トップ > 現代文学100字レビュー > 日本作家(さ行) > 篠原一
史上最年少の文學界新人賞受賞だとか女子高生作家だとか話題先行の作品。退屈を不完全燃焼させたらこういう廃墟ができる。退廃はやはり美しい、という妄想。筑紫哲也がニュース23で当時対談をしていた。関係ないが。
「僕は変態に失敗するから、おとなの獣にはなれないで、きっと、死ぬ。もう、死期が近いんだ」。夢の中のような爽快感が漂う森で、ただ死へと歩きさる少年達の物語。「横組み」という文字修飾に頼りがちなので減点。
自分が確かに殺したはずの男が目の前に現れ、人を殺すよう命じる。「死にたい奴っていうのは案外多いんだよ」。非現実的な空間で死は甘美的に歪む。張り巡らした伏線を一切無視したまま唐突に終わる、夢想的な作品。
「私は私を殺すために生まれてきた」というような自罰癖はいつもどおりだが、旋律の美しさには磨きがかかっている。狂ってゆくピアノと質量のある闇と。一つの結論へ生き急ぐのではない結末は選べないものだろうか。
「死」ではなく「死体」を突きつける短編集。冷蔵庫にあつらえたように収まった女は酷く物質的で、勝手に想像される死を演じるのみだ。著者の趣味だけで書ききった感があるが、あえて遠回りの道を選んでる気もする。