村上龍の100字レビュー(1989〜92)

『十七粒の媚薬 競作ポルノ短編集

表紙

発行
1989年4月 マガジンハウス 197頁 絶版 購入
発行
1993年7月 角川文庫 194頁 441円 購入
共著
共著:安西水丸/麻生圭子/秋元康/泉麻人/林海象/松本隆/北原リエ/佐藤正午/山川健一/玉村豊男ほか
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
クリーム色 村上龍 / 雨の島 安西水丸 / 夜の夢 川西蘭 (ほか)
評価
★★

現代風の(いくらか俗っぽい?)作家による官能短編集。という感じで、作家名列記して逃げる。秋元康、麻生圭子、安西水丸、泉麻人、桂木拓、川西蘭、城戸朱理、佐藤正午、玉村豊男、林海象、松本隆、村上龍など種々。

『ラッフルズホテル』

表紙

発行
1989年9月 集英社 189頁 品切 購入
発行
1992年7月 集英社文庫 223頁 460円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
ニューヨーク 1 狩谷俊道 / ニューヨーク 2 本間萌子 / ニューヨーク 3 狩谷俊道 (ほか)
評価
★★★★

蘭の香りが充満するシンガポールのホテル。女優とカメラマンの屈折した愛。どこまでが演技でどこからが狂気なのか。天才的な女優の自意識は止まない。三つの視点から描かれたじわりと怖い長編。映画からノベライズ。

『すべての男は消耗品である。Vol.2』

表紙

発行
1990年5月 ベストセラーズ 261頁 1334円 購入
発行
1993年3月 角川文庫 266頁 品切 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
ブスで田舎者で貧乏人の恋愛はみんなの迷惑である。 / 良い思い出が、女をジゴロから救う。 / 中嶋悟のような男が増えることだけがこの悲惨な現状を救う。 (ほか)
評価
★★★

シリーズ第二弾。やはり男と女の生き方について、愛やセックスについて語る。言勢とは裏腹にどこか突き放した風なのは虚無感からか。「消耗品」という言葉にも世間は過剰に反応してみせてそのくせ何も変えないのだ。

『贅沢な恋愛』

表紙

発行
1990年9月 角川書店 232頁 絶版 購入
発行
1992年10月 角川文庫 209頁 483円 購入
共著
共著:北方譲三/藤堂志津子/林真理子/村松友視/森瑤子/山川健一山田詠美
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
ムーン・リバー 村上龍 / 真珠の理由 林真理子 / 彼女の時 北方謙三 (ほか)
評価
★★★

北方譲三、藤堂志津子、林真理子、村上龍、村松友視、森瑤子、山川健一、山田詠美という顔ぶれ。それぞれが「宝石と恋愛」というテーマで短編を書いたもの。贅沢と拝金趣味は違うのだよ。好評だったから?以後続刊。

『コックサッカーブルース』

表紙

発行
1991年4月 小学館 397頁 1529円 購入
発行
1994年3月 集英社文庫 453頁 700円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
プロローグ イッセイ・ミヤケのブリーフ / 第一章 奇妙な侵入者 / 第二章 不可解な発端 (ほか)
評価
★★★★★

執拗なほどのSM長編。スチール撮影のほのぼのとした(?)SMから物語は急展開し、謎が謎を呼ぶハードコアへ。ドラゴンツリーフェスティバルとは何なのか? 愛とか信頼とかではなく吐き気だけがあるズッシリとした作。

『村上龍全エッセイ 1976-1981』

表紙

発行
1991年5月 講談社文庫 386頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
群像新人文学賞のことば / 芥川賞受賞のことば / 挑戦者の感覚 (ほか)
評価
★★★

デビュー作で芥川賞を取り、映画も撮る駆け足ぶりだった初期のエッセイ集成。「期待の新人」監視網の中で肩に力も入ってる。そのために逆に素直な文章なのかも。そうだ、これ読んで中上健次に興味を持ったんだった。

『恋はいつも未知なもの YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS

表紙

発行
1991年5月 朝日新聞社 274頁 絶版 購入
発行
1993年9月 角川文庫 301頁 品切 購入
発行
1994年7月 朝日文芸文庫 271頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
恋はいつも未知なもの / 帰ってくれてうれしいわ / ホワッツ・ニュー (ほか)
評価
★★★

ジャズをモチーフに、幻のジャズ・バーを求める男の連作短編。陳腐で名曲なスタンダードに包まれてセンチメンタル。歌詞で歌われる恋はいつだってノスタルジックで。個人的にはこのサイズの短編は乗れないので苦手。

『村上龍全エッセイ 1982-1986』

表紙

発行
1991年8月 講談社文庫 514頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
野間文芸新人賞受賞のことば / 「パパラギ」でビールを飲む / 私とTV (ほか)
評価
★★★

テニスだったりSMだったり、著者の関心の行方が見える第二弾。この偏った集中力がうらやましい。「私は哀愁より情報が好きだ」なんていう今に変わらぬ美意識や、「愛と幻想の〜」や「消耗品」の背景的文章もある。

『超電導ナイトクラブ』

表紙

発行
1991年9月 講談社 443頁 絶版 購入
発行
1994年4月 講談社文庫 485頁 750円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
超電導ナイトクラブ
評価
★★★

