『ピアニシモ』

- 発行
- 1989年12月 集英社 158頁 1155円 購入
- 発行
- 1992年5月 集英社文庫 174頁 340円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ピアニシモ
- 評価
- ★★★★★
エコーズ在籍時に発表されたデビュー作。自分にしか見えないヒカルは思春期の不安定な心を象徴する。伝言ダイヤルで知り合ったサキ、プラットホームから飛びこむ男。繋がることを求めながら弾かれてしまう成長記録。
『クラウディ』

- 発行
- 1990年6月 集英社 190頁 品切 購入
- 発行
- 1993年3月 集英社文庫 223頁 420円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- クラウディ
- 評価
- ★★★★
ベレンコのように亡命したい。捨てた命を拾われて無目的に生きる男の前に、死んだはずのスナフキンが現れる。亡命することで何かを変えられるのか。遺伝子の輪から、抜け出せるんだろうか。鬱屈する若さを描く長編。
『カイのおもちゃ箱』

- 発行
- 1991年6月 集英社 412頁 1785円 購入
- 発行
- 1994年3月 集英社文庫 398頁 650円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- カイのおもちゃ箱
- 評価
- ★★★★★
自閉症の子供、カイが子供達の救世主として街を闊歩する。世界を再建する異能の天使。物語はいろんなところで破綻しつつも、圧倒的ポエジーが全編を貫く不条理的長編。ロックのスピリットを感じさせる初期の名作だ。
『旅人の木』

- 発行
- 1992年1月 集英社 189頁 1365円 購入
- 発行
- 1995年6月 集英社文庫 192頁 350円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 旅人の木
- 評価
- ★★★★
両親が急死し、10年前から行方不明の兄を探す主人公。彼を知る人達から伝えられる新しい兄像。独自の価値観を持つ兄への憧憬は自分を見つめる手掛かりだ。作家として腰を据えてやろうという意志が静かに燻る四作目。
『ガラスの天井』

- 発行
- 1992年3月 集英社 189頁 品切 購入
- 発行
- 1997年7月 集英社文庫 190頁 380円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 存在証明 / 一本の電話 / いかにして孤独を得るか? (ほか)
- 評価
- ★★★★
身辺雑記風のお気軽な話など全くない初のエッセイ集。いま自分が置かれている状況の分析や哲学が満載。「孤独こそは、現代を生き抜くための、真のパートナーである」と断言も力強い。何故書くのか、にも答えている。
『屋上で遊ぶ子供たち』

- 発行
- 1992年10月 集英社 109頁 1575円 購入
- NDC
- 911(日本文学>詩歌)
- 目次
- 砂丘 / 屋上で遊ぶ子供たち / 友達の使い捨て (ほか)
- 評価
- ★★★
刹那を凍結させたもの、という第一詩集。連作の「砂丘」も表題作も透き通る青空の美しさだ。歌詞とは当然違う思考スピードがあり別の一面がある。「詩人を崇めるのはやめようよ」はある意味で照れ隠しなんだろうか。
『フラジャイル こわれもの注意』

- 発行
- 1992年10月 徳間書店 176頁 絶版 購入
- NDC
- 912(日本文学>戯曲)
- 目次
- フラジャイル / 鈴木慶一氏の日常を探る / 戯曲−あとがきにかえて
- 評価
- ★★★
『カイのおもちゃ箱』をベースにした戯曲。平凡な人生から転落して行くスズキケイイチ。どこまでが自分の人生で、どこからが他人の人生なのかが曖昧であるという恐怖。平凡はかくも脆い。長すぎる膠着も狂気を彩る。
『そこに僕はいた』

- 発行
- 1992年11月 角川書店 200頁 品切 購入
- 発行
- 1995年6月 新潮文庫 203頁 380円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- おく手でかつ、ひねくれ者の恋の行方 / 砂糖菓子の中身 / 僕は彼らのことを憶えている (ほか)
- 評価
- ★★★★
少年時代を思い返し学校生活、友達、恋などを綴ったエッセイ集。それぞれのエピソードにはあたたかな心の交流があり、良くも悪くも文部省推薦的。あるいはこれを褒めておかなければ嫌な奴だと思われるかもしれない。
『グラスウールの城』

- 発行
- 1993年6月 ベネッセコーポレーション 181頁 絶版 購入
- 発行
- 1996年6月 新潮文庫 174頁 絶版 購入
- 発行
- 2007年7月 文春文庫(『アンチノイズ』と合本、『TOKYOデシベル』として) 308頁 650円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- グラスウールの城 / ゴーストライター
- 評価
- ★★★
レコード制作に関わる中で、人に聞こえない周波数をカットするデジタルのあり方に疑問を感じ始める。神が呼吸するような本当の音を求めて城たるブースを出る、求道者的小説。ニ人称小説の「ゴーストライター」併録。
『希望回復作戦』

- 発行
- 1993年8月 集英社 109頁 1575円 購入
- NDC
- 911(日本文学>詩歌)
- 目次
- ピリオド / あなたが不幸になりますように / 何もないけど希望はある (ほか)
- 評価
- ★★★
まだ希望はある。ポジティブな魂が震える第二詩集。「現代詩」を体現するための移行期という感じがする。意味を剥離してゆく速度処理という意味で。朗読してCD『抜本的政治改革』に収録した数編が異質なハイライト。
『ミラクル』

