清水義範の100字レビュー(1995〜98)

『春高楼の』

表紙

発行
1995年3月 講談社 385頁 絶版 購入
発行
1998年5月 講談社文庫 367頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
春高楼の
評価
★★★

明治期日本の青春。揺れ動く社会のなかで生きる平凡な人々の刺激ある暮らし。特にひねりはなく、正統的時代小説ではある。恋と友情、野球というもの、社会主義運動などを巻き込みながら、現代に通じる若者の歩き方。

『体に悪いことしてますか』

表紙

発行
1995年4月 祥伝社 293頁 絶版 購入
発行
1999年2月 祥伝社ノン・ポシェット(『ピンポン接待術』と改題) 311頁 580円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
誰が最初にスポーツしたのか? / 選手村のクムラ・クムラキンピル / 逆あがりシンドローム (ほか)
評価
★★★

スポーツを題材にした短編集。運動を全くたしなまない著者が描くスポーツ小説には、皮肉や裏読みが多量に配合されている。ゴルフ禁止法が成立した後、接待スポーツはどうなるのか、という「ピンポン接待術」がよい。

『家族の時代』

表紙

発行
1995年6月 読売新聞社 280頁 絶版 購入
発行
1998年8月 角川文庫 349頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
家族の時代
評価
★★

老いた両親が突然離婚し、それでもこれまでどおり続いてゆく家族の形に騒然とする子供達。やがてその目的は明らかとなる。家族の姿について温かな目を向けながら、的確に描出する長編。その意味では柏木誠治第二弾。

『清水義範の作文教室』

表紙

発行
1995年7月 早川書房 206頁 品切 購入
発行
1999年6月 ハヤカワ文庫 245頁 567円 購入
NDC
816(日本語>文章 文体 作文)
目次
作文教室開講事情 / 第一講 / 四月の日記/なぜつまらない作文を書くのか (ほか)
評価
★★★

「見て、どう思ったの?」学習塾にて小学生の作文指導に当たる著者の一年。表現する喜びを伝え、上達ぶりに驚かされ、あるいは学校教育の愚を嘆く。子供達ののびのびした文章は大人には書けないものばかりで楽しい。

『バールのようなもの』

表紙

発行
1995年9月 文藝春秋 283頁 絶版 購入
発行
1998年9月 文春文庫 317頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
バールのようなもの / 秘密倶楽部 / ○○についてどう思いますか (ほか)
評価
★★★★★

泥棒が使う「バールのようなもの」ってなんだ。ニュースで当たり前のように言われるそれを私は知らないのだ。そんな表題作を含む短編集。「○○についてどう思いますか」のオカマは『学問ノススメ』の大道寺。多分。

『日本ジジババ列伝』

表紙

発行
1995年12月 中央公論新社 302頁 絶版 購入
発行
1997年11月 中公文庫 336頁 絶版 購入
発行
2003年9月 講談社文庫 313頁 600円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
反乱 / 片思い / おぼろ灯台 (ほか)
評価
★★★

これまでにも著者は「老人はただ存在だけで面白い」という短編をいくつか書いてきたのだが、ここでは全編、老人パワー炸裂の短編集。孫に恋したり、ホラ吹きだったり、世界を巡ったり、老人はなにかと魅力的なのだ。

『名前がいっぱい』

表紙

発行
1996年2月 新潮社 224頁 絶版 購入
発行
1999年5月 新潮文庫 274頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
第1話 匿名希望 / 第2話 学名と和名 / 第3話 ”さき”と”ゆうき” (ほか)
評価
★★★

匿名、学名、戒名など名前にこだわったコンセプチュアルな短編集。エッセイ風でもある。名前を付けることでそいつを認識できる、また名前がないものには不安になる、という構造がよく分かる「名前がほしい」が好き。

『新築物語 または、泥江龍彦はいかにして借地に家を建て替えたか

表紙

発行
1996年3月 角川書店 266頁 絶版 購入
発行
1998年10月 角川文庫 278頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
第一章 悲しいオープニング / 第二章 食う寝るところに住むところ / 第三章 借りるべきか換えるべきか (ほか)
評価
★★★

長編。著者のドキュメンタリーみたいなものだが。副題のように「借地に家を建て替える」ことで発生するさまざまな問題を克服した体験記であり、実践アドバイスでもある。もちろん小説仕立てだから面白おかしく進む。

『騙し絵日本国憲法』

表紙

発行
1996年4月 集英社 317頁 品切 購入
発行
1999年4月 集英社文庫 341頁 600円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
二十一の異なるバージョンによる序文 / 第一章 シンボル / 第二章 九条 (ほか)
評価
★★★★

表紙からして騙し絵なバキッと憲法を砕いて遊んだ書。「二十一の異なるバージョンによる前文」はパスティーシュ真骨頂。様々な文体で前文を読み上げるわけだが、松本人志「遺書」風があるのは何というか時代である。

『ターゲット』

表紙

発行
1996年6月 実業之日本社 264頁 絶版 購入
発行
2000年4月 新潮文庫 282頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
彼ら / 延溟寺の一夜 / オカルト娘 (ほか)
評価
★★★

初のホラー小説集。スプラッタにオカルト、サイコ物など基本をキチンと押さえながらも、時にニヤリとさせたりもする。「乳白色の闇」などホラーと呼んでいいのかどうかさえも分からないが、著者の味がよく出ている。

