山川健一の100字レビュー(1990〜93)

『贅沢な恋愛』

表紙

発行
1990年9月 角川書店 232頁 絶版 購入
発行
1992年10月 角川文庫 209頁 483円 購入
共著
共著:北方譲三/藤堂志津子/林真理子/村上龍/村松友視/森瑤子/山田詠美
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
ムーン・リバー 村上龍 / 真珠の理由 林真理子 / 彼女の時 北方謙三 (ほか)
評価
★★★

北方譲三、藤堂志津子、林真理子、村上龍、村松友視、森瑤子、山川健一、山田詠美という顔ぶれ。それぞれが「宝石と恋愛」というテーマで短編を書いたもの。贅沢と拝金趣味は違うのだよ。好評だったから?以後続刊。

『ロックンロール日和』

表紙

発行
1990年11月 八曜社 197頁 絶版 購入
NDC
767(音楽・舞踊>声楽)
目次
さよならザ・ルーディ、こんにちはS・M・トラブル / スタジオという名の共和国 / 空虚な眼をしたロッド・スチュワート (ほか)
評価

マリ・クレールに連載された音楽評論。全面的なストーンズ賛歌だ。こういうものはリアルタイムで読まねば意味のないものではある。ほか取り上げられているのはプリンス、マディ・ウォーターズ、ボブ・マーリィなど。

『セイヴ・ミー 〜ぼく達の未来〜

表紙

発行
1991年2月 立風書房 221頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
航海のまえに / すべての警官が犯人であるように、すべての罪人は聖者なんだ / われわれは今、さかしまの世界を生きているんだよ (ほか)
評価
★★★

『セイヴ・ザ・ランド』の時期、環境問題やら原子力発電所やら目の前の岩壁に、ブルースを小脇にかじりついたエッセイ集。ジャクソン・ブラウンと地球の未来について対談してしまうのも大胆に。短編小説も収録する。

『ファンタスティック・シティへようこそ』

表紙

発行
1991年5月 八曜社 164頁+CD 絶版 購入
NDC
767(音楽・舞踊>声楽)
目次
とても長く熱かった僕たちのお祭り / モーターサイクル・ブルースの頃 / ぎりぎりの場所を歩いている奴の眼ってのは本物だよ (ほか)
所要
2時間20分
評価
★★★

ルーディ〜ソロのベストアルバムに、音楽との転がり方を語るエッセイ。どっちがオマケでもなく。バンドが始まって終わるということを内側から観察した記録としては模範的。カッコいいことやろうってロックと文学で。

『アニマルハウス』

表紙

発行
1991年7月 八曜社 113頁 絶版 購入
共著
絵:木村大介
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
アニマルハウス
評価
★★★

CD付き絵本。というより著者のバンドSO MUCH TROUBLEのファーストアルバムに絵本が付いたもの。ロックンロールの神様と動物になってしまったバンドメンバー達のハッピーストーリー。天国のような楽天が降り積もる。

『ライオンの昼寝』

表紙

発行
1991年8月 実業之日本社 234頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
憧れの雄ライオン / サファリパークにて / 多摩動物園で考えたこと (ほか)
評価
★★★

僕達はストレスをためすぎちゃいないだろうか、サバンナ王ライオンみたいに気ままに昼寝して暮らしたい。ゴリラにチンパンジー、ドードー鳥などが顔を出す動物園的エッセイ集。そしてホモ・サピエンスも動物だから。

『僕らがポルシェを愛する理由』

表紙

発行
1991年9月 東京書籍 240頁 絶版 購入
発行
1996年2月 中公文庫 321頁 絶版 購入
NDC
537(機械工学・原子力工学>自動車工学)
目次
闘い / 知性 / 快楽
評価
★★★

表題どおりポルシェ911カレラへのラブレターたるエッセイ。その歴史から運転テクニック、構造(クラッチのつながる幅がごく狭いとか)などの考察だが、車自体に関心のない僕がなぜこれを読んでいるのかは分からない。

『凍えた薔薇』

表紙

発行
1991年9月 ミリオン出版/大洋図書 138頁 絶版 購入
発行
1997年6月 幻冬舎アウトロー文庫(1編を追加、『甘い蜜』と改題) 174頁 品切 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
凍えた薔薇 / 孔雀 / 未知の感覚 (ほか)
評価
★★★★

官能小説の分野に初めて本気で挑んだ短編集。愛を振り落とす快楽のスピード。元家庭教師と教え子とか、オモチャを入れたままレストランへ、とか基本に忠実。単行本は写真もいっぱい入っているので電車では読めない。

『いつもそばに仲間がいた』

表紙

発行
1992年2月 講談社 222頁 絶版 購入
NDC
914(日本文学>評論 エッセイ 随筆)
目次
第1章 悪い仲間 / 第2章 愛とセックス / 第3章 孤独の発見
評価
★★

男同士の友情がなにより大切だというエッセイ。男女の愛やセックスに関する論考もありながら、結局は友情へと回帰する。それはもちろん一つのスタイルにしても、こういうことを真正面から言えるのはいいことだろう。

『ジゴロたちの航海』

表紙

発行
1992年4月 ベストセラーズ 315頁 絶版 購入
発行
1997年11月 幻冬舎アウトロー文庫(『ジゴロ』と改題) 346頁 品切 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
第一章 ダイヤモンドで飾られた獲物 / 第二章 モンキーと蜜蜂マーヤ / 第三章 女王蜂に刺されたみなしごハッチ (ほか)
評価
★★★

