
桜島
大変な朝になってしまった。公園のベンチで五時ごろ、妙な感覚に目を覚ますと、オヤジ(推定58歳)が俺の身体を触りまくっている。股間を中心に。目覚めに気づくと開き直ったように、「ここで寝たの? そう、疲れてるでしょ? マッサージしてあげる」と言って、寝起きでぼんやりしている僕の足を揉み始めた。いい気持ちだなぁとまどろんでいると、やはりオヤジの手はイチモツのほうへと流れて行く。こらこら、なにさらしとんねん。「恥ずかしがらなくてもいいって」。うわぁ本物だ。とりあえずそこへの集中攻撃は拒否すると、また足なり肩なりを揉んでくれる。マッサージ自体は上手くて、続けてもらう。はい。身体起こして。後ろから抱えるように胸を揉んでくる、「筋肉質なのね」。それはすでにマッサージの域を越えているのだが、まぁ胸くらいは貸してやろう。並んで座ったオヤジはウチに来ないかと誘う。シャワーでも浴びていきなさいと。誰が行くかい。丁重にお断りして、楽しく話して、別れる。世の中、いろんな人がいるものだ。
西郷隆盛像を見つつ城山へ。桜島がきれいに見える。青空に登る噴煙と入道雲。横の公園でシャツを脱いで寝ていたら思いきり焼けた。また鼻が痛い。一度剥けたのにまた剥けそうだ。
天文館でラーメンを食ったあとは市立美術館へ。マリソールという女性彫刻家の作品展。知らない人だが、おもしろい芸風ではある。それから、監視員の女性がみな美しい。これは素晴らしいことだ。美術館としては近年まれに見るクオリティーだ。次の博物館は小学生の遊び場。考古館は休み。照国神社は明治維新で活躍した人物を祀っている。どうなんだろう、たかだか100年前の人物を祀って神社と言うのかな? 天照大神とかとりあえず神としての地位を得ている人ならわかる。道真とかでもぎりぎり許そう。ここまではオーケーという明確なラインはないが、感覚的にひいばあちゃんくらいの世代を祀って神社はないと思うな。
風呂に入ったあと、全然お金が足りないことに気づく。あまりゆっくりもしていられない。夜になり宮崎まで行く。ベンチで寝ようとしているとまた事件が。
酔っ払いがぷらぷら歩いてきて「こんなとこに寝たらあかん」と言う。「わしの病院の隣の部屋があいとるから、そこで寝ていきんしゃい」。なに? 医者か? と思ったら患者だった。ホモではなさそうだったので、ついてゆく。こっそり裏口から入り、彼の部屋で焼酎をご馳走になる。それから隣の部屋のベッド(久しぶりのベッドだ)で眠った。

宮崎神宮
朝、看護婦と出会うも「彼の見舞い人」ということで申し合わせてあるので無罪。いやあ、やっぱりベッドはいい。疲れもとれた。カップラーメンをいただいて、テレビニュースなど見ながら談笑。出るときには表まで送ってくださった。いい人だなぁ。
まずは宮崎神宮へ(写真)。祭神は神武天皇。よかろう。若い女性は1人で参りにきていて、なにか人恋しさもありながら、いいなぁと思う。
続いて平和公園へ。平和の塔はなにか古代アステカを思わせる風貌で、青空に綺麗に映えている。古墳時代の人物像と、八紘一宇の文字が刻まれている。うむ。隣には埴輪園なるものがある。なんだかよくわからない。池では静かに釣糸を垂れる人々。犬を散歩させる人。
次は県立博物館。どうして博物館というと子供向け風になるんだろう。大人っぽい博物館はないものか。もっと学問的に深いところまで行ってみるとかさ。美術館は展示替えの真っ最中で見れず。隣の埋蔵文化財センター(だっけ?)では土器の復元とかを実際にやっている。パートのおばさんが忙しく作業している。ご苦労様。それから駅へ向かおうとしたらまた道に迷ってしまった。方向感覚はいい方だと思っているのだが、だめなのかな。結局延々と歩いて、宮崎駅へ。疲れたので駅ビルの本屋で立ち読みして過ごす。
油津は見事になにもない。古本屋で本を購入。
終着駅志布志まで行く。星空が綺麗だ。駅の待合室で寝る。
朝、飫肥につくが飫肥城はまだ開いていない。スーパーの前のベンチで横になって待っていたらスーパーの方が先に開いてしまった。「昨夜ここで寝たの?」と感じのいい店長(推定)が聞く。結局待ちきれずに城の入れるところまで入ってみる。係員風の人が開ける準備かで歩いている。そのまま出てきた。
青島へ。「鬼の洗濯板」は博物館で構造や歴史を予習して行ったのだが、やはり壮観だった。周辺は「日本一水のきれいな海水浴場」となっていて、ここで日焼けしながら一日寝て暮らす予定だったのだがやめる。実際、水はすごくきれいなのだがいかんせん人が多い。海って行く前はわくわくするんだけど、来てみると一刻も早く逃げ出したくなるんだよな。つまりは人間嫌いか。
日向新富は温泉があると本屋で立ち読みした本にあったので、行ってみる。サンルピナスって名前なのに年寄りばかりだ。若い女の子はいないのか。何故こない。年寄りは「白老骨壷湯」とかに行ってもらって、サンルピナスは若者が占拠しろよ。コインランドリ−で洗濯を終えると、ちょうど列車の時間。1時間1本なのにうまくいくもんだ。
延岡で夕食。古本屋で村上春樹『夜のくもざる』発見、購入。それから大分まで。

USA STATION
宇佐駅。写真、見えるかな、「USA STATION」だ。いや、合ってるんだけど、ちょっとおかしかったので。
宇佐神宮は「伊勢に次ぐ宗廟」と自称しているだけあって、伊勢にはやはり及ばない。ここに関してあまり変なことを言うとヤバそうなのだが、国宝指定の本殿にしたってそれほど優れた建築だとは思わない。なんというか、人脈だけだね。神脈か。
別府は地獄めぐりさえしない。昼食と温泉のみ。温泉は駅前に近い高等湯(だったっけ?)。
それから小倉へと向かうのだが、宇佐で乗り換える予定が寝過ごし、次ぎの豊前長洲で降りる。やっぱりいろんなところで降りてみるものだな。無人駅だが、駅舎の内壁は落書きで埋まっている。族だ。スプレーやマジックで「○○殺す」とか書いてある。馬鹿でいいなぁ、怒流懲彗(ドルチェ、と読むのだろうか?)。
さて、小倉も夕食だけで観光はなし。もういい加減疲れてるから(最初からか?)。列車に揺られ零時きっかりに三原着。そばをバイクが走りまわる公園で眠る。

姫路城
最終日。14泊15日のぶらり旅もようやく終わる。というより、金が底をついたので帰る。
ちょっとだけ姫路に寄る。世界文化遺産指定国内第一号(法隆寺と同時)である、日本の代表としての名城、姫路城。満を持しての登場だ。変に機械化しなくても、自然のままで涼やかな風が通る。城とはこうあるべきものだ。戦の中の城だ、ということもよくわかる。いいね。
そんで、長浜、福井と下車しつつ、北陸の実家へと。以上。(了)