椎名誠の100字レビュー(2000〜01)

『くじらの朝がえり』

表紙

発行
2000年3月 文藝春秋 247頁 絶版 購入
発行
2003年4月 文春文庫 258頁 490円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
ちょっとした時間旅行 / うどんおののき話 / 下北突端乱気流 (ほか)
評価
★★★

「おかげさまで二十年、全国謝恩大巡業ペンを握って大鯨飲! 飲みます! 倒れます!」20年も作家やってれば年もとり血圧も上がる。それでも旅だらけ旨いもんだらけクダだらけの衰え知らずぶりで、赤マント11冊目。

『超能力株式会社の未来 新発作的座談会

表紙

発行
2000年6月 本の雑誌社 317頁 1680円 購入
共著
共著:木村晋介沢野ひとし目黒考二
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
超能力株式会社の未来 / こども電話相談にわしらが答える / 遺言の書き方講座 (ほか)
評価
★★★

箱根の温泉に入って酒飲んでついでに語る定例対談、三冊目。今回は遺言の書き方だとか禁固と懲役の違いとか弁護士的有益情報もありつつ、昔話の新解釈とか無益な話もやはり多々。そこがいいんだが、読むほうも弛緩。

『にっぽん・海風魚旅 怪し火さすらい編

表紙

発行
2000年6月 講談社 313頁 絶版 購入
発行
2003年7月 講談社文庫 325頁 880円 購入
NDC
915(日本文学>日記 書簡 紀行)
目次
土佐の三角ミステリーゾーン / 海女島ふんせん記 / ヤマネコ島演歌旅 (ほか)
評価
★★★

日本の正しき旅風景紀行。「海を見にいく」という連載をまとめたものだから当然海べりの町歩きが主体だが、カツオにうどんと食の旅でもある。鹿児島の甑島なんて地味な島へふらりと渡ってしまう流れ方を僕もしたい。

『もう少しむこうの空の下へ』

表紙

発行
2000年7月 講談社 233頁 絶版 購入
発行
2003年8月 講談社文庫 260頁 520円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
島の映画会 / 海彦山彦 / 島の女 (ほか)
評価
★★★

紀行エッセイなのか私小説なのか、微妙な味わいだ。同じ浜辺でのキャンプでもあやしい探検隊的どたばたではなく一人旅の感傷であって、シェラカップのウィスキーがしみじみ効く。木のように踊る温枝さんがいい絵だ。

『ここだけの話』

表紙

発行
2000年8月 本の雑誌社 221頁 1470円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
これが始まりの話 / 思えば懐かしい話 / どうにも困った話 (ほか)
評価
★★

講演を起こしたもの。急に思い出したように時代を飛び越えて話題は推移するわけだ。心地よい味わいになってるのは確かなのだが、表題とは裏腹にどこかで聞いたことのあるような話だったりする、なんて言ってもいい?

『すっぽんの首』

表紙

発行
2000年10月 文藝春秋 228頁 絶版 購入
発行
2003年10月 文春文庫 261頁 品切 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
ガンズとカツオ / チベットにおけるフライド・エッグの煩悶 / 旅の宿 (ほか)
評価
★★★

「辞書の字が見えにくくなってきた」と急速に老け込むシーナである。もう50だもんな。歩いてきた道を振り返る郷愁的なエッセイ集だが、まだこんなの隠し持ってたのかと驚かされるような瑞々しいエピソードも多くて。

『沢野字の謎』

表紙

発行
2000年10月 本の雑誌社 236頁 1680円 購入
共著
共著:木村晋介沢野ひとし目黒考二
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
激戦の地区ブロックを勝ち抜くコピーは何か / 意味不明のコピーに審査員は頭をかかえる / 予選リーグに残ったのは六十点だった (ほか)
評価
★★★★

イラストレーター沢野のコピーライターとしての輝くセンスを皆で検証する座談会番外モノ。絵的にキレイなものから本人にも意味がわからないものまでトーナメント戦。「犬のクビワまで持っていった妻」なんて好きだ。

『やぶさか対談』

表紙

発行
2000年12月 講談社 244頁 絶版 購入
発行
2005年5月 講談社文庫 246頁 500円 購入
共著
共著:東海林さだお
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
第1回すき焼きの掟 / 第2回ケンカの仕方 ゲスト田嶋陽子 / 第3回すぐ欲しくなる売り方 ゲスト川口隆史 (ほか)
評価
★★★

各回、各界からのゲストを招いての鼎談。世の中についていけなくても「もうこのままでいいんだ、俺」という椎名発言はかなり問題だと思われるが、この人の強さであったりもする。ここになんで大江健三郎が出てるの。

『焚火オペラの夜だった』

表紙

発行
2001年1月 文藝春秋 241頁 絶版 購入
発行
2004年1月 文春文庫 255頁 470円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
メラニン君の疑問 / 上海丸かじ決死隊 / 強敵券売機 (ほか)
評価
★★★

10周年を迎えた赤マント12冊目。相変わらずの生活雑記ではあるが、2000年問題で騒がれた頃の晦日風景「東京崩壊を待ちながら」のおかしみと、チベット旅の実況中継が続く数話が特徴といえば特徴。どこまでやるのか?

