『夏の流れ』

- 発行
- 1967年7月 文藝春秋 220頁 絶版 購入
- 発行
- 1973年7月 講談社文庫(『正午なり』と合本、『夏の流れ・正午なり』として) 373頁 絶版 購入
- 発行
- 2005年2月 講談社文芸文庫(一部の作品を入れ替え『夏の流れ―丸山健二初期作品集』として) 297頁 1313円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 夏の流れ / 雪間 / その日は船で
- 所要
- 1時間40分
- 評価
- ★★★
刑務官と死刑囚の「現場」をストイックな文体で描いたデビュー作にして芥川賞受賞作たる表題作をはじめ、初期の短編を収録。近年の作品に比べると感情移入しやすく読みやすくて、でも執行の場面の緊張感はすごいね。
『正午なり まひるなり』

- 発行
- 1968年8月 文藝春秋 229頁 絶版 購入
- 発行
- 1973年7月 講談社文庫(『夏の流れ』と合本、『夏の流れ・正午なり』として) 373頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 正午なり
- 所要
- 1時間50分
- 評価
- ★★★
都会での暮らしに敗れ、郷里へ引き返した青年の悶々とした生活を描く長編。人との関係性が苦手で自室でできる仕事を探したり軽く引きこもり。性的な恐れみたいなものは示唆されながらも、終章の性急さにはやや焦る。
『されど孤にあらず』

- 発行
- 1991年9月 文藝春秋 285頁 絶版 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 小説家の答は小説だけ / 生活つれづれ / オトコのモノ語り (ほか)
- 評価
- ★★★
文壇から遠く離れた場所から届けられる真摯な作家のエッセイ。よい文学を生み出すことだけが作家の仕事だと、過剰なまでのストイシズムが清々しい。「でも寂しいんでしょ?」と言われかねない表題はどうかと思うが。
『千日の瑠璃』

- 発行
- 1992年1月 文藝春秋(上) 502頁 絶版 購入
- 発行
- 1992年1月 文藝春秋(下) 502頁 絶版 購入
- 発行
- 1996年4月 文春文庫(上) 504頁 絶版 購入
- 発行
- 1996年4月 文春文庫(下) 504頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 千日の瑠璃
- 評価
- ★★★
私は風だ、私は焦燥だ、私は精進料理だ。千の森羅万象が頁毎に主人公となり、まほろ町の現在を語る。「踊る体を持つ」少年与一の青い未来を語る。純文学であることの痛々しいまでの決意が作家に行わせる忍耐ゲーム。
『まだ見ぬ書き手へ』

- 発行
- 1994年7月 朝日新聞社 209頁 絶版 購入
- 発行
- 1997年6月 朝日文芸文庫 220頁 絶版 購入
- NDC
- 901(文学>文学理論 作法)
- 目次
- 私の望むまだ見ぬ書き手 / 書きながら書き方を身につける / プロの書き手としてデビューするには (ほか)
- 評価
- ★★★★
現代孤高の作家が伝授する文章修練。実践的作家への手引書と同時に、憧れだけの輩を徹底的に打ちのめす書。だから「作家になりたいなぁ」って人は絶対に読んじゃいけない。文壇への絶望ゆえ新たな希望を探している。
『争いの樹の下で』

- 発行
- 1996年5月 新潮社(上) 344頁 絶版 購入
- 発行
- 1996年5月 新潮社(下) 406頁 絶版 購入
- 発行
- 1999年2月 新潮文庫(上) 400頁 絶版 購入
- 発行
- 1999年2月 新潮文庫(下) 475頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 争いの樹の下で
- 評価
- ★★★★★
首吊り女から産み落とされた子供。老木が見据えるその運命。彼は猿の詩集を抱えて二十一世紀を流れる。「よくぞ生まれし!」。著者の哲学満載で説教臭いと感じる部分もあるが、文学の熱気が充満する迫力に敗北感嘆。
『ぶっぽうそうの夜』

- 発行
- 1997年9月 新潮社 421頁 絶版 購入
- 発行
- 2000年11月 新潮文庫 533頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ぶっぽうそうの夜
- 評価
- ★★★★
定年退職をした男が死に場所を求めて過疎化した郷里へ帰る。そこには彼の一家を墜落させた猟奇殺人者が暮らしている。おどろおどろしい復讐劇となってゆくのだが、持続する怒りのパワーでのごり押しが快かったりと。
『いつか海の底に』

- 発行
- 1998年9月 文藝春秋 473頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- いつか海の底に
- 評価
- ★★★
丹頂鶴の化身のようにやってきた異国の少女を守り抜くことで、古い港町からの超越を図る少年。強固な文体の重圧で、巨大クラゲが保持するメッセージも伝わりにくかったりするんだけど、あんたすげぇよと言い留まり。
『虹よ、冒涜の虹よ』

- 発行
- 1999年5月 新潮社(上) 347頁 絶版 購入
- 発行
- 1999年5月 新潮社(下) 355頁 絶版 購入
- 発行
- 2003年8月 新潮文庫(上) 468頁 絶版 購入
- 発行
- 2003年8月 新潮文庫(下) 483頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 虹よ、冒涜の虹よ
- 評価
- ★★★
追われる身のヤクザが高い塔(神の座?)に隠れる。背中に虹の刺青を入れることになる。一色入れる度に一変する世界が眩い。それでもカタルシスは終章まで周到に回避され続けて、虹の完成をじれて待たされる仕掛けだ。
『安曇野の白い庭』

- 発行
- 2000年4月 新潮社 169頁 絶版 購入
- 発行
- 2005年3月 新潮文庫 222頁 460円 購入
- NDC
- 629(園芸>造園)
- 目次
- 祖父の土地へ / 防風のための樹を植える / 土の匂いと、緑の風を肌で感じて… (ほか)
- 所要
- 2時間40分
- 評価
- ★★★
庭造りに励む老人のガーデニングエッセイ。魂を注ぎこむ気迫が文体からも伝わってくるが、虫のついた杉に往生したり薔薇の色を吟味したり、世界は小さい。建て替えのための植え替えとか、実用的に読める部分もある。
『逃げ歌』

- 発行
- 2000年11月 講談社(上) 314頁 絶版 購入
- 発行
- 2000年11月 講談社(下) 314頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 逃げ歌
- 所要
- 6時間10分
- 評価
- ★★
没落した山村の名家、畢生の詩、革命家の爆薬、いろんな意志が見え隠れしながらそれは形になることがない。口先だけの弱い人物ばかりが夢と現を行き来する。ただ都会的なものから、現実から、逃げているだけなのか。