『サヨナライツカ』

- 発行
- 2001年1月 世界文化社 246頁 1470円 購入
- 発行
- 2002年7月 幻冬舎文庫 267頁 品切 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 第一部 好青年 / 第二部 サヨナライツカ
- 評価
- ★★★
「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと愛したことを思い出すヒトとにわかれる」。結婚を目前に控えた好青年が、バンコクで謎の女性との愛欲に溺れる。不埒にして純愛の物語。なんというか、非常にズルイ。
『恋するために生まれた』

- 発行
- 2001年6月 幻冬舎 206頁 1470円 購入
- 共著
- 共著:江國香織
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 第一章 愛と孤独のあいだ / 第二章 恋と愛のあいだ / 第三章 セックスと気持ちのあいだ (ほか)
- 評価
- ★★★
驚愕するほど寓話的だったり興醒めするほど現実的だったりする交換恋愛論。「縛る」やセックスにしても二人の持論は正反対で(個人的には江國の方が突抜けてて清々しいが)手本にはしないで。恋するのはあなただから。
『太陽待ち』

- 発行
- 2001年10月 文藝春秋 486頁 絶版 購入
- 発行
- 2005年2月 文春文庫 531頁 700円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ルーズマイメモリー / 二郎の世界 / 昼と夜のあいだ (ほか)
- 評価
- ★★★★
映画監督の長い愛、ヒロシマの暑い夏。ルーズマイメモリーという優しい呪文とともにあの時代の「戦争」へと遡行する長編。いろいろな記憶が重なり響きあう構成で、多様な後悔の澱で世界を「汚す」ドラマが光る大作。
『目下の恋人』

- 発行
- 2002年1月 光文社 260頁 1365円 購入
- 発行
- 2005年7月 光文社文庫 271頁 520円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 優しい目尻 / 目下の恋人 / 君と僕のあいだにある (ほか)
- 評価
- ★★★
一瞬が永遠になるものが恋、永遠が一瞬になるものが愛。と老人に言わせてしまうのが辻らしさか。恋と愛の隙間をすり抜け不器用に笑う者たちの短編集。同時多発テロを受けた作品も、移ろう時代の鏡を睨む激情のまま。
『辻仁成+種田陽平式 映画づくりの旅』

- 発行
- 2002年3月 世界文化社 205頁 絶版 購入
- 共著
- 共著:種田陽平
- NDC
- 778(演劇・映画>映画)
- 目次
- 美術イメージが先頭にたった『千年旅人』 / 見知らぬ函館を求めてさすらった『ほとけ』 / 第一期三部作の終着点『フィラメント』
- 評価
- ★★★
映画監督と美術監督の対談なんだが。映画美術ってすごいよね、監督のイメージを現前させつつ独りよがりでないものへと昇華して。鉄仏にも魂が入ってる。『太陽待ち』でスポットを当てていた「汚し屋」の話も聞ける。
『そこに君がいた』

- 発行
- 2002年7月 新潮文庫 194頁 380円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 平和町山賊団 / 子供時代への手紙 / もどかしさの行方 (ほか)
- 評価
- ★★★
『そこに僕はいた』と対になるのか、少年時代を振り返ったりするエッセイ。こういうタイミングなら「最近はよく恋愛の達人と言われる」なんて文章が熱いのかもしれんが、力の抜け切った語尾の柔らかさを味わうべき。
『愛と永遠の青い空』

- 発行
- 2002年12月 幻冬舎 283頁 品切 購入
- 発行
- 2006年8月 幻冬舎文庫(『青空の休暇』と改題) 275頁 560円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 青春の末期 / 愛と永遠の青い空 / モナ・リサの微笑み
- 評価
- ★★★
真珠湾を飛んだ戦友と再び訪れるハワイ。平和への祈りが、今は亡き妻への想いと重なって、大文学的スケールがあり読ませる。歴史を感じたい人間を描きたいという著者の近年の作風には戸惑いぎみだったりするのだが。
『ZOO 愛を下さい』

- 発行
- 2002年12月 河出書房新社 63頁 998円 購入
- NDC
- 748(写真・印刷>写真集)
- 目次
- ZOO
- 評価
- ★★★
動物たちの写真集に、ECHOESの名曲「ZOO」の歌詞がくっついてる。だから著者はあとがき以外何も仕事してない本ではある。でも写真のセレクトがはまりすぎで卑怯なほど。アザラシの写真には思わず貰い泣きしそう。
『オキーフの恋人オズワルドの追憶』

- 発行
- 2003年4月 小学館(上) 440頁 1680円 購入
- 発行
- 2003年4月 小学館(下) 400頁 1680円 購入
- 発行
- 2006年11月 新潮文庫(上) 615頁 820円 購入
- 発行
- 2006年11月 新潮文庫(下) 568頁 780円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- オキーフの恋人オズワルドの追憶
- 評価
- ★★★★
失踪した作家を追う編集者の物語と、作家からFDで送られてくる小説が交錯する。半端な心理学とエンタメな探偵挿話が前半は辛いが、整合性が怪しくなるくらい勢いに溢れた後半はさすが著者の味だ。読み止んなくなる。
『99才まで生きたあかんぼう』

