村上龍の100字レビュー(2000〜2002)

『誰にでもできる恋愛』

表紙

発行
2000年2月 青春出版社 202頁 絶版 購入
発行
2001年4月 幻冬社文庫 215頁 520円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
本当の恋愛ができる人間の資格 / 結婚がうらやましくない時代 / 自立してない人間に恋愛はできない (ほか)
評価
★★★

「誰にでもできる恋愛なんてない」というエッセイ集。突如経済話になったりしながら、この時代に努力しない人間をくっきり見捨てる恋愛指南。新階級社会。もう男には何も期待していないんでしょうね。「消耗品」的。

『共生虫』

表紙

発行
2000年3月 講談社 293頁 絶版 購入
発行
2003年3月 講談社文庫 313頁 560円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
共生虫
評価
★★★★

引きこもりの男がインターネットに出会い、自分の中に棲む虫を発見する。壊れた人間達のネット社会、あるいはネットで壊された人間の業。実際に「防空壕」を検索したくなった人も多いはず。異境はそこで口を開ける。

『ストレイト・ストーリー the Straight Story

表紙

発行
2000年3月 集英社 83+18頁 1680円 購入
共著
絵:はまのゆか/英訳:Ralph F.McCarthy
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
ストレイト・ストーリー
評価
★★★

デイヴィッド・リンチの映画からのノベライズ(何故?)たる絵本。芝刈り機で五百キロを旅する老人のショートストーリーで、大陸的性善説の温かみに溢れている。著者らしい哲学がちゃんと埋めこまれてもいる。英訳付。

『世のため、人のため、そしてもちろん自分のため』

表紙

発行
2000年6月 日本放送出版協会 197頁 絶版 購入
共著
共著:藤木りえ
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
私が法学系F嬢です / ヴェニスビーチから / 私が法律を学ぶワケ (ほか)
評価
★★★

法学系SM嬢りえとの交換メール。この国が(経済も文化も)破綻寸前だってことは頭のいい子ならみんな気づいてる、と「頭のいい子」の代表としての風俗嬢という構図。美味しいワインを飲みながら、危機感を熟成して。

『希望の国のエクソダス』

表紙

発行
2000年7月 文藝春秋 422頁 1650円 購入
発行
2002年5月 文春文庫 452円 660円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
希望の国のエクソダス
評価
★★★★

学校を拒否した中学生達がネットビジネスを通じて勢力を伸ばして行く。子供が主導する経済小説という未知の世界。日本の不況脱出モデルであり、「この国には何でもあるが希望だけがない」と主張も痛快な近未来長編。

『共生虫ドットコム』

表紙

発行
2000年9月 講談社 212頁 絶版 購入
共著
共著:Kyoseichu.com制作班
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
対談 村上龍×田口ランディ「引きこもりと狂気」 / 投稿1 あなたが、生きている、と強く実感できるのはどんな時ですか? / 対談 村上龍×嶋田将司「毒ガスと日本の危機管理」 (ほか)
評価
★★★

長編『共生虫』に関連する対談やデータを集めた本。引きこもりだとか毒ガスだとかキーワードも豊富な小説だったしね。ウェブサイトの解説もされていて、主人公と同じウェブ体験ができる作りは面白そうだ。CD-ROM付。

『『希望の国のエクソダス』取材ノート』

表紙

発行
2000年9月 文藝春秋 221頁 1200円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
円は没落するか / サイバースペースのギャングたち / 「円圏」の可能性 (ほか)
評価
★★

『希望の国のエクソダス』準備期間から連載中にかけてのインタビュー集。為替ディーラーの分析に耳を傾け、チーマーに行動様式を学び、ネット研究家とクラック談義する。普通なら小説に吸収して出さないタイプの書。

『「教育の崩壊」という嘘』

表紙

発行
2001年2月 日本放送出版協会 293頁 1365円 購入
NDC
370(教育>教育)
目次
序 「教育の崩壊」という嘘 / 教育問題の本質を探る<対談・鼎談> / 中学生1600人アンケート
評価
★★★

中学生への誘導尋問チックなアンケートがあって、そのサブテキストのような対談がある。「子供に手本を示せない大人」という絵は恐らく間違っていないし、「格差」を隠蔽してきたツケにもちゃんと考えさせてくれる。

『タナトス』

表紙

発行
2001年3月 集英社 217頁 1470円 購入
発行
2004年3月 集英社文庫 252頁 480円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
タナトス
評価
★★★★

『エクスタシー』『メランコリア』に続く三部作完結編。怒涛の「語り」が主軸となるシリーズだ。言葉に依存している人間だとか非常に著者らしい作品で、筆がノッてるのが分かる。キューバで女優は何を受け入れるか。

『すべての男は消耗品である。Vol.6』

表紙

発行
2001年4月 ベストセラーズ 249頁 1449円 購入
発行
2005年3月 幻冬舎文庫(『蔓延する偽りの希望』と改題) 221頁 560円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
夢日記は小説に役立つが、旅行日記はどうなのだろう? / 何かを知るということは、何を知らないかをはっきりさせることでもある / 小説や映画はやっかいだ。ものすごく大変で、ものすごい充実感がある (ほか)
評価
★★★★

