椎名誠の100字レビュー(1996〜97)

『麦の道』

表紙

発行
1996年1月 集英社 273頁 1223円 購入
発行
1999年6月 集英社文庫 303頁 560円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
麦の道 / 拳骨とソーセージ / 新しい稽古着 (ほか)
評価
★★★

お得意青春私小説。喧嘩で明け暮れる高校生活の中で、今回は柔道部での活動を中心に語られている。全面的に男らしい。猛者だ。ほのかな恋心というパターン化されたストーリーも安心して読めると言えないこともない。

『いろはかるたの真実 発作的座談会

表紙

発行
1996年4月 本の雑誌社 357頁 1631円 購入
発行
2000年8月 角川文庫 356頁 品切 購入
共著
共著:木村晋介沢野ひとし目黒考二
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
怒りと涙の七本勝負 / カニエビたちのはげしい夜 / ぐふぐふ温泉四人旅 (ほか)
評価
★★★

おなじみメンバーによる座談会第二弾。ロウソクと電球はどちらが強いかとかバカ話もおなじみ。沢野がボケ、椎名がうろつき、目黒が中道を歩んで、木村が(さすが弁護士)正解にたどりつくという四人のバランスがいい。

『カープ島サカナ作戦』

表紙

発行
1996年7月 文藝春秋 254頁 絶版 購入
発行
1999年7月 文春文庫 285頁 470円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
奄美大島再突入 / 贅沢な時間 / 越すに越せない大阪のトンネル (ほか)
評価
★★★

奄美大島再突入/日本海あじあじ横移動/モンゴロイドの血が騒ぐ/さまよう脳細胞/魚とプロレス/ヨロコビのピェンロー/阿波でドイツとタコ絶賛/マホービン的問題/など。タイトル列記で逃げる赤マントエッセイ。

『鍋釜天幕団フライパン戦記 あやしい探検隊青春篇

表紙

発行
1996年7月 本の雑誌社 141頁 1835円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
第一回あやしい探検隊・琵琶湖マムシ山合宿 / 式根島油照り砂ヂゴク篇 / 神島のタコ的くねくねコーフン旅 (ほか)
評価
★★★

あやしい探検隊のこれまでの軌跡、原始的アウトドア生活を振り返る総集編。写真を見ながらあの頃はバカだったねぇと椎名・沢野が対談する形式になっている。ラストに収録されてる当時手書きのパンフレットが楽しい。

『麦酒主義の構造とその応用力学』

表紙

発行
1996年7月 集英社 211頁 1223円 購入
発行
2000年10月 集英社文庫(『麦酒主義の構造とその応用胃学』と改題) 234頁 440円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
刺身偏愛 / 白い原稿用紙 / 居酒屋を出たあとで……。 (ほか)
評価
★★★

ビールばかり飲んでいる自分は、まるでビールを燃料にして動く機械ではないかというタイトルのエッセイ集。小説のアイデアをいろいろ考察するものが多く『猫殺し』的私小説集と読むことも可能。「杯は読書の敵だ!」

『自走式漂流記 1944-1996

表紙

発行
1996年9月 新潮文庫 509頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
PART1 編 / PART2 書 / PART3 旅 (ほか)
評価
★★★★

伝説の「月刊おれの足」や「克美荘日記」などデビュー前の文章から書き下ろしエッセイ、年譜なども収録する椎名誠大全集。なんと高校時代の詩まであるのだ。巻末の「全自作を語る」もすごい。分厚い文庫オリジナル。

『あやしい探検隊 焚火発見伝』

表紙

発行
1996年10月 小学館 270頁 絶版 購入
発行
1999年1月 小学館文庫 311頁 670円 購入
共著
共著:林政明
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
第1回 たぬきの道への第一歩 / 第2回 格闘技アンコウ鍋 / 第3回 大草原の羊大鍋大満足 (ほか)
評価
★★★

タヌキ汁、アンコウ鍋、チャンプルーなどをワイルドに作ってワイルドに食らう。料理人リンさんの贅沢本格的な野外料理が学べる実用書にしてあやしい天幕。そうか、焚火を発見して人類は料理をするようになるわけだ。

『風の道 雲の旅』

表紙

発行
1996年10月 晶文社 225頁 2650円 購入
発行
2004年10月 集英社文庫 287頁 630円 購入
NDC
915(日本文学>日記 書簡 紀行)
目次
那覇のホテルで窓をあけたまま睡ってしまった。 / 夜更けまで波の音がきこえていたので。 / 犬は少年といる時が一番うれしいようだ。 (ほか)
評価
★★★

