『死んでも死にきれない王国から ある旅人のアフリカ日記』

- 発行
- 1992年2月 主婦の友社 69頁+CD 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 死んでも死にきれない王国から
- 所要
- 0時間40分
- 評価
- ★★★
生と死、快楽と痛痒の隙間にある王国。ナイロビで見る酔夢。意味を探すよりはただ漂っていればいいという無定形なストーリーと、懐の深いリズム。添付CDのアフリカンミュージックを聴きながら読めば遊離感倍増です。
『彼岸先生』

- 発行
- 1992年3月 ベネッセコーポレーション 360頁 絶版 購入
- 発行
- 1995年6月 新潮文庫 418頁 660円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 師弟関係 / 夜の同志たち / 女の都 (ほか)
- 評価
- ★★★★★
夏目漱石『こころ』をパロディーにした、代表作にして問題作。ここで「先生」はポルノ作家であり、精神病院の偉大な患者だ。そのダンディズムに惹かれ氏を師と慕う「ぼく」が出会うものはなにか。日本文学の新基準。
『預言者の名前』

- 発行
- 1992年4月 岩波書店 183頁 絶版 購入
- 発行
- 1996年8月 新潮文庫 181頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 改宗者の手紙 / マリ子の告白 / 預言者の少年時代 (ほか)
- 評価
- ★★★★★
宗教を自在に解体して見せた長編。日本人の知性として宗教から最も遠いところで真実を伝道するワタル。冒頭の「改宗者の手紙」から物語はクールに加速し、新しい悟りへ至る。ふしだらな魂が荘厳に響きわたる快作だ。
『植民地のアリス』

- 発行
- 1993年7月 朝日新聞社 230頁 絶版 購入
- 発行
- 1996年6月 朝日文芸文庫 231頁 絶版 購入
- NDC
- 915(日本文学>日記 書簡 紀行)
- 目次
- 裸の神様 / 花咲く島の陰に / 流刑地にて (ほか)
- 評価
- ★★★
紀行エッセイ集。日本の辺境としての島々探訪と、トルコやチベットなど海外巡礼の二部からなる。上品な雑誌『旅』連載のものが中心であるためか、穏やかな旅行記。世界を植民地にする武器は下世話な下半身だろうに。
『瞠目新聞』

- 発行
- 1994年8月 毎日新聞社 227頁 1835円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 日本の<瞠目>論点 / はざまのエアメール / 夢の企画書 (ほか)
- 評価
- ★★★
著者が編集長となり毎日新聞文化欄上で連載された企画。選考基準のよくわからない執筆陣が、ダンディズムやマス文化を論ずる。その玉石混交の論説が楽しい。文壇に風穴を空けようという反・文学賞も実施されている。
『流刑地より愛をこめて』

- 発行
- 1995年3月 中央公論新社 234頁 絶版 購入
- 発行
- 1999年3月 新潮文庫(『やけっぱちのアリス』と改題) 259頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 群青色に灰色、そしてかすかにオレンジ色が混じるまだら模様の闇 / 般若学園へはどう行ったらいいでしょう / それで放送で呼び出されるまで校内を歩き回ってみた (ほか)
- 評価
- ★★
帰国子女アリスと「中国女」に囲われた蔦麻呂。ニ人は一目で恋に落ち、世界から脱出を試みる。なんだろう、これは。ストーリーは平版でキャラも立っていない。退廃した文学を演じなければならなかった著者の真意は。
『忘れられた帝国』

- 発行
- 1995年10月 毎日新聞社 319頁 1427円 購入
- 発行
- 2000年1月 新潮文庫 403頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 帝国を流れる川 / 帝国の便所 / 帝国の茶の間 (ほか)
- 評価
- ★★★★
郊外と言う永遠の帝国。川をへだてたあの世(=首都)で働く父を見送った後、子供達は帝国で遊ぶ。ジョイスのダブリン、中上健次の新宮に匹敵する著者の「郊外」。茶の間、森、学校での暮らしが積み重なる自伝的物語。
『浮く女沈む男』

- 発行
- 1996年4月 朝日新聞社 324頁 絶版 購入
- 発行
- 1999年3月 朝日文庫 389頁 819円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 出航まで / ポセイドンの引退 / 夢見る航海 (ほか)
- 評価
- ★★★★
長編船上小説。豪華客船で次々と起こる事件。あやふやな同朋意識と結論のないセックス。選ばれた民たちの方舟はゆっくり南下する。大海とつるんで永遠に自閉する社会のようだ。みんなどこへも行きたくないんだろう?
『茶の間の男』

- 発行
- 1996年4月 集英社 333頁 品切 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 第一章 比喩の超絶技巧 / 第二章 青二才は変遷する / 第三章 もうひとつの日本回帰 (ほか)
- 評価
- ★★★★
『忘れられた帝国』で「郊外」というテーマを打ちたてた頃のインタビューと対談集成。デビュー以来の作品を語り、文学理論を語る。対談相手は大江健三郎など多士済々だが、とりわけ宿敵中上健次との緊迫感がすごい。
『彼岸先生の寝室哲学』

