中上健次の100字レビュー(1990〜)

中上健次書評ページ

『讃歌』

表紙

発行
1990年5月 文藝春秋 364頁 絶版 購入
発行
1993年2月 文春文庫 459頁 絶版 購入
発行
1999年11月 小学館文庫 473頁 880円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
讃歌
評価
★★★★

終盤になると『日輪の翼』の続編で、熊野へ「帰る」ための物語だと知れるのだが、ほとんどが乱交シーンの別物。ジゴロたるイーブは白豚に快楽を与えるマシーンだ。無感動な技巧を捨てる話と読むのは単純すぎるけど。

『解体される場所 20時間完全討論

表紙

発行
1990年9月 集英社 236頁 品切 購入
共著
共著:吉本隆明/三上治
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
第一章 天皇 および天皇論について / 第二章 家族 および文学の周辺をめぐって / 第三章 政治の現在と批評
評価
★★★

天皇・文学・政治を巡る鼎談。村上春樹に対して割れる評価だとか「ばなな」をどう読むのかとか、取っ付き易いところに僕は取っ付きがちなんだけれど、昭和の死を受けての「アフリカ的段階論」はなかなかよいのでは。

『軽蔑』

表紙

発行
1992年7月 朝日新聞社 440頁 絶版 購入
発行
1999年2月 集英社文庫 503頁 品切 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
軽蔑
評価
★★★

恋に舞いあがる女が主人公の(なんと)恋愛小説。昭和の文士然とした恋愛小説だ。どこか距離を置いたような語りに肩透かしを食らった気分にもなる。ラストシーンも著者らしくなくて嘘みたいだ。まぁ普通の小説である。

『問答無用』

表紙

発行
1992年12月 講談社 190頁 絶版 購入
発行
1995年10月 光文社文庫(『男の遺言』と改題) 238頁 絶版 購入
共著
共著:光森忠勝
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
第一部 破天荒な人生相談 / 第二部 未来への10のメッセージ
評価
★★★

若者の悩みに答えた誌上人生相談。恋とか学校生活とか下世話な相談に親のように友のように語る。「おおいに悩み、男を磨け」と言い切る著者晩年の言葉。まずやってみりゃいいじゃないか、が基本にあって気持ちいい。

『鰐の聖域』

表紙

発行
1992年12月 集英社 197頁 品切 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
鰐の聖域
評価
★★

未完の小説なんだから的外れだろうが、ここには何もない。主人公は特に思想的なものを持たない俗物のチンピラで、だらだらとした日常が続くだけだ。ここが聖域なのか。一体どのように完結するはずだったのだろうか?

『言霊の天地 宇宙・神話・魂を語る

表紙

発行
1993年7月 主婦の友社 265頁 絶版 購入
共著
共著:鎌田東ニ
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
第一章 蛇をめぐる想像力 / 第二章 シャーマニズムをめぐる想像力 / 第三章 森羅万象をめぐる想像力
評価
★★★

晩年にあり宇宙・神話・魂をめぐる哲学対談集。宮澤賢治とシャーマニズムへの語りなど哲学者鎌田をリードするように大いに哲学的に語る中上。衰弱してゆく筆力を感じながらこれからやるべき仕事を思う作家の立ち姿。

『甦る縄文の思想』

表紙

発行
1993年7月 有学書林 179頁 絶版 購入
共著
共著:梅原猛
NDC
210(日本史>日本史)
目次
縄文の深層 / 甦る縄文 / 中上健次の死
評価
★★★

縄文文化を思想として体現しうる学者梅原と、縄文的感性で小説世界を構築する作家中上の対談。追悼的に出版された中上論でもある。確信的に土俗熱量を利用する作家の力強い言葉を見るたびに早過ぎる死が惜しまれる。

『異族』

表紙

発行
1993年8月 講談社 791頁 絶版 購入
発行
1998年11月 小学館文庫 952頁 品切 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
異族
評価
★★★

とにかく長い。冗長だと言ってもいい。路地を消滅しつくした後の苦悩が手に取れるようだ。胸に青あざをもった三人の男を中心とした右翼の失地回復作戦。終盤、八犬伝的冒険活劇になりつつ未完で終わる大長編遺作だ。

『中上健次エッセイ撰集 文学・芸能篇』

表紙

発行
2002年2月 恒文社21 526頁 4410円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
文学 / 芸能
所要
6時間50分
評価
★★★

単行本初収録作品もたっぷり入ったエッセイ集成。自著解説を含む文学論、作家論作品論が力強く展開される。「毒虫ザムザ」における『千年の愉楽』成立過程も(『オン・ザ・ボーダー』で読んでても)呆然とする読み物。

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