華やかなミュージックビジネスをかき分けて進む二人の男の友情を描く。「華やか」とは女たちに囲まれているという意味だが。それもビジネス、ビジネス手腕? とことん自堕落で有能なジゴロたちのピカレスクロマン。

『スパンキング・ラブ』

表紙

発行
1992年7月 ミリオン出版/大洋図書 248頁 絶版 購入
発行
1995年10月 講談社文庫 249頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
一章 ヴィデオ・ヴァイオレンス / 二章 影の中に眠る蜜 / 三章 脂肪の塊 (ほか)
評価
★★★★

渋谷でスカウトされSM裏ビデオに出演する女。俗物な肉の塊が、鞭打たれるなかで別のステージへ入ってゆく。残虐さと神々しさで輝く天使達。『凍えた薔薇』の手応えから、ぐっと重心を落とした確信的な長編官能小説。

『マシンの見る夢』

表紙

発行
1992年9月 講談社 229頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
序章 ぼくがやらかしたヘマな話 / 第一章 新しい愛の生理学 / 第二章 われわれはどんな花々を育てたらいいのか (ほか)
評価
★★

オートバイを触媒とした恋愛小説。求め合い、すれ違い、愛し合う二人を見守り、「誰もが一人きりなんだ」と呟くウルフ。土砂降りの高速と雨上りのPA、タンデム・ランで夜明けの海を見に行くなんて青春はまだ健在か。

『ママ・アフリカ』

表紙

発行
1993年1月 角川書店 221頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
一章 再会 / 二章 楽園のこちら側 / 三章 静かにララ・サラマ (ほか)
評価
★★★

駄目になった関係を抱えてケニアにやってきたカメラマンは自分の撮るべき物を見つける。人種問題、環境保護などのお題目はそこそこに恋愛小説となっている。躍動する大地と燃える槍、アフリカに行ってみたくはなる。

『僕らは嵐のなかで生まれた 第1部 初めての別れ

表紙

発行
1993年4月 東京書籍 216頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
僕らは嵐のなかで生まれた
評価
★★★★

ブライアン・ジョーンズの死に衝撃を受けるところから始まる自伝的長編。ロックンロールと全共闘と不器用な恋愛、文学にオートバイと少しずついろんなものが動き出そうとしている高校時代の部。過去はいつも美しい。

『贅沢な失恋』

表紙

発行
1993年4月 角川書店 236頁 絶版 購入
発行
1996年12月 角川文庫 183頁 504円 購入
共著
共著:北方譲三/藤堂志津子/林真理子/村上龍/村松友視/森瑤子/山田詠美
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
マナハウス 村上龍 / 四歳の雌牛 林真理子 / チーズに合うワイン 北方謙三 (ほか)
評価
★★★

「恋愛」と同じメンバーによる短編コラボレーションで、こちらは「グルメと失恋」がテーマ。こういう「贅沢」に純真に憧れる人間がいるからこそなんだろうか。みなさん楽しげに書かれてはいるのでオーケーだけれど。

『ふつつかな愛人達』

表紙

発行
1993年6月 アルトマン出版部 249頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
とても深くて手が届かない場所 / その後の広告マンと彼の愛人 / ひとりぼっちの世界 (ほか)
評価
★★★

言ってよければ単純な恋愛小説群たる短編集。それが「愛人」との情事である、ということも本人達はそれほど意識していない。ふつつかにも。アルファ・ロメオだとかストーンズとか著者お得意の細部がまた、いい味で。

『JOY』

表紙

発行
1993年6月 近代文芸社 201頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
ジョイ・オブ・ライフ / マリッジ・ブルーと勇敢な猫 / グレープフルーツの月 (ほか)
評価
★★★

「マトモな恋愛小説なんて書く気はないよ」という風情で、どこかズレた男と女ばかりを描く。モラルを外してみようぜ、って感じか。「稲妻のような速さで」退屈を振り払って、その先も日常であるような苛立ちがある。

『カナリア』

表紙

発行
1993年8月 ミリオン出版/大洋図書 272頁 絶版 購入
発行
1997年4月 幻冬舎アウトロー文庫 283頁 品切 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
第一章 美しく小さな籠 / 第二章 遠い声、甘い匂い / 第三章 あられもない花の写真 (ほか)
評価
★★★

「エロティシズムと向き合う時、日頃は理性的なさまざまな鎧で武装している自我が、裸にさらされる」。男が怖い女と、事故で立てなくなった男、その妹、肉欲が地べたを這いまわる官能長編。モラルなんて吹き飛ばせ。

『カーズ』

表紙

発行
1993年10月 実業之日本社 256頁 絶版 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
老いぼれたブルースが燃え尽きるまで ブルーバードSSS / 可憐で淫乱な天使達 ポルシェ911カレラ / ひとりに戻った日 シトローエン2CV (ほか)
評価
★★★

各編に一台の車を配した短編集。変容してゆく愛を見守るシトローエン2CV、幼いセックスを乗せたディーノ246GT。そのクールでスタイリッシュな存在感に導かれるように物語はすでに決定している。要するに車への恋文。

『ワン・ラブ・ジャマイカ ラブ・アイランドの匂い

表紙

発行
1993年11月 エフエム東京 136頁 1682円 購入
共著
写真:山口昌弘
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
旅立ち前夜 / 光のなかに腰かけて、どこへ行けばいいのか考えてみる / テーブルの上にパンはないけれど、愛がいっぱい (ほか)
評価
★★★

10年後に戻ってくるとの約束を果たすジャマイカ再訪紀行。「俺は元気で、まだ生きているよ、クールなんだ」友達はみんないなくなっていたけど星とレゲエの島は変わらない。多くの写真も併録したジャマイカの歩き方。