『もっとおもしろくても理科』

表紙

発行
1996年12月 講談社 267頁 絶版 購入
発行
2000年1月 講談社文庫 266頁 500円 購入
共著
え:西原理恵子
NDC
404(自然科学>論文集 評論集 講演集)
目次
進化してますか / 生物と非生物のわかれ目 / 動物それとも植物 (ほか)
評価
★★★★

第二弾。進化論など生物学的なテーマが多く、幾分とっつきやすい。サイバラは相変わらず「とっつかない」のであるが。しかし文章よりも「カット」に注目されるというのは作家としてマズイことなのではないだろうか。

『12皿の特別料理』

表紙

発行
1997年1月 角川書店 298頁 絶版 購入
発行
1999年12月 角川文庫 294頁 品切 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
おにぎり / ぶり大根 / ドーナツ (ほか)
評価
★★★

料理のレシピと小説が同居する短編集。ぶり大根にドーナツ、きんぴらなどそのまま上手く料理が作れてしまう実用性(って作ったことないので知らない)がありながら、著者独特のひねりある話の調理法が効いた奇妙な作。

『偽史日本伝』

表紙

発行
1997年4月 集英社 461頁 1995円 購入
発行
2000年10月 集英社文庫 519頁 780円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
おそるべき邪馬台国 / 大騒ぎの日 / 封じられた論争 (ほか)
評価
★★★

邪馬台国から明治維新に至る日本の歴史をパスティーシュした連作短編集。意図的に仮説を間違えてたり嘘を交えたりして、偽りの歴史が明かされてゆく。強引な結論にわははと笑っておけばよい清水版「逆説の日本史」。

『日本語がもっと面白くなるパズルの本』

表紙

発行
1997年10月 光文社文庫 279頁 絶版 購入
NDC
810(日本語>日本語)
目次
1章 日本語パズル 蕎麦ときしめん / 2章 日本語パズル 名前がいっぱい / 3章 日本語パズル 永遠のジャック&ベティ (ほか)
評価
★★★

言葉に関するパズルというかクイズの本。作家のペンネームの由来とか、映画の邦題とか、己と巳と已の違いとか、いわゆる雑学的知識が身につく書。日本語はとにかく面白い!という著者の昔から一貫した姿勢が見える。

『死神』

表紙

発行
1998年3月 ベネッセコーポレーション 225頁 絶版 購入
発行
2001年3月 角川文庫 225頁 品切 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
死神
評価
★★★

有名人の死に偶然立ち会った役者夫婦が、とたんに運が舞いこんだように脚光を浴びる長編。人が死ぬたびにコメントを求められ、ついには人の死を望むようになる。「死神」となる過程はシリアスタッチだが、まぁ普通。

『本番いきま〜す』

表紙

発行
1998年5月 実業之日本社 273頁 絶版 購入
発行
2001年5月 講談社文庫(『間違いだらけのビール選び』と改題) 289頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
猫の額 / 間違いだらけのビール選び / 雨 (ほか)
評価
★★★

「それぞれの人生模様」というお得意短編集。「猫の額」に見える、庭管理に燃える老人を描く筆の安定感。微笑ましく幸せな気分にさせる文体はどこを切っても清水流だ。「島の一夜」のアメフラシは流行り物なのかな?

『ザ・対決』

表紙

発行
1998年7月 講談社 272頁 絶版 購入
発行
2001年8月 講談社文庫 299頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
一番勝負 ソクラテスvs.釈迦 / 二番勝負 シェイクスピアvs.近松門左衛門 / 三番勝負 ロビンソン・クルーソーvs.ガリヴァー (ほか)
評価
★★★★

ソクラテス対釈迦など勝手に対決させる短編集。お茶とコーヒーのディベート、桃太郎と金太郎のトライアスロン勝負、楊貴妃とクレオパトラが同じクラスになった担任教師の憂鬱、それぞれ趣向を凝らしたシュールぶり。

『親亀こけたら』

表紙

発行
1998年8月 徳間書店 298頁 絶版 購入
発行
2002年1月 徳間文庫 300頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
親亀こけたら / 額田銀一郎の年譜 / 喪中につき (ほか)
評価
★★★

お得意の社会の断片を切り取った短編集。それぞれ仕掛けが入っているが、よく言えば素直で、悪く言えば薄い。中では「額田銀一郎の年譜」のマルチ人生ぶりがなかなか面白い。彼の著作では久しぶりに笑えた気がする。

『その後のシンデレラ』

表紙

発行
1998年9月 祥伝社 253頁 絶版 購入
発行
2002年2月 祥伝社文庫 255頁 570円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
その後のシンデレラ / 喧嘩の畦道 / 全面対決 (ほか)
評価

人間は本来的に面白いものだと最近は普通の生活に題材を見る著者の短編集。表題作はおとぎ話の後日談を描いた連作。ハッピーエンドなわけないだろう、ということだが、もっと徹底的な悪意でやってもよかったと思う。

『どうころんでも社会科』

表紙

発行
1998年11月 講談社 264頁 絶版 購入
発行
2002年8月 講談社文庫 268頁 560円 購入
共著
え:西原理恵子
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
知多半島はそんなに田舎か / リアス式海岸とは何か / ダムとコンビナート (ほか)
評価
★★★

西原画伯とのコンビ第三弾、理科から社会へ。地理歴史政治経済と全部入っている。社会科はこんなにおもしろいんだよ、という本なのだが、単なる紀行エッセイだったりする。西原の漫画のほうがためになったりもする。