吉田修一の100字レビュー(すべて)

吉田修一書評ページ

『最後の息子』

表紙

発行
1999年7月 文藝春秋 253頁 絶版 購入
発行
2002年8月 文春文庫 245頁 530円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
最後の息子 / 破片 / Water
評価
★★★★

表題作はオカマと暮らす男の物語。成長してゆく自分をビデオカメラ越しに見つめる手法で、その構図の妙味で読ませる。ホントは痛いはずなんだよ、それは。併録の高校水泳部青春モノは平凡なだけに安心してみたりも。

『熱帯魚』

表紙

発行
2001年1月 文藝春秋 221頁 絶版 購入
発行
2003年6月 文春文庫 248頁 470円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
熱帯魚 / グリンピース / 突風
評価
★★★★

短編集。奇妙なおかしさがある。「グリーンピース」は思わず声を出して笑ったほどだが、その合間をすり抜けて現実にタッチしようとする著者の手管が見える。表題作での潜在意識を揺らすような水のイメージも美しい。

『パレード』

表紙

発行
2002年2月 幻冬舎 282頁 品切 購入
発行
2004年4月 幻冬舎文庫 309頁 560円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
杉本良介 21歳・H大学経済学部3年 / 大垣内琴美 23歳・無職 / 相馬未来 24歳・イラストレーター兼雑貨屋店長 (ほか)
評価
★★★★

男女五人の共同生活、親友でも他人でもない性質の悪い距離感が潤いある文章で描かれる好長編。まるで古きよき時代の青春ドラマのような設定(キャラメイクも)だが、終章の切り落としが絶妙すぎて一筋縄ではいかない。

『パーク・ライフ』

表紙

発行
2002年8月 文藝春秋 176頁 1300円 購入
発行
2004年10月 文春文庫 177頁 410円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
パーク・ライフ / flowers
評価
★★★

他人との距離感の表現がここでも上手いのだけれど、見つめる自分と見つめられる自分、という反照のさせかたもまたこっそり入ってる。主人公は徹底して無為だものね。自分を旅に出すってやつ、僕もやってたので驚き。

『日曜日たち』

表紙

発行
2003年8月 講談社 196頁 1365円 購入
発行
2006年3月 講談社文庫 207頁 470円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
日曜日のエレベーター / 日曜日の被害者 / 日曜日の新郎たち (ほか)
評価
★★★★

それぞれにある日曜日の風景。生活のスケッチとしては平凡なのだが、裏ストーリーに当たる幼い兄弟の行く末が気になってるうちに引き込まれる。それがみんな繋がってるってことでさ。力説するんでなく素の顔の余裕。

『東京湾景』

表紙

発行
2003年10月 新潮社 269頁 絶版 購入
発行
2006年6月 新潮文庫 333頁 500円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
第一章 東京モノレール / 第二章 品川埠頭 / 第三章 お台場から (ほか)
評価
★★★

長編恋愛小説。ブームに乗って薄味なの書いちゃったかとも思う装丁だが主人公を追い越しそうになる小説内小説などそれなりの癖はある。心象描写はこれまで以上にベーシックなので一般受けし易しい作品には違いない。

『長崎乱楽坂』

表紙

発行
2004年5月 新潮社 206頁 1365円 購入
発行
2006年12月 新潮文庫 222頁 420円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
正吾と蟹 / タローと炭酸水 / 明生と水玉 (ほか)
所要
2時間
評価
★★★

ヤクザの背中を見て育つ少年に宿命付けられた土地と家の呪縛。出入りする男達、女達、ヤサグレと優しみの描き方に時代を飛び越えるようなポテンシャルがある。このまま腰に重心落として書いていくと中上になるのか?

『ランドマーク』

表紙

発行
2004年7月 講談社 205頁 1470円 購入
発行
2007年7月 講談社文庫 221頁 470円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
ランドマーク
所要
2時間20分
評価
★★★★

設計士と鉄筋工が積み上げる、特異な生活と捩れた構造のビル。スパイラルビルの鳴き声が全編に響く。比喩としての「歪んだ社会」がこんなにも明確な軋音として表現されてる。そしてカウントダウン、どこへ向かって?

『春、バーニーズで』

表紙

発行
2004年11月 文藝春秋 155頁 1200円 購入
発行
2007年12月 文春文庫 180頁 520円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
春、バーニーズで / パパが電車をおりるころ / 夫婦の悪戯 (ほか)
所要
0時間50分
評価
★★★★

若さを閉じてゆくような家族の生活。ときどきはみ出したくなる平凡で幸せな生活…。文体に独特の洗練があって、何でもないことを歌うのが上手くなったね。意思疎通できる関係の苦さ。ラスト「楽園」がしんみり効く。

『7月24日通り』

表紙

発行
2004年12月 新潮社 175頁 1365円 購入
発行
2007年5月 新潮文庫 215頁 420円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
1.モテる男が好き! / 2.イヤな女にはなりたくない / 3.どちらかといえば聞き役 (ほか)
所要
1時間30分
評価
★★★

こういうの好きでしょ?って余裕の恋愛小説。街をリスボンに見立てるという奇抜、最後に落ちるメタ的構造など、著者らしくニヤリとさせる部分はある。テレビ向けの平易な綾の作り方だなと思ったらラジオドラマ化か。

『女たちは二度遊ぶ』

表紙

発行
2006年3月 角川書店 224頁 1470円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
どしゃぶりの女 / 公衆電話の女 / 自己破産の女 (ほか)
所要
1時間20分
評価
★★

男と女のショートストーリー集。11人の個性的な女性を描きながら語る男ばかりが前景に出てくるような造り。さらりとしてて印象に残らないのが現代的ですか。あるいは「昔の恋人を覚えていない男」を描く趣旨ですか?

『初恋温泉』

表紙

発行
2006年6月 集英社 204頁 1365円 購入
NDC
913(日本文学>小説 物語)
目次
初恋温泉 / 白雪温泉 / ためらいの湯 (ほか)
所要
1時間30分
評価
★★★★

温泉を舞台にそれぞれの想いを湯で温める5組の男女の短編集。二人の問題はほとんど解消されずに残るんだけど。5つの作品ごとに違った宿が実名で出てくるので思い立ったら自分も行けるという、旅行書的楽しみもある。

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