著者による写真と文章で「旅すること」の魅力に迫ったなんだか豪華な手触りの本。ありきたりの風景が、水溜りの道でさえも輝きだす。観光地も風光明媚もいらない、人間の営む大地が面白いのだ、という一貫した焦点。

『人生途中対談』

表紙

発行
1996年10月 文藝春秋 249頁 絶版 購入
発行
1999年9月 文春文庫(『シーナとショージの発奮忘食対談』と改題) 331頁 500円 購入
共著
共著:東海林さだお
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
僕らはカレーライスの中の肉が、ただひとつの肉だった / ラーメン残量スープ水深二センチ問題 / タンメンは野菜の甲子園だった (ほか)
評価
★★★

すでに他の本に収録されていたものを含む、二人の対談交友集大成的内容。丼ものの親分はカツ丼だとか魚を会社で考えるとマグロは国際派の専務だとか非常に下らなくておかしい。身辺雑記風ボケ合いの呼吸が楽しめる。

『みるなの木』

表紙

発行
1996年12月 早川書房 265頁 品切 購入
発行
2000年4月 ハヤカワ文庫 274頁 588円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
みるなの木 / 赤腹のむし / 南天爆裂サーカス団 (ほか)
評価
★★★★

久しぶりの超常小説集。その内数篇は『武装島田倉庫』の世界をくっきり引いている。戦争後の瓦礫の上、鉛色の空の下で、百舌や灰汁が再登場する辺りはファンなら感涙。その他にもアイデアが光る好短編が並んでいる。

『むはのむは固め』

表紙

発行
1997年4月 本の雑誌社 257頁 1575円 購入
発行
2004年6月 角川文庫(『くねくね文字の行方』と改題) 251頁 540円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
ひと幕の終了 / 山形県真夏の怪々 / ソーメンカボチャをしっておるか (ほか)
評価
★★★

本の雑誌連載のエッセイ。相変わらず日々の移ろいを、読んだ本のことを、そこはかとなく綴ってある。本の雑誌社20周年ということだが文章には全く気負いもなく自然体。旅館でサインを頼まれた「色紙問題」話が好き。

『本の雑誌血風録』

表紙

発行
1997年6月 朝日新聞社 387頁 絶版 購入
発行
2000年8月 朝日文庫 554頁 798円 購入
発行
2002年2月 新潮文庫 567頁 780円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
本の雑誌血風録
評価
★★★★

私小説の系譜で『銀座のカラス』続編。「本の雑誌」を創刊し、動的にうろつく時代。単行本帯の言葉「椎名はひたすら書いた、沢野もひたすら描いた、目黒はひたすら読んだ、そして木村はひたすら歌った」はうまいね。

『ギョーザのような月がでた』

表紙

発行
1997年7月 文藝春秋 247頁 絶版 購入
発行
2000年7月 文春文庫 273頁 470円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
なぜ火を吹くのか / 春雷雨漏りタラバ海老 / 再会の山里 (ほか)
評価
★★★

前作は表題列記で埋めたのにすぐ出る赤マント八冊目。今回は引用で。「女は自分の靴ぐらい自分で履け。男はひざまずいて女の靴など履かせるな」。またとんでもないところを引用してしまったが、こういう部分も素敵。

『あるく魚とわらう風』

表紙

発行
1997年12月 集英社 307頁 1260円 購入
発行
2001年2月 集英社文庫 355頁 650円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
宝島とにかく上陸作戦 / 一日キカイダーになる / カープ島の三日間 (ほか)
評価
★★★

作家の日記なんて出版された時点でフィクションであるから丸呑みすると痛い目にあうのだが、ともかく95年5月から1年半の日記。慌ただしくも全国を駆け巡り飲み踊り、ベタベタと前ヒレで地面を叩き歩く魚なのである。

『沢野絵の謎』

表紙

発行
1997年12月 本の雑誌社 168頁 絶版 購入
共著
共著:木村晋介沢野ひとし目黒考二
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
沢野絵の謎
評価
★★★★★

発作的座談会番外編。沢野の絵を取り上げ、喧喧諤諤の大議論。この絵はどんな意味があるんだ?と激しく詰め寄る三人に、いや意味なんてないよ。と抗弁する奇才。本の雑誌での四コマ広告シリーズも解読・解説される。