椎名誠の100字レビュー(1998〜99)

『これもおとこのじんせいだ!』

表紙

発行
1998年3月 本の雑誌社 237頁 絶版 購入
共著
共著:沢野ひとし木村晋介目黒考二/中村征夫/太田和彦
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
「女」について / 「人生の転機」について / 「お金」について (ほか)
評価
★★★

女について、人生の転機について、旅について、男達のリレーエッセイ。意図したとおりに酒の席で前のめりで語ってしまう彼らの姿が見えるよう。それぞれ味ある文章だが、沢野のエンタテイメントに徹した潔さが光る。

『旅の紙芝居』

表紙

発行
1998年3月 朝日新聞社 381頁 絶版 購入
発行
2002年11月 朝日文庫 350頁 861円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
沈下橋の記憶 / 痛快面白鳥 / 川ぞいの町で (ほか)
評価
★★★

著者の「写真物」は文章が少なく寂しい想いをすることもあるのだが、これはたっぷり。読ませつつも写真を殺さない良いバランスなんじゃないかな。石垣島にモンゴル、アルゼンチンとめまぐるしさは相変わらずながら。

『砂の海 楼蘭・タクラマカン砂漠探検記

表紙

発行
1998年3月 新潮社 201頁 絶版 購入
発行
2000年12月 新潮文庫 235頁 絶版 購入
NDC
915(日本文学>日記 書簡 紀行)
目次
さまよえる湖 / 停滞 / 無限軌道 (ほか)
評価
★★★

日中共同楼蘭探検隊に参加しての砂漠紀行。「さまよえる湖」ロプノール跡での白い巻貝が散在する荒野は脳裏に強く浮かぶ。少年時代から憧れ続けた土地に向かう男の喜びたるや。ビールもあるし。1988年の旅なのだが。

『黄金時代』

表紙

発行
1998年5月 文藝春秋 281頁 絶版 購入
発行
2000年12月 文春文庫 330頁 500円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
砂の章 / 風の章 / 草の章 (ほか)
評価

自伝的青春小説。全面的に喧嘩ばかり。高校時代前後が舞台なのだが、これがおれの青春なんだと、なかば胸を張るように喧嘩が描かれている。それでいて主人公がいいやつに思えてしまうのは彼の腕力および筆圧の作用。

『突撃三角ベース団』

表紙

発行
1998年7月 文藝春秋 247頁 絶版 購入
発行
2001年6月 文春文庫 261頁 470円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
深夜突風 / 流氷とホーキ星 / サヨナラカヌー犬 (ほか)
評価
★★

おなじみの連載エッセイ赤マント物。このシリーズの単行本はいつも意味不明なタイトルで楽しい。どちらにしろ全体的なテーマはないのでそうならざるを得ないのだがやっぱりうまいと思う(今回はまだストレートだが)。

『活字博物誌』

表紙

発行
1998年10月 岩波新書 220頁 672円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
ガリバーの悩み、ゴジラの反省 / しゃがんで何をする / アナザワールド (ほか)
評価
★★★

岩波だけあってちょっとだけ固めなエッセイ集。旅と読書がメインテーマだから本の雑誌系テイストに近い。焚火を囲み川を下りプロレスに想いを馳せたりするが、やにわに学術的考察へと進んだりするところが実に岩波。

『新宿熱風どかどか団』

表紙

発行
1998年10月 朝日新聞社 301頁 絶版 購入
発行
2001年8月 朝日文庫 346頁 630円 購入
発行
2005年10月 新潮文庫 381頁 580円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
大盛り五目チャーシューワンタンメン / 雑誌黄金時代 / 串本グランドホテルで苦悩する (ほか)
評価
★★★★

『本の雑誌血風録』続編。「本の雑誌」が売れはじめ、会社を辞めて作家として立った時代。大河自伝小説もようやく現代に迫り、時折エッセイ風になったりしながら綴られる青春絵巻。というかエッセイちゃうか、これ?

『怒濤の編集後記』

表紙

発行
1998年10月 本の雑誌社 253頁 1890円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
ストアーズレポート 1969年〜1980年 / 本の雑誌 1977年〜1998年
評価
★★★

流通業界誌「ストアーズレポート」から現在の「本の雑誌」へと編集長を歴任する著者だが、これはその編集後記を集大成した奇妙な本。業界誌時代から巧みな話術は発揮されていて、逆に最近の落ち着いたトーンに近い。

『あやしい探検隊 バリ島横恋慕』

表紙

発行
1998年11月 山と渓谷社 286頁 1470円 購入
発行
2002年1月 角川文庫 214頁 480円 購入
NDC
915(日本文学>日記 書簡 紀行)
目次
第一章 ポンポコ島のジャランポラン作戦 / 第二章 神の山アグンにいきなり突撃 / 第三章 わらわら族との遭遇 (ほか)
評価
★★★★★

あやしい探検隊海外遠征第2弾。神の島バリで山に登ったりケチャにやられたりする4人組。酒を飲み語るメンバーだが「文明と観光産業の未来」という予想外にマジメな話へと発展する。南国の開放的風土が多分に伝わる。

