山川健一の100字レビュー(1986〜89)

『ローリング・キッズ』

表紙

発行
1986年1月 角川文庫 210頁 絶版 購入
NDC
764(音楽・舞踊>器楽合奏)
目次
ローリング・キッズ
評価
★★★

すべてローリング・ストーンズのエッセイ。なんとミック・ジャガーへのインタビューも収録されている。学生時に注目された作品「天使が浮かんでいた」も入っていて、これはブライアン・ジョーンズが主人公のモデル。

『ぼくは小さな赤い鶏』

表紙

発行
1986年3月 三雄社/講談社 357頁 絶版 購入
NDC
918(日本文学>作品集)
目次
詩 / 短編小説 / 十九歳のダイアリー (ほか)
評価
★★★

デビュー前の小説、論文、日記などを収録したファンサービス本。インタビューは(時代もあって)キツイものはあるが、文学青年の初期衝動を表現してあまりある長編詩は興味深い。新たな一面、あるいは切り捨てた一面?

『ロックス』

表紙

発行
1986年5月 集英社 254頁 絶版 購入
発行
1988年8月 集英社文庫 285頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
オサム、スーパー・マーケットを襲う / ザ・フルハウスに参加した寒い夜 / ピンク・ハウスでのライヴ・アクト (ほか)
評価
★★★★

ロックバンド物語。バンドブーム前夜、「なんかおもしろいことやろうぜ」的なノリの青春群像。バンド結成と解散、信頼と不信、セックス、ドラッグ、ロックンロール。ロックに希望と夢があった頃を懐かしんでみたい。

『雨の日のショート・ストッパーズ』

表紙

発行
1986年6月 講談社 222頁 絶版 購入
発行
1990年6月 講談社文庫 208頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
とても古い、赤い自動車 / 雨の日のショート・ストッパーズ / 君達を待ちながら (ほか)
評価
★★★

風景画のような短めの短編集。野球を始めた息子にグローヴを贈る父の表題作ほかいくつかの作で雨という小道具が効果的に使われているが、不思議に乾いた余韻が落ちるのは何故だろう。本当は雨なんて降ってないのか。

『クロアシカ・バーの悲劇』

表紙

発行
1986年11月 講談社 204頁 絶版 購入
発行
1989年5月 講談社文庫 191頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
頑張れよ、キース / さよなら、キース / クロアシカ・バーの悲劇 (ほか)
評価
★★★

短編集。ストーリーの登場人物が作者に語りかけたり、高橋源一郎みたいに無作為にゴシック体の単語が並んでいたりと文体実験に明け暮れた短編群。新しいスタイルを模索するというより物語ることに疲れていたのかも。

『ロックンロール・ゲームス』

表紙

発行
1986年11月 角川文庫 300頁 絶版 購入
NDC
764(音楽・舞踊>器楽合奏)
目次
ロックンロール・ゲームス
評価
★★★

ストーンズ百科的なエッセイの第二弾。今回はキース・リチャードへのインタビューがあり、前作と合わせて完璧なものとなる。いかにストーンズを愛しているか、いかに影響を受けたかという告白であり、読み応えあり。

『追憶のルート19』

表紙

発行
1987年4月 三推社/講談社 196頁 絶版 購入
発行
1989年9月 講談社文庫 182頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
メリー・ポピンズ達 / 五月の激しい雨 / 遠くを見つめる黒い瞳 (ほか)
評価
★★★

短編集。表題作はいわゆるところのオートバイ小説だけれど、他の趣向も多い。恋愛小説にならないような愛を主題にした短編群、というところか。「十二月の子供達」のような哀しい話の描き方も著者の作品では重要だ。

『僕のハッピー・デイズ』

表紙

発行
1987年4月 東京書籍 213頁 絶版 購入
発行
1991年4月 角川文庫 240頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
僕のハッピー・デイズ / ロックンロールだけが純粋だった / オートバイのある毎日 (ほか)
評価
★★★

ブルースとロックンロール、オートバイのエッセイ集。そしてハッピー・デイズたる所以は何より著者がボーカルを務めるバンド・ルーディのレコーディングなのだが、ヘビィな文章も少なくない。いろいろあるんだろう。

『恋愛真空パック』

表紙

発行
1988年3月 PHP研究所 228頁 絶版 購入
発行
1991年10月 角川文庫 219頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
湾岸道路のドライヴィング・DJ / 神々の領域に属する島、バリ / 恋愛の為のエージレスパック (ほか)
評価
★★

純真な少年少女達への恋愛論たるエッセイ集。人生の先輩風の親しげなアドバイスだ。そういうのが嫌いな人は読まないほうがいいけど。「ベッドの中で新しい生物学について考える」というのも恋愛論としてはまぁよし。

『チョコレートの休暇』

表紙

発行
1988年5月 東京書籍 218頁 絶版 購入
発行
1991年6月 講談社文庫 219頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
どこか狂った川の畔で / 半斤のパン / チョコレートの休暇 (ほか)
評価
★★★

魅力的な女の子が多くいる短編集。世界がチョコレートでできている女の子の表題作で、彼女に「今までのわたしは、これでブランクになった」と言わせているが、それは小説実験を終えた作家の立脚点でもあるのだろう。

