『君は弥生人か縄文人か 梅原日本学講義』

- 発行
- 1984年2月 朝日出版社 239頁 絶版 購入
- 発行
- 1994年2月 集英社文庫 223頁 絶版 購入
- 共著
- 共著:梅原猛
- NDC
- 210(日本史>日本史)
- 目次
- 熊野、その周辺性 / アイヌ、日本の原基 / 柳田国男を超えて (ほか)
- 評価
- ★★★★
黄泉の国熊野をとっかかりにアイヌ、柳田国男を考え「日本人とは」に迫る対談集。梅原の講義を中上が聴くという趣向。縄文文化、弥生文化をうまく利用しながら、さて今文学では何ができるのか、という作為的な問い。
『日輪の翼』

- 発行
- 1984年5月 新潮社 312頁 絶版 購入
- 発行
- 1992年9月 文春文庫 382頁 絶版 購入
- 発行
- 1999年5月 小学館文庫 406頁 品切 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 夏芙蓉−熊野 / 神の嫁−伊勢 / 織姫−一宮 (ほか)
- 評価
- ★★★★★
「オバ」らを乗せたトレーラーで熊野を出、東京・皇居を目指す男の巡礼物語。したたかな老婆に振り回されながらも楽しく旅は続く。その猥雑さ、品のなさでリアルな存在としての老婆らを描き出すことに成功している。
『物語ソウル』

- 発行
- 1984年5月 パルコ出版局 214頁 絶版 購入
- 共著
- 共著:荒木経惟
- NDC
- 915(日本文学>日記 書簡 紀行)
- 目次
- 物語ソウル
- 所要
- 1時間50分
- 評価
- ★★★
ソウルの路地裏で日暮しの貧者達、変化する時代を後押ししようとしている義賊の物語。荒木の写真が街の湿気を伝え、いつの時代でもない欲望するアジアを描き出す。被抑圧者への優しく厳しい視線は作家中上ならでは。
『熊野集』

- 発行
- 1984年8月 講談社 284頁 絶版 購入
- 発行
- 1988年2月 講談社文芸文庫 380頁 1260円 購入
- 発行
- 2000年1月 小学館文庫(『火まつり』と合本、『熊野集・火まつり』として) 507頁 880円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 不死 / 桜川 / 蝶鳥 (ほか)
- 評価
- ★★★★
熊野を揺らめく連作短編。随筆のような短編と歴史小説のような短編を自覚的に配置している。現実と物語の境界が曖昧で、著者が秋幸に折り重なる。血で書いてきた作家の現在であり同時に熊野に分け入った聖でもある。
『紀伊物語』

- 発行
- 1984年9月 集英社 314頁 絶版 購入
- 発行
- 1993年1月 集英社文庫 330頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 大島 / 聖餐
- 評価
- ★★★
奔放な血と折り合って生きる道子の長編。紀州の女の生涯ということで『鳳仙花』と重なるが、こちらのほうが現代的で快楽的。『千年の愉楽』に見える中本の一統、半蔵二世がバンドを組むくだりは「おっ」と思わせる。
『アメリカ・アメリカ America, America』

- 発行
- 1985年3月 角川書店 255頁 絶版 購入
- 発行
- 1992年8月 角川文庫 283頁 絶版 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- アメリカ・アメリカ / 青痣のモンゴロイドとして / 対談 (ほか)
- 評価
- ★★★
アメリカ中南部を旅した「マイノリティーのアメリカ」紀行。後半にはボブ・マーリーやボルヘスなどへのインタビューを収録する。特にボルヘス。芭蕉から三島まで語りつつ、自分に確固たる自信を持ってる姿が美しい。
『火の文学』

- 発行
- 1985年6月 角川書店 205頁 絶版 購入
- 発行
- 1992年8月 角川文庫 186頁 絶版 購入
- NDC
- 912(日本文学>戯曲)
- 目次
- ドキュメント 火の文学 / オリジナル・シナリオ 火まつり
- 評価
- ★★★
神倉神社の石段を松明を持って駆け下りる荒くれた新宮の祭、お燈まつり。映画化のオリジナル・シナリオ「火まつり」と、実際の祭に飛びこみその興奮を伝える実況中継的インタビューからなる。ハレの日の興奮がいい。
『俳句の時代 遠野・熊野・吉野聖地巡礼』

- 発行
- 1985年12月 角川書店 249頁 絶版 購入
- 発行
- 1992年8月 角川文庫 262頁 絶版 購入
- 共著
- 共著:角川春樹
- NDC
- 911(日本文学>詩歌)
- 目次
- 遠野−キーワードは<芙蓉> / 熊野−闇からのヴァイブレーション / 吉野−桜の花のバリヤー (ほか)
- 評価
- ★★★★
三つの聖地へ場所を変えながらの対談集。角川の俳句を主軸に、神話伝承、土着の風景などを解き明かす。コトノハと魂、言葉自体の力を巡り原始にまで降りて行く二人は作家としてすごい位置にまで行ってしまっている。
『野性の火炎樹』

- 発行
- 1986年3月 マガジンハウス 301頁 絶版
- 発行
- 1993年12月 ちくま文庫 333頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 野性の火炎樹
- 評価
- ★★★
『異族』にも出てくるマウイを主人公とした長編。ここでマウイは中本の血の因果で黒い肌に生まれた男として現れる。つまり『千年の愉楽』の世界を引いている。生き急ぐ彼をオリュウノオバの俯瞰視線が支配する世界。
『スパニッシュ・キャラバンを捜して』