『春画』

表紙

発行
2001年2月 集英社 248頁 1470円 購入
発行
2004年2月 集英社文庫 279頁 520円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
春画 / 家族 / 青空 (ほか)
評価
★★★

自分の人生を生き始めている子供達と、流れる時間を静かに見送る父親のしみじみとした短編集。ある種「こんなとこに来ちゃったんだな」と辿りついた場所に戸惑いながらも、家族の喜びをともに喜ぶ老(?)作家の姿よ。

『日焼け読書の旅かばん』

表紙

発行
2001年4月 本の雑誌社 235頁 1575円 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
頭の中の宝モノ / 行ったり来たり流れたり / 心惑わす活字生活
評価
★★★★

「むは」は冠してないけど本の雑誌系エッセイ。ブックデザインはなかなか洒落ている。本を読む喜びに「旅本」の話なんかもあり、漂流記のベスト20とかそそる企画がいろいろある。というか「本の雑誌文庫」早く出せ。

『海ちゃん、おはよう』

表紙

発行
2001年5月 朝日新聞社 285頁 絶版 購入
発行
2004年5月 朝日文庫 306頁 588円 購入
発行
2007年9月 新潮文庫 314頁 500円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
「どおーん」ときた / ピンチヒッター / 一人で乾杯 (ほか)
評価
★★★

娘の誕生と成長を見守る父。徐々に軌道にのってゆく仕事とともに、家庭の確立への道程を描く。まだ赤ん坊なのでこの段階で男児女児関係ない話なんだろうが、成長を追えば『岳物語』の娘編だね。父になる人は必見で。

『波のむこうのかくれ島』

表紙

発行
2001年5月 新潮社 237頁 絶版 購入
発行
2004年4月 新潮文庫 254頁 540円 購入
NDC
915(日本文学>日記 書簡 紀行)
目次
ちょっとかくれ島まで / トカラのあつい吐息の中で―宝島 / いいじゃんか隊、ヒミツのクサヤ旅―小笠原諸島 (ほか)
評価
★★★★

島旅シリーズ第一弾、って椎名には島旅本多すぎるけどな。波の岩場にくりぬかれた温泉に飛び込み、大勝軒のラーメンを啜り込む硫黄島にソソられるね。快楽だけでなく歴史も追求するあたりが珍しくも偉いではないか。

『海浜棒球始末記 ウ・リーグ熱風録

表紙

発行
2001年6月 文藝春秋 264頁 絶版 購入
発行
2004年6月 文春文庫 319頁 590円 購入
NDC
783(スポーツ・体育>球技)
目次
開幕 / 激闘 / 西へ (ほか)
評価
★★★★

おっさん達が砂浜で流木振り回して浮き球打ってる三角野球。新しい遊びを発見して子供のように湧き上がる情熱が傍目にも気持ちいい。全国統一ルールなど問題が大きくなるととたんに面倒臭くなるあたりも彼らしくて。

『からいはうまい アジア突撃激辛紀行

表紙

発行
2001年7月 小学館 277頁 1600円 購入
発行
2004年11月 小学館文庫 341頁 730円 購入
NDC
596(家政学・生活科学>食品 料理)
目次
ピリピリの章 韓国編 / ヒーハーの章 チベット編 / ツンツンの章 遠野編 (ほか)
評価
★★★★

唐辛子の秘密を探る韓国グルメ旅。とにかく辛いもん食べまくりで読んでるだけでヒハヒハしてくるが、本当にうまそう。ソウルから釜山へ、途中の田舎町をゆっくりと経巡る紀行としても卓抜。日本の辛みワサビも登場。

『飛ぶ男、噛む女』

表紙

発行
2001年10月 新潮社 300頁 絶版 購入
発行
2004年11月 新潮文庫 358頁 580円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
飛ぶ男、噛む女 / すだま / 洞喰沢 (ほか)
評価
★★★★

私小説風な導入を経ながら、妄想の淵へと徐々に落ち込んでゆく構造の作品群。著者では珍しいほどにセクシャルな関係にこだわり、俄かに非現実にすり替わりうる男と女の関係がうそ恐ろしい。そこの痛みはリアルだし。