- 発行
- 1993年11月 講談社 142頁 絶版 購入
- 発行
- 1997年8月 新潮文庫 169頁 380円 購入
- 共著
- 絵:望月通陽
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ミラクル
- 評価
- ★★★
「子供の頃はあったのに、大人になると無くなってしまうものがたくさんある」という童話。純粋無垢であることが可能な時期を浪費してしまった大人への絵本。望月通陽のミステリアスで優しい絵もイメージを作ってる。
『オープンハウス』

- 発行
- 1994年3月 集英社 202頁 1223円 購入
- 発行
- 1998年3月 集英社文庫 207頁 420円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- オープンハウス / グッバイ ジェントルランド / バチーダ ジフェレンチ (ほか)
- 評価
- ★★★★
自己破産した僕と、モデルのミツワ、声の出ない犬エンリケの共同生活×2+1。僕と彼女、僕と社会の曖昧な関係が胸に沈んでいるが、著者では珍しいほどに柔らかくポジティブな主人公が全体のトーンを明るくしている。
『母なる凪と父なる時化』

- 発行
- 1994年5月 新潮社 169頁 絶版 購入
- 発行
- 1997年3月 新潮文庫 166頁 絶版 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 母なる凪と父なる時化
- 評価
- ★★★
函館の海を見守る沿岸監視員。その息子は密猟に手を染めている。レイジの偽悪と孤独が際立ち、それに対して何もできない僕、の長編。芥川賞を狙って書かれた、というムードがどこかしら世界を狭くしている気がする。
『ここにいないあなたへ』

- 発行
- 1995年1月 集英社 125頁 1260円 購入
- 共著
- 写真:安珠
- NDC
- 911(日本文学>詩歌)
- 目次
- 青空 / 光の王子 / 乾燥牧草ロール (ほか)
- 評価
- ★★
写真と対になった詩集。写真をもとに詩を書いたのか、詩の場面を撮りにいったのかは知らないが、ぴったり呼応しすぎだとも思うけど。目に映るもの全てをここにいないあなたと共有したいと願う遠い祈りなんだろうか。
『愛はプライドより強く』

- 発行
- 1995年4月 幻冬舎 293頁 品切 購入
- 発行
- 1998年4月 幻冬舎文庫 306頁 560円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 愛はプライドより強く
- 評価
- ★★
愛とプライドの間を揺れ動く長編。作家を目指す男と音楽プロデューサーの女、それぞれの心の振り幅をシンプルに描き出そうとする。余分な言葉を削ぎ落としていった結果、中途半端にアフォリズム化しているのは残念。
『ぼく、いたくない 絵物語・永遠の一瞬』

- 発行
- 1995年7月 新書館 68頁 1223円 購入
- 共著
- 絵:すがまりえこ
- NDC
- 911(日本文学>詩歌)
- 目次
- ぼく、いたくない
- 評価
- ★★★
幼児虐待をテーマにした絵本。切り絵、ペーパーイラストがいいね。「痛くない」と「居たくない」のダブルミーニングになっているストーリーはどこにも希望はないので、子供には読ませちゃいけない。大人向けの絵本。
『錆びた世界のガイドブック』

- 発行
- 1995年10月 幻冬舎 168頁 品切 購入
- 発行
- 2002年12月 幻冬舎文庫(文章のみを『愛の工面』文章と合本、『彼女は宇宙服を着て眠る』と改題) 161頁 440円 購入
- NDC
- 748(写真・印刷>写真集)
- 目次
- 朝はいつだって歯磨きから始まる / 万華鏡 / 気をつけて、あなたの背中には、つねに太陽が迫っている (ほか)
- 評価
- ★★★
「錆びた世界」を写し取った写真集。ガイドブックというくらいだから詳細に案内してくれるんだろう。ここから逃亡せよというのか、あきらめろというのか? 短編が数本収録されているがやはり写真がメインの変な本。
『応答願イマス』

- 発行
- 1995年11月 思潮社 125頁 1529円 購入
- NDC
- 911(日本文学>詩歌)
- 目次
- サヨナラ二十世紀 / はじめての子 / 宮廷の裏庭で、集められた主語が焼かれる (ほか)
- 評価
- ★★★★★
第三詩集。適度に社会批判があり、適度に内省的。圧巻は『サラヴァ』。壊れている。まったく無秩序な句読点だとか改行が実に「現代詩」の味。いわゆる文学的な手法を惜しげもなく使っているところが潔く、頼もしい。
『パッサジオ』

- 発行
- 1995年11月 文藝春秋 203頁 絶版 購入
- 発行
- 1998年11月 文春文庫 186頁 410円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- パッサジオ
- 評価
- ★★★★
声を失くしたロックシンガーが出会うDNAミュージック。老化を抑える音楽の研究所で不老不死の意味を考える。「延命させることの是非」なんて伝統的なテーマがあるのだが真正面から迫っているので読んで気持ちいい。