- 発行
- 1986年5月 新潮社 213頁 絶版 購入
- NDC
- 915(日本文学>日記 書簡 紀行)
- 目次
- 土着の子 / インドの闇 / インド、すれすれ (ほか)
- 評価
- ★★★
インドやパキスタン、ソウルと旅しながら日本人作家としての有り方を見つめる紀行エッセイ集。韓国のダイナミックな変化を追った部分などなかなか面白い。途中、おちゃらけた文体に(メンゴー)とまどったりもするが。
『オン・ザ・ボーダー 最新エッセイ+対談 1982-1985』

- 発行
- 1986年6月 トレヴィル/リブロポート 226頁 絶版 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 異界にて / ジャズ狂左派 / 異界・神・ヴァイブレイション (ほか)
- 評価
- ★★★
生活者的視点での「路地」、あるいは賎としての芸能の組成について考える。ここまで掘り下げた話は彼のエッセイでも意外と少なかったりする。栗本慎一郎との話もヤバい所まで行ってるし。ほか村上春樹との対談とか。
『十九歳のジェイコブ』

- 発行
- 1986年10月 角川書店 227頁 絶版 購入
- 発行
- 1992年8月 角川文庫 246頁 絶版 購入
- 発行
- 2006年2月 角川文庫(新装版) 254頁 540円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 十九歳のジェイコブ
- 評価
- ★★★
当然『十九歳の地図』が思い浮かぶわけだが。ここでその爆弾は炸裂するのだが、逆にジェイコブの苛立ちは凝固している。ジャズ喫茶に入り浸っていられるだけの安穏。血が出るような若さ、永遠の十九歳のための長編。
『火まつり』

- 発行
- 1987年4月 文藝春秋 163頁 絶版 購入
- 発行
- 2000年1月 小学館文庫(『熊野集』と合本、『熊野集・火まつり』として) 507頁 880円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 火まつり
- 評価
- ★★★
没落しつつある名家の跡取り達男の長編。彼は傍若無人に悪を重ね、誰もが陰口を叩きつつもその輝く刃のような魅力から目が離せない。憎悪を抱えながら付き従う良太もいきいきしてるが、達男がとにかくカッコイイぜ。
『天の歌 小説都はるみ』

- 発行
- 1987年11月 毎日新聞社 279頁 絶版 購入
- 発行
- 1992年12月 中公文庫 245頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 銀のかんざし / 千年の古都 / 椿の島へ (ほか)
- 評価
- ★★★
都はるみの伝記小説。ただ歌うのが好きだった少女の、(辛くても苦しくてもと)演歌な立身出世伝。著者のキャリアのなかでは明らかに異色作。なんでこんなものを書いたかと言えば、単純に彼女が好きだからでしょうね。
『時代が終り、時代が始まる』

- 発行
- 1988年9月 ベネッセコーポレーション 473頁 絶版 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 時代が終り、時代が始まる / 燃える、燃える / 飢えた子がいなくて文学は可能か? (ほか)
- 評価
- ★★★
論文集という態の重厚本。吉本隆明論、フォークナー論があり、特に韓国やバリへと根を伸ばす熊野のバイブレーションを絵解いた章は圧倒的。流転する物語を発語する無意識まで潜って揺り起こそうとする作家の本域だ。
『重力の都』

- 発行
- 1988年9月 新潮社 193頁 絶版 購入
- 発行
- 1992年12月 新潮文庫 177頁 380円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 重力の都 / よしや無頼 / 残りの花 (ほか)
- 評価
- ★★★★
ただでさえ男と女の性の匂いで窒息しそうなのに、改行で意識を途切れさせることさえまどわしいというように連綿と連なる言葉群。凝縮されて染み出した汁のように艶めかしい短編集。谷崎潤一郎へのアンサーでもある。
『有名人 おさわがせメディア表現論』

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- 1988年10月 竹書房 335頁 絶版 購入
- 共著
- 共著:高平哲郎/野田秀樹
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 病気、怪我 / 三浦事件 / 犯罪と女性 (ほか)
- 評価
- ★
物語作家・放送作家・劇作家による鼎談集。タモリとタケシとかテレビ的な下世話な文化について鋭く切りこむ趣向だが「失礼な編集者」のせいで下世話なまま終わってしまったりしてる。三年のブランクでの状況変化も。
『バッファロー・ソルジャー』

- 発行
- 1988年10月 ベネッセコーポレーション 258頁 絶版 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- HEAT UP / KENJI'S MAGICAL TOUR IN U.S.A
- 評価
- ★★★
「東京が素敵だ」から始まるエッセイ集。東京・熊野・ニューヨークを駆け、ジャズに酒に忙しい。平凡パンチ連載という枷(?)で文学を論じるにも易しめな記述を意識している。シナリオ担当の映画「火まつり」完成も。
『奇蹟』

- 発行
- 1989年4月 朝日新聞社 384頁 絶版 購入
- 発行
- 1994年3月 朝日文庫 405頁 絶版 購入
- 発行
- 1999年9月 小学館文庫 475頁 880円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- タイチの誕生 / 蓮華のうてな / 七つの大罪/等活地獄 (ほか)
- 評価
- ★★★
中本の血を引くヤクザ者タイチの生涯。華やかで陰鬱な宿命に生きる男はやはり夭折する。それは著者自身の死の予感からか巨大で重い。個人的にはこれ以降の作は徐々に読みづらくなり投げ出したくなる。何故だろうか。