- 発行
- 1996年5月 角川春樹事務所 195頁 絶版 購入
- 発行
- 1998年5月 ハルキ文庫 189頁 品切 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 三角関係について / エクスタシーについて / 悪あがきについて (ほか)
- 評価
- ★★★
「私たちは下半身の貧困から解放されなければならず、そのためには寝室の哲学を学ぶ必要がある」として、彼岸先生が語る模擬インタビュー。エクスタシーについて、回数について、決してハウツーではないだけ刺激的。
『そして、アンジュは眠りにつく』

- 発行
- 1996年11月 新潮社 199頁 絶版 購入
- 発行
- 2000年8月 新潮文庫 200頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 茶の間を旅して / ダイヤモンド・ヘッド / 七歳の男 (ほか)
- 評価
- ★★★
1分の1の地図を作るための路上観察たる表題作、現代を生きる明智光秀の「カタストロフの理論」などの短編集。ばらばらな体臭と捕らえどころのなさで煙に巻くクレクティブな島田ワールド。何というか余技的で偏執的。
『電脳売文党宣言』

- 発行
- 1997年2月 アスキー 253頁 品切 購入
- 共著
- 共著:笠井潔/井上夢人/柳瀬尚紀/加藤弘一
- NDC
- 021(図書・書誌学>著作 編集)
- 目次
- 第1部 売文業者の電子的憂鬱 / 第2部 売文業者の電子的目覚め
- 評価
- ★★★
デジタルの時代、文筆に何ができるのか考察する座談会。ホストが「簡単に乗せられてたまるか」というスタンスにあるため、何が障壁で何が固定観念なのかがはっきり見えようというもの。この後の動きは速かったねぇ。
『内乱の予感』

- 発行
- 1998年1月 朝日新聞社 253頁 絶版 購入
- 発行
- 2000年10月 朝日文庫 247頁 567円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 内乱の予感
- 評価
- ★★★
ヒコクミンを拉致殺害する秘密結社「千年王国」。個人と国家の関係の中で良心を殺す大規模な狂気。覚醒剤と洗脳という材料も楽しげ。普段は寿司屋の板前という殺し屋がなんともリアルな「著者初の長編ミステリー」。
『世紀末新マンザイ パンク右翼 vs. サヨク青二才』

- 発行
- 1998年3月 文藝春秋 221頁 絶版 購入
- 共著
- 共著:福田和也
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 階層性の再興は可能か / エロスの行方 / 二〇世紀芸術の運命 (ほか)
- 評価
- ★★★
ナイフを振り上げる相手のいなくなった時代に、新たな敵を見つけて生き残る出口を示唆する対談集。対決というムードではなく充足的だけれど。「大衆芸術の行方」を問う一節には現代から遊離しない分の説得力がある。
『ミス・サハラを探して チュニジア紀行』

- 発行
- 1998年3月 ベストセラーズ 207頁 絶版 購入
- NDC
- 915(日本文学>日記 書簡 紀行)
- 目次
- 第一部 ミス・サハラを探して / 第二部 怠惰の海 / 第三部 アッラーの微笑 (ほか)
- 評価
- ★★★
アフリカ大陸最北、砂漠のリゾート地チュニジアへ旅した紀行文。写真が多いので読んで楽しい。日本人を呼び込むという政府観光局の目的に適っているのかどうかは疑問だが、「ほぅ」と思わせるところはいくらかある。
『君が壊れてしまう前に』

- 発行
- 1998年3月 角川書店 312頁 絶版 購入
- 発行
- 2001年2月 角川文庫 327頁 580円 購入
- 発行
- 2006年9月 ジャイブ・ピュアフル文庫 328頁 683円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 君が壊れてしまう前に
- 評価
- ★★★★
中学生の頃書いていた日記を懐古する小説。30を越えたぼくが演じる柔らかなノスタルジーが心地よい。恋をして、死を恐れ、悪ガキとぶつかって成長してゆく。こんな時代もあったねと優しい目をしている自分に気づく。
『子どもを救え!』

- 発行
- 1998年5月 文藝春秋 315頁 絶版 購入
- 発行
- 2004年8月 集英社文庫 330頁 600円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 御主人は病気ですか? / 殺されたのは誰? / 誰もいないの、みんな死んだのよ (ほか)
- 評価
- ★★★★★
郊外で起こる妻子殺しの事件。それをなぞるように千鳥は夫からも父親から滑り落ちて行く。文学は子供を救えるか? 阪神大震災とオウム事件と内省も内包。『優しいサヨク〜』の世界は不倫小説という祈りへ成熟した。
『退廃礼讃』

- 発行
- 1998年7月 読売新聞社 306頁 絶版 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 思春期の中年 / 旅する変態 / 思春期の中年列伝 (ほか)
- 評価
- ★★★
思春期の中年として退廃といかに戯れて生きるかというエッセイ集。前半はこのテーマで圧すものの、終盤はオペラだとか教養主義的に自嘲するいつもの味。退廃を演じるべく女装した写真のふしだらさが宙に浮いている。
『自由死刑』

- 発行
- 1999年6月 集英社 317頁 1575円 購入
- 発行
- 2003年1月 集英社文庫 368頁 700円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- FRIDAY / SATURDAY / SUNDAY (ほか)
- 評価
- ★★★★
死ぬことを決めた男の一週間。詐欺師に落ち目のアイドル、外科医の殺し屋などを巻き込みながら悔いのない最期を。死への衝動ではなく柔らかな諦念。後書きにあるような喜劇にもっと徹するべきだったという気もする。