変わり者ばかりが集まる銀座のバーで毎夜バカ話をして笑っているだけの長編。妻を記憶喪失にした男だとか恐ろしく頭の緩い女だとか性癖を誇りたい輩とか、彼らの告白が並ぶ。クライマックスのない快楽主義者達の夜。

『世界をボクらの遊び場に』

表紙

発行
1991年11月 講談社 260頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
桑田佳祐―気分はいつも『レット・イット・ビー』 / 中嶋悟―F1サーカスは男の至上の遊び場だ / 岡本綾子―今日もまた世界へのアプローチ・ショットは続く (ほか)
評価
★★★

多彩な顔ぶれになる対談集、とそれで終わってしまう感があるがピックアップしてみよう。桑田佳祐、ジョージ・ルーカス、林真理子、松岡修造、ジョン・ローン、さらにはゴダールやアルマーニなんかも。多彩でしょう?

『村上龍全エッセイ 1987-1991』

表紙

発行
1991年12月 講談社文庫 502頁 770円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
「場所」としての佐世保港 / ポップアートのある部屋―あとがき / 欲情を起こさせるもの (ほか)
評価
★★★

文庫オリジナルのエッセイ全集第三弾。文学について言うときには自身によるQ&A形式で照れ隠してしまうのだが、『トパーズ』の時期なりのバイオリズムで多様なテーマ。「美」と「快楽」を道標に世界を駆け抜ける。

『トパーズの誘惑』

表紙

発行
1992年2月 角川書店 270頁 絶版 購入
発行
1993年9月 角川文庫 289頁 絶版 購入
NDC
912(日本文学>戯曲)
目次
トパーズの憂鬱
評価
★★★

欧米で大成功を収めたという映画「トパーズ」からの自信を振りまきながら語ったりするその周辺本。オリジナルシナリオが入ってたりするが、それよりも主演女優二階堂ミホと吉本ばななを招いての鼎談が読み応えあり。

『イビサ』

表紙

発行
1992年3月 角川書店 276頁 絶版 購入
発行
1995年4月 講談社文庫 273頁 520円 購入
発行
2001年12月 角川文庫 261頁 品切 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
序章 / 第1章 パリの憂鬱 / 第2章 モンテカルロのゴースト(幽霊) (ほか)
評価
★★★★★

「友達がいない」主人公は自分と向かい会うために旅に出る。自分を探す者はみな破滅する、その狭間を探し。精神世界の深部で迷子になるような小説で、作家として「これ以上進むとヤバイ」ギリギリの生還点ではある。

『長崎オランダ村』

表紙

発行
1992年3月 講談社 186頁 絶版 購入
発行
1995年8月 講談社文庫 168頁 368円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
長崎オランダ村
評価
★★★

長崎オランダ村、そしてハウステンボスと、精巧なコピーを造ろうとするその希望と絶望。全体の九割が会話文という恐るべき長編。なんというか、コマーシャル然とした雰囲気もどうかと思う。『69』のあの男が再登場。

『龍言飛語 開かれた国の野球少年は大リーグを目指す。

表紙

発行
1992年4月 集英社 255頁 品切 購入
発行
1994年8月 集英社文庫 246頁 420円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
ワインなんてつい最近飲み始めたくせに / じゃあタキシードが似合うおじさんはいるか / 今、「わからない」と言うのが正しい (ほか)
評価
★★★

疲れてるようなエッセイ集。当時の日本情勢を取り上げては溜息ついてまた置いてみる。このテーマで何も語りたくないだけなのか。『五分後の世界』へつながる「日本の無条件降伏が俺にはよくわからない」なんてのも。

『友よ、また逢おう』

表紙

発行
1992年8月 角川書店 219頁 絶版 購入
発行
1993年9月 角川文庫 240頁 品切 購入
共著
共著:坂本龍一
NDC
915(日本文学>日記 書簡 紀行)
目次
友よ、また逢おう
評価
★★★

二匹の龍、二つの才能が垣間見える、公開往復書簡。馴れ合うではなく寄りかかるでもない友情のドキュメント。まぁ、こういうのを友情というのだろうな。村上の熱的感情と坂本の冷静理知とのクリアな対比が興味深い。

『すべての男は消耗品である。Vol.3』

表紙

発行
1992年10月 ベストセラーズ 252頁 1418円 購入
発行
1999年4月 幻冬舎文庫(『真実はいつもシンプル』と改題) 215頁 520円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
アリゾナのゴルフ場が箱庭的で好きだ / 文芸家協会には健康保険がある / アフリカの象のロイヤリティを払え (ほか)
評価
★★★

シリーズとしての趣旨は徐々に減退し、何だか普通の近況報告的エッセイになりつつある。「消耗品」を冠する必要は特にないような気もする。『トパーズ』を撮っている頃で、その周辺の話が多い。生き方の見本なのか。

『セビロとルージュと秘密の手紙』

表紙

発行
1992年11月 角川文庫 ?頁 絶版 購入
NDC
748(写真・印刷>写真集)
目次
セビロとルージュと秘密の手紙
評価
★★★

表題となる短編が冒頭にあり、あとはポストカード集という文庫オリジナル。著者のフレーズでイメージを作り上げた写真集という感じか。こういうの、実際にポストカードとして使う人はいるのでしょうか。いつも疑問。