴田元幸
- NDC
- 801(言語>言語学)
- 目次
- フォーラム1 柴田教室にて / フォーラム2 翻訳学校の生徒たちと / 海彦山彦 村上がオースターを訳し、柴田がカーヴァーを訳す (ほか)
- 評価
- ★★★
「翻訳」自体を楽しんでしまう二人による対談あるいは講義。柴田がカーヴァーを、村上がオースターを訳した競訳での論議も「僕」「私」の選択などかなり実践的。翻訳家を目指す人には興味深いものではないだろうか。
『シドニー!』

- 発行
- 2001年1月 文藝春秋 409頁 1700円 購入
- 発行
- 2004年7月 文春文庫(前半を「コアラ純情篇」として) 252頁 500円 購入
- 発行
- 2004年7月 文春文庫(後半を「ワラビー熱血篇」として) 245頁 500円 購入
- NDC
- 780(スポーツ・体育>スポーツ 体育)
- 目次
- 1996年7月28日 アトランタ / 2000年6月18日 広島 / シドニー日誌 (ほか)
- 評価
- ★★★★
シドニーオリンピックのルポ日誌。もちろんマラソンが中心ながら、他のスポーツもあり、豪史もある。この祭典の無言強要を排して分析する「クォリティーの高い退屈さ」はなるほど著者らしいし、それは恐らく真実だ。
『スメルジャコフ対織田信長家臣団 CD−ROM版村上朝日堂』

- 発行
- 2001年4月 朝日新聞社 183頁+CD-ROM 絶版 購入
- 共著
- 絵:安西水丸
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 毎朝4時に起き、小説執筆は順調に進んでいます / 多忙のなかで、シドニー五輪の取材まで決まっています / 小説は10稿までマラソン的書き直しです (ほか)
- 評価
- ★★
著者のサイト「村上朝日堂」をCD-ROM化した第二弾。各国で訳された村上本の表紙画像一覧は初公開企画だし検索システムも完備でサイト読みきってる人にも保存版的価値。なにより今回も安西水丸との生声対談が楽しい。
『ポートレイト・イン・ジャズ2』

- 発行
- 2001年4月 新潮社 111頁 2415円 購入
- 発行
- 2004年2月 新潮文庫(『ポートレイト・イン・ジャズ』と合本、『ポートレイト・イン・ジャズ』として) 341頁 820円 購入
- 共著
- 共著:和田誠
- NDC
- 764(音楽・舞踊>器楽合奏)
- 目次
- ソニー・ロリンズ / ホレス・シルヴァー / アニタ・オデイ (ほか)
- 評価
- ★★★
第二弾。正直言って全然知らない人が多いのだが、漫画的でありながら器まで見える絵とシンプルな文章で、実際聴いたらこういう気分になるんだろうなと納得するような。文庫版にはボーナストラックまで収録している。
『村上ラヂオ』

- 発行
- 2001年6月 マガジンハウス 213頁 1300円 購入
- 発行
- 2003年6月 新潮文庫 217頁 420円 購入
- 共著
- 画:大橋歩
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- スーツの話 / 滋養のある音楽 / リストランテの夜 (ほか)
- 評価
- ★★★
「anan」連載のエッセイ。とは言っても女性向けってものでもなくいつもの調子だが、水丸でないエッセイはちょっと新鮮かも。「広い野原の下で」での19歳の春樹少年が過ごした「あの時代」にもはっとするものがある。
『海辺のカフカ』

- 発行
- 2002年9月 新潮社(上) 397頁 1680円 購入
- 発行
- 2002年9月 新潮社(下) 429頁 1680円 購入
- 発行
- 2005年3月 新潮文庫(上) 486頁 740円 購入
- 発行
- 2005年3月 新潮文庫(下) 528頁 780円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 海辺のカフカ
- 評価
- ★★★★
15歳の家出少年と猫と話せる老人が、互いの空白に吸い込まれるように四国を目指す。夢と記憶の危険な境界で、自分の想像に責任を持つ気概が真に迫るね。伏線が伏せられっぱなしな箇所がいつになく多いがどうなのか。