「この国には個人という概念がない」という類の言い方が本当に似合う人だよねぇ。「誰も作家のメッセージなんか必要としていない!」との帯キャッチだが、リスクとコストだとか作家らしからぬメッセージのエッセイ。

『THE MASK CLUB』

表紙

発行
2001年7月 メディアファクトリー 261頁 1470円 購入
発行
2002年8月 幻冬舎文庫 275頁 520円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
Introduction / 死者の視覚及び、ミキ・火の奴隷について / タンゴ、そしてミキとの想い出 (ほか)
評価
★★★

長編。SMクラブの女たちと現在を押し上げる過去という要素ならいつもながら安心して読めるクオリティ。死者の視線と、ミクロの決死圏な体中遊泳が奇抜すぎ。すごく構成が歪なんだけどやっぱり発表媒体の差なんでは?

『おじいさんは山へ金儲けに 時として、投資は希望を生む

表紙

発行
2001年8月 日本放送出版協会 205頁 1260円 購入
発行
2002年12月 幻冬舎文庫 189頁 630円 購入
共著
絵:はまのゆか
NDC
338(経済>金融 銀行 信託)
目次
かちかち山 / 桃太郎 / 浦島太郎 (ほか)
評価
★★★

「経済がよく分かる絵本」というと阿呆の書みたいだけれどそうなんだからしようがない。桃太郎や笠地蔵など昔話をアレンジしてポートフォリオなんかになっちゃってるが、損をしない生き方を学べればこれもまたよし。

『ダメな女』

表紙

発行
2001年8月 光文社 217頁 1575円 購入
発行
2004年5月 光文社文庫 221頁 500円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
ベストの自己紹介法なんてない。だからこそ、それをできるだけ考えなければいけないんじゃないかな。 / 他人に出会えない女は悲しい。そのことを安易にコンパで解決するのは悲しいうえにさもしいようにも思える。 / 人生は、取り返しのつかないことの連続だからこそ、自分の好きなことを完遂すべきだと思う。 (ほか)
評価
★★

この手の龍エッセイ読むたびに後悔するんだけど。コンパにブランド買い漁りだとか、ダメなら放っておいてはどうか。かつ「今、南フランスのカシスという小リゾートにいる。」という類の書き出しはダメだと思うのよ。

『最後の家族』

表紙

発行
2001年10月 幻冬舎 324頁 品切 購入
発行
2003年4月 幻冬舎文庫 358頁 600円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
序章 直径十センチの希望 / 第一章 二〇〇一年十月X日・内山家の朝食 / 第二章 二〇〇一年十月X日・午前中〜深夜 (ほか)
評価
★★★

引きこもり、ドメスティック・バイオレンスなど時事に明るいテレビドラマな長編。家族四人の視点から書き分けたゆえの奇妙な停滞感は狙いなのかな? 「人を救おう」という長男のひとつの自我再建をもっと読みたい。

『対立と自立 構造改革が生み出すもの

表紙

発行
2001年10月 日本放送出版協会 365頁 絶版 購入
NDC
332(経済>経済史 事情 経済体制)
目次
対談 村上龍×竹中平蔵 何がいま始まっているのか / 村上龍、専門家たちに聞く / 「金融経済全般」に関して
所要
6時間10分
評価
★★★

構造改革で利益・不利益を受けるのは誰か?といった、ベーシックな理解を広げるような問いに政治経済の専門家たちが答える、メルマガ編集。2001年、小泉政権誕生の頃のやりとりだから状況はもちろん大きく変わった。

『eメールの達人になる』

表紙

発行
2001年11月 集英社新書 221頁 693円 購入
NDC
547(電気工学・電子工学>通信工学 電気通信)
目次
初めてのeメール / 正確さと簡潔さ / eメールの技術 (ほか)
評価
★★★

JMM寄稿依頼メールなど、実例に即したメールの書き方講座。ビジネス主体だね。しかし時期も人選もずれてるんじゃないのか集英社。こういう実用書的な文章にあってもそのアクの強さが滲んでしまうのは著者の人徳。

『収縮する世界、閉塞する日本 POST SEPTEMBER ELEVENTH

表紙

発行
2001年12月 日本放送出版協会 205頁 絶版 購入
NDC
316(政治>国家と個人 宗教 民族)
目次
収縮する世界、閉塞する日本 / 座談会・「世界」は何を見たか / 対談・アフガニスタンの真実 (ほか)
評価
★★★

同時多発テロは何故起きたのか、その根は何なのかという座談会・対談・鼎談。タリバンの実態や国家という幻想を見極めながらも、表題どおり「閉塞する日本」論となる。日本のリアクションがいかに特異な物であるか。

『恋愛の格差』

表紙

発行
2002年10月 青春出版社 249頁 絶版 購入
発行
2004年6月 幻冬舎文庫 252頁 520円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
それでもわたしは幸せ、と言えるだろうか / 結婚しなければ生きていけない女 / 「なぜ彼を好きなのか」答えられますか (ほか)
所要
2時間20分
評価
★★★

タイトルにまったく即してないが社会構造や経済が置かれている現状とこの先の論としては有用。フリーターには未来がないと言い切れる大人は必要だ。でも恋愛にもう関心がないならこんなオファー受けなきゃいいのに。