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寒河江はさくらんぼの町
左沢線、寒河江で途中下車する。さくらんぼで名高い?町で、駅前の広場にもさくらんぼを使った飾りが多い。町作りの苦労が偲ばれるが、なぜ噴水にさくらんぼを掲げる必要があるのかは分からない。
駅前の通りを何かないかと歩く。小さな社の鳥居に目を奪われたり、デパートのエスカレーターを登っていったら保育園風になっていて驚いたりしつつも、めぼしいものは見つからない。とりあえずメインストリートであるはずなのだが、寂びれた飲み屋が並んでいたりと中途半端な印象。
駅へ戻ろうと道を引き返していると、温泉を発見。往路では気づかなかったのだ。寒河江温泉と看板のかかったプレハブ小屋のような小さな施設。入ろうとすると、そこは無人。玄関に箱が置いてあり、道向かいの酒屋で入浴券を買ってここに入れて入るという寸法だ。

寒河江温泉。こう見ても温泉
さっそく酒屋で入浴券を求め、入ってみる。浴場は狭く、古びた感じ。過疎地帯の銭湯といった風情で、お世辞にもキレイとは言えない。が、お湯はなかなか。鉄色をした湯が轟々と吐き出され、湯船のふちから溢れている。多少熱めかと思ったが入ってみるとちょうどよい。他に客がいなかったので伸び伸びと浸かる。窓からは・・・何も見えない。
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉。そうか、施設名は寒河江温泉公衆浴場なか湯というのだな、と木の温かみある脱衣場で成分表をメモっていると、先ほど入浴券を求めた酒屋の親父がやってきて、暗くないかいと言う。夕方になったので電気を付けに来たのだ。恐らくは町内会で管理運営している素朴な湯なわけだな。
再び列車に乗って山形へ出る。ラーメン屋で夕食。手打ちラーメンの店で、麺は妙な食感なのだがスープは抜群に旨い。カウンターで、隣に座っていた二人連れのサラリーマン。先輩社員風の男が食べ終わり、暑いから外へ出て待ってるよ、といって席を立った(事実カウンターの前でぐつぐつ湯が煮えてて暑いのだ)。麺を茹でていた親父が振り返りざまに一喝、「相方がまだ食べてるだろう、座っとけっ!」。頑固親父のこだわりラーメンである。憮然として座りなおす先輩社員に、ああ、ごめんなさいごめんなさいと言いながら啜りこむ後輩社員。店の名前は秘密。ダイエー裏。

山形の文翔館
マークスイン山形というビジネスホテルで泊まったのだが、ここはバスルームが洒落ている。シャワールームだけでバスタブがないのだ。ビジネスホテルにしちゃ変わってるねぇと使用方法説明書を読むと、シャワールームに湯を張ってバスタブとして使うことも可能、なのだそうだ。それってどうだろう? 都会ではこういうのがナウなの? 僕には分からない。
さて、翌朝、山形市内をぶらぶらして過ごすことにする。まずは旧県庁舎を保存公開している文翔館。会議室や応接室なんかが見られる。ルネッサンス様式というのか、存在感のある建物ではある。

霞城公園
それから道に迷って堀の裏側へ行っちゃったりしながら、霞城公園。山形城跡を整備した公園で、何やら発掘工事中。最上義光像を中心とした広場で、ベンチに座って本を読んだり、寝転がったり、猫をあやしたり、また本を読んだりしながら、気持ち良く晴れた日を楽しむ。
と、火薬鉄砲を乱射しては走りまわるお子様がたがやってきて急速に騒がしくなったので退避、なんだか腹が減った気がするので(時計を持ち歩かないので時間が分からないのだ)、堀に面した芋煮そばの店で昼食。

山形美術館
城のそばの美術館へ。この日はマティス展をやっていて、女性モデルに焦点を当てた展示はなかなか美しい。ああ、シャガールだねぇ、ああ、ピカソだねぇ、などと素人風芸術の秋を気取りつつ。
駅前をぶらつく。古本屋に入って、ストリートスライダーズ特集をやっていた昔のロッキンオンなどをめくり(解散するんだね、残念)、なんだかもうすることもなくなったので、風俗店にまぎれて立つラーメン屋で早めの夕食を取り駅へ戻る。
新幹線ホームへ行くと自由席がいっぱいだったので、一本遅らせることにした。どうせ急ぎゃしないんだ。ホームで缶ビールを飲みながら次を待つ。そうしたら次も満席で、指定席までもいっぱいだと言うから連結部に座っていくことにした。缶ビールと本を片手に、移動車中で日が暮れる。(了)