『セルフ・ポートレイト』

表紙

発行
1988年6月 角川書店 151頁 絶版 購入
発行
1990年9月 角川文庫 351頁 絶版 購入
共著
共著:ジム・ファイル
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
プロローグ / セルフ・ポートレイト / もうひとつのはじめに (ほか)
評価
★★★

アメリカを東へ向かう旅に出る男の小説ではあるのだが、英語の参考書になっている。随所に英文が出てきて、第二部はそのセンテンスの読解・解説。学校英語じゃなく生きた英語を学ぼうというよく分からない妙な作品。

『初台R&R物語』

表紙

発行
1988年7月 ビクターエンタテインメント 262頁 絶版 購入
発行
1990年6月 角川文庫 261頁 絶版 購入
NDC
767(音楽・舞踊>声楽)
目次
HELLO, HOW ARE YOU? / MOTORCYCLE BOOGIE / ARTS IN MIND (ほか)
評価
★★★

エッセイ集。いつもながらロックとバイクで楽しもうぜベイビー、なノリが主体で、この中にあっては『ノルウェイの森』書評が逆に浮いて見える。なぜなんだ作家なのに。ローリング・ストーンズへのインタビュー収録。

『真夏のニール』

表紙

発行
1988年8月 集英社 283頁 絶版 購入
発行
1991年7月 集英社文庫 319頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
真夏のニール
評価
★★★★

巨大なシェルターのようなニュー・シティで生存のために実験が繰り返される。動植物をコントロールし、人の精神を管理する。記憶を消去されたサヤカを愛し彼女との融合を求める男。魂の源泉に踏み込んだ傑作SF長編。

『十七粒の媚薬 競作ポルノ短編集

表紙

発行
1989年4月 マガジンハウス 197頁 絶版 購入
発行
1993年7月 角川文庫 194頁 441円 購入
共著
共著:村上龍/安西水丸/麻生圭子/秋元康/泉麻人/林海象/松本隆/北原リエ/佐藤正午/玉村豊男ほか
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
クリーム色 村上龍 / 雨の島 安西水丸 / 夜の夢 川西蘭 (ほか)
評価
★★

現代風の(いくらか俗っぽい?)作家による官能短編集。という感じで、作家名列記して逃げる。秋元康、麻生圭子、安西水丸、泉麻人、桂木拓、川西蘭、城戸朱理、佐藤正午、玉村豊男、林海象、松本隆、村上龍など種々。

『ティガーの朝食』

表紙

発行
1989年5月 講談社 202頁 絶版 購入
発行
1992年6月 講談社文庫 193頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
森からやってきたティガー / 風の強い日、おめでとう / プーさんの誕生日
評価
★★★★

連作長編。妻と娘から離れて暮す男の家庭回復という祈り。だが彼は本当にやり直そうとしているのだろうか? 父をティガー、母をコブタくんと呼ぶ、プーさんたる娘の言動は非常にいい。冷えた関係に無邪気な言葉を。

『蜂の王様』

表紙

発行
1989年5月 角川書店 194頁 絶版 購入
発行
1991年6月 角川文庫 202頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
ヨーロッパ・スペシャル / 青く透明で壊れやすい地球 / マーシャル・ルーム (ほか)
評価
★★★

アルフィーの高見沢を主人公にした長編で、ファンの間では喧々囂々だったらしい。センシティブで孤独な独裁者たる高見沢像はイメージでもちろんフィクション。そう思えばギシギシと軋むロックバンドを描いた好編だ。

『ブルースマンの恋』

表紙

発行
1989年9月 東京書籍 139頁 絶版 購入
発行
2000年12月 中公文庫 155頁 絶版 購入
NDC
764(音楽・舞踊>器楽合奏)
目次
マディ・ウォーターズの黒い女 / エルモア・ジェームスの愛人、オープンD / サン・ハウスが愛した亡き友の妻 (ほか)
評価
★★★

ブルースの素晴らしさを伝えるエッセイ。マディ・ウォーターズやロバート・ジョンソンのプレイスタイル(つまりは生まれや思想の醸造物)に感銘する。文中にとり上げられた曲を収録するCDが付くので聞きながら読める。

『セイヴ・ザ・ランド』

表紙

発行
1989年12月 講談社 237頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
愛の裁きだけはご免被りたいもんだね / こんな夜にはナイフが欲しくないかい? / うつむかないでボーイ (ほか)
評価
★★★★

さまざまな環境破壊によって地球は死に絶えようとしている。エゴを垂れ流しつづけた人類の未来は終わろうとしている。セックスとロックンロールと環境問題。やりたいことは分かるが上手く消化できていない気もする。

『ブランク・セブンティーズ』

表紙

発行
1989年12月 集英社 196頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
悪魔を憐れむ歌−PRIVATED DJ'89 / 綿花少女 / 煙草とその周辺の話 (ほか)
評価
★★★

空っぽの70年代を高らかに歌う青春小説。エッセイと言っても構わない気もするけれど。バイク、ブルース、ロックンロール、全共闘、三島由紀夫、ポルシェ。小道具としての時代装飾でクールに綴るノスタルジーの風景。