- 発行
- 2003年6月 ホーム社(千代田区)/集英社 221頁 1470円 購入
- 発行
- 2008年2月 集英社文庫 231頁 500円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 0さい / 1さい / 2さい (ほか)
- 評価
- ★★★
日本を出て料理人として成功してゆく男の一生を、神の視点で追った紙芝居。おじいさんになるまで「あかんぼう」と呼び続ける意味付けは弱いんだけれども、時間の流れが1才ごとに等価に積み重なるのが慈悲にも見え。
『いまこの瞬間愛しているということ』

- 発行
- 2003年11月 集英社 340頁 1680円 購入
- 発行
- 2006年10月 集英社文庫(『二十八光年の希望』と改題) 414頁 680円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- いまこの瞬間愛しているということ
- 評価
- ★★
三ツ星を目指す料理長と、日本から修業に来た娘との恋。不治の病なんてヒネらなすぎだけれど(病名やりすぎ)、流行のラブストーリー書かせたら上手いでっせ。という力みのない自信に溢れる。そういうのみんなお好き?
『刀』

- 発行
- 2004年4月 新潮社 301頁 1680円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 刀
- 所要
- 5時間10分
- 評価
- ★★★
自伝小説。『白仏』を『骨仏』と言い換えたり「虚構」を強調してるけど中山美穂(と思われるナナ)への愛が高らかに謳われるので小説ですらなく彼女への私信か。音楽や映画より文学をドメインとする決意表明ではある。
『代筆屋』

- 発行
- 2004年10月 海竜社 191頁 1365円 購入
- 発行
- 2008年4月 幻冬舎文庫 216頁 480円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- 『名前も分からぬ人へ向けた恋文の書き方』 / 『咲くよ桜』 / 『過去に囚われず、未来に縛られず』 (ほか)
- 所要
- 1時間50分
- 評価
- ★★★
メール全盛の今こそ、手紙の効力を見出す小説集。依頼人の全人生に肩入れしなきゃ書けない代筆不向きの手紙ばかりだし文面は老作家のようにあざとい。ネタ帳としてこのバリエーションを試してみたかったのは分かる。
『いつか、一緒にパリに行こう パリ・ライフ・ブック』

- 発行
- 2005年3月 光文社 190頁 1260円 購入
- 発行
- 2007年7月 光文社文庫 356頁 540円 購入
- NDC
- 914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
- 目次
- なぜなら、それはフランスだから / パリを食べ尽くそう / サヨナラとオ・ルヴォワール (ほか)
- 所要
- 2時間
- 評価
- ★★★
パリ在住の著者による「パリの歩き方」。お気に入りのレストランやデパート、美術館、フランス人の気質や出産事情まで解説して「あなたもどう?」と誘われてるわけだけど、何故パリだったのか?をもっと知りたいな。
『幸福な結末』

- 発行
- 2005年5月 角川書店 215頁 1260円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 心の辞書 / 東京 / わたしが戻る場所
- 所要
- 2時間
- 評価
- ★★★
角膜移植を受けた主人公の眼前に日本人男性が浮かぶようになる。角膜の提供主が愛したはずのその男を追って日本へ。映画化を前提として書かれた作品か。視線の記憶から愛を語るには長さが欲しいがこれで二時間かな。
『アカシア』

- 発行
- 2005年9月 文藝春秋 240頁 1365円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- ポスト / 明日の約束 / ピジョンゲーム (ほか)
- 所要
- 2時間10分
- 評価
- ★★
文明に決別する男、歌を失くした人々、幸せな生き方ってなんだろうなと素朴な自問自答。どの短編にも教訓を埋め込もうとして丸く安寧した作品世界になる。牙を抜かれたロッカーが甘噛みしているよう。もっと刺激を。
『愛のあとにくるもの』

- 発行
- 2006年3月 幻冬舎 214頁 1575円 購入
- NDC
- 913(日本文学>小説 物語)
- 目次
- 愛のあとにくるもの
- 所要
- 2時間
- 評価
- ★★
一つの恋愛を男女それぞれの側で二人の作家が書き分ける『冷静と情熱のあいだ』と同じ形態。日本人男性と韓国人女性の七年越しの想い、って「日韓」で凡庸を脱するわけじゃない。孔枝泳の方も読まねば評価できずか。
『黄昏のアントワープ』

- 発行
- 2006年10月 海竜社 270頁 1575円 購入
- NDC
- 915(日本文学>日記 書簡 紀行)
- 目次
- 欧州、歩け歩けの旅 / フランス、呑め喰えの旅
- 所要
- 2時間40分
- 評価
- ★★★
フランス近隣諸国への家族旅行。二歳の息子が旅行記に温かみを与え、街に、人に、受け入れられることの安らぎがいい味になっている。キャヴィストを軸に語る後半のワイン談義は修辞が豊穣で匂いすぎなほどの文章だ。