『風がはこんでくるもの』

表紙

発行
1998年12月 本の雑誌社 75頁 1680円 購入
NDC
748(写真・印刷>写真集)
目次
風がはこんでくるもの
評価
★★★

モノクロ写真による日本の田舎風景、ってことには同系列の本と変わらないのだが。みどころはキャプションで、詩みたいになっている。銀色夏生みたいになっている。写真とうまく呼吸してて、これはちょっと新鮮かも。

『ずんが島漂流記』

表紙

発行
1999年1月 文藝春秋 306頁 絶版 購入
発行
2001年12月 文春文庫 344頁 500円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
第一章 三人の海の仲間 / 第二章 ターラの踊り / 第三章 光るくねくね (ほか)
評価
★★★

歩く魚がいるという未知の海域を目指し、大人達に内緒で舟を出す。ようやくたどり着いた無人島での生活、さらに新しい世界へ。危機感が薄く漂流物としてはほのぼのしすぎの感があるが、わくわくする気持ちは広がる。

『ビールうぐうぐ対談』

表紙

発行
1999年3月 文藝春秋 243頁 絶版 購入
発行
2002年7月 文春文庫 231頁 450円 購入
共著
共著:東海林さだお
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
銀座高級料亭の掟 / 美味しいのはマズイ! / わしらの怖いもの (ほか)
評価
★★★

屋形船とか芸者遊びとかの真髄を考察しながら表題どおりのお気楽な対談。ゲストを迎えて鼎談風になってるところもあるのだが、椎名小説でおなじみの「よかちん」を踊るヘビ専務も登場。岸田秀の俗っぽさは全く驚き。

『むは力』

表紙

発行
1999年4月 本の雑誌社 235頁 1680円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
あほばかスーツの日々 / あるく魚とわらう風 / 春のハリセンボン (ほか)
評価
★★★

若干本の話が多いけれど、あえてもう「赤マント系」エッセイとの書き分けもない「本の雑誌系」エッセイ集。無人島でキャンプしながら本を読むような生活を僕も送りたい。しかし、「老人力」からのタイトルはどうか?

『とんがらしの誘惑』

表紙

発行
1999年5月 文藝春秋 246頁 絶版 購入
発行
2002年5月 文春文庫 262頁 470円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
戦闘的文学賞作戦 / まぶたがぴくぴく / 堂々めぐり (ほか)
評価
★★

ついに怒涛の10冊目となった新宿赤マントシリーズ。10年も週刊誌連載を続けるというのは相当なもんだろう。ワープロを導入しつつも相変わらずのヨタ話で読者は弛緩した時間を過ごせるのである。マサコよ責任をとれ!

『南洋犬座 100絵100話

表紙

発行
1999年6月 集英社 220頁 1995円 購入
発行
2002年8月 集英社文庫 271頁 520円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
ひとりじゃないよ / なんだか笑える昼下がり / 窓のむこうのわすれもの (ほか)
評価
★★★

沖縄、モンゴル、イルクーツク、世界中の子供やおっさんや犬が笑っている写真集。「週刊金曜日」の表紙写真集成だ。すでに発表済の写真の再録も少なくないのだが、上海のミミカキ売りおじいさんの虚ろな目線はいい。

『アメンボ号の冒険』

表紙

発行
1999年7月 講談社 141頁 絶版 購入
発行
2006年7月 講談社文庫 155頁 420円 購入
共著
絵:松岡達英
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
アメンボ号の冒険 / ぼくたちのトロッコ鉄道 / サンチョ山の秘密基地
評価

筏で川を下り、工事現場のトロッコを走らせ、木の上に秘密基地を作る。少年期の小さな冒険、そのワクワク感が懐かしい。夏休みの課題図書的な平易な表現だから、今の小学生達に読ませたい!と年寄りは思うのだろう。

『鍋釜天幕団ジープ焚き火旅 あやしい探検隊さすらい篇

表紙

発行
1999年8月 本の雑誌社 136頁 2100円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
覆面男とトランシーバー / でかテントと火吹き男 / 無人島ハシゴ旅 (ほか)
評価
★★★

これまでの「あやしい探検隊」を振り返る「天幕団シリーズ」第二弾。今回は目黒と対談をしながら「北へ」「不思議島へ行く」などのエピソードを検証。ジープは出てこないが焚き火はいっぱいだ。歌え踊れ、火を吹け。

『春夏秋冬いやはや隊が行く』

表紙

発行
1999年9月 講談社 317頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
春焚火わらわら / 夏焚火めらめら / 秋焚火ひらひら (ほか)
評価
★★★★

熟年たちのアウトドア叢書。春には静かに焚き火を囲み、夏は筏で川下り、秋にはイモを収穫し、冬は氷瀑にかじりつく。彼らいやはや隊を見ていると、こういう老け方をしたいもんだと思う。隊員達の文章もふんだんに。

『問題温泉』

表紙

発行
1999年11月 文藝春秋 267頁 絶版 購入
発行
2002年12月 文春文庫 305頁 500円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
ブリキの領袖 / 考える巨人 / 狸 (ほか)
評価
★★★

超常小説集。隣国のミサイルが海岸に突き刺さったり、突然巨大化したり、新幹線が冷凍庫になったり。異常な状況がただあるだけで、解決への科学的糸口を提出しないまま唐突に終わる。その後が気になる焦燥が魅力か。