紀伊水道を跳び越えて(2ページ)

旅行記

2002年4月30日(3日目) 船上の人になる

南海フェリーに乗って
南海フェリーに乗って

「朝起きてみたら船に乗りたい気持ちのほうが大きくなってて、南紀のガイドブックを捨てて港まで行ったんだ。たった2時間で徳島に着いてしまう、小粋なフェリーが発着してる。このフェリー、2時間おきに出航してて1日12便。つまり夜中もずっと稼動してるわけ。すごいよね。とりあえずぼくが乗ったのは朝の便」

「船内はカーペット敷きのスペースがメインで、雑魚寝して行ける。ソファ席で本を読み始めたんだけど、窓を見たらいつの間にか動き出してて、それも気づかないくらい揺れは小さい」

「写真、カーペット席がらがらじゃん? 乗りこんですぐに撮ったんだけどさ。平日だしねぇって。途中でソファが疲れてきたのでカーペットへ移動しようとしたら知らないうちに難民キャンプみたいになっててさ。どっから湧いたか。入る余地がなかったのでまたソファに座って本読んだ」

「港からバスで15分ほど、徳島駅へ出る」

徳島の護国神社
徳島の護国神社

徳島には4年ほど前に来てて。写真も撮ってなかったので掲載してない旅なんだけどやっぱりゴールデンウィークに四国一周してるんだ。その時に徳島のみどころのひとつ眉山には行ったので、よく覚えてないけど行ったはずなので、今回は駅裏の中央公園へ。小山に登ったんだけど眺望はあまり広がらず、おまけに戦没者慰霊の護国神社だったりしてなんか二重に『あらら』とか言いながら降りて、公園ベンチでちょっと本を読んで、そのまま横になって昼寝して。優雅な午後を過ごしたわけだ」

「昼寝してるうちに雨が降ってきたんで、公園内にある博物館へ入ろうと思ったら定休日。駅まで走り戻って、駅ビル・クレメントプラザの書店で立読みして過ごしたりして。『るるぶ徳島』を買って。それ読んでも近場に面白げなものがなかったので早めにホテルに入ってしまった」

「夜になったのでそば屋へ行くと、メニューに『るるぶ徳島掲載』と書いてある。こういうことを得意げに書く店って味に力入ってないことが多いんで、ちょっとがっかりしたんだけど、ぼくもるるぶ見てやってきてるので文句もないわけでね。祖谷ぶっかけそばはまぁそれなり」

「R'sCafeというバーで軽く飲みに。カウンターに客が自由に使えるパソコンが置いてあってさ、そこから掲示板に書き込みしたりして、本を読んで飲んでた」

「スキンヘッドのオーストラリア人男性が一人で飲みにきて、3人組で来てた客が彼に話し掛けてさ。オーストラリアってのも彼らの会話が聞こえてきて知れたんだけどさ。NOVAで教えてると聞くと『ノバ・イズ・エキマエ?』つって笑ったりとか、スキンヘッドを指差して『エブリデイ・シェイブ?』とかさ。とにかく下らないことを聞いてたりして、こっちはもう全然読書に集中できなくって。スキンヘッドがどうしても気になるらしく『ナショナル?』って。外人さんそりゃ意味不明な顔しますわな。シェーバーのメーカーを尋ねたつもりらしいんだけども」

2002年5月1日(4日目) 吉野川沿いに

穴吹でぼんやり吉野川
穴吹でぼんやり吉野川

「朝になっても雨が止まない。この日は、じゃあ、列車に乗って過ごそうかと、高知行きの切符を購入。穴吹止まりの列車があったのでそれに乗って終点で降りた。美馬市の穴吹。」

「ここから情緒ある町並みが残るらしい脇町へ行こうかと思ったんだけど、バスの接続が悪くてあと2時間くらい待たねばならないこと、るるぶによればメインのみどころである劇場が定休日だったこと、やっぱり雨の日に歩くのはつらいこと、なんかを勘案しつつ断念してしまったんだ」

「しようもなく、とりあえず、駅前にすぐ吉野川が流れてるんだけども、細い雨に煙る川を眺めてしばらく歩いて」

「わしらヤクザですけど住民とは仲良うやってまんねん。というムードの喫茶店で昼食に。そこしかやってなかったんでね。いまどきゲーム筐体がテーブルになってるような店で、よく分からないゲームの前に座ると、兄ちゃんそこ客おんねんでとか言われて慌ててカウンターに移ったりとか」

うだつのあがる阿波池田
うだつのあがる阿波池田

「あと1時間まてば鈍行があったんだけれど面倒になったので特急に乗ることにしたんだ。直通で高知まで行けるわけでもなく、阿波池田までの特急なんだけどね」

「写真は阿波池田駅から三好市街を歩いて見に行ったうだつ。うだつがあがらないって言うじゃん? このうだつを屋根に造り付けることが富の象徴であって、うだつも挙げられない奴はダメダメだ、なんてここが語源だとかいう。さっき言ってた脇町はこのうだつの町並みで有名なんだけども、池田にもほんの少しある」

「ほんの少しあるというか通りの一角だけを観光用に整備したってとこだろうね。ここも資料館が休みでさ。火曜日でさ、祝日の翌日ってやつだから、休みの施設も多かろうね。ぐるりと歩いて駅前に戻るだけ。というかうだつよりも、愛とセックスの関係について語りながら歩いてた女子中学生二人組のほうが気になってしようがなかったりもしてさ」

「手狭な駅前商店街の書店でしばらく立読みして、いや、買いもしたんだけどね、それもって駅前にあった喫茶で羊羹と抹茶で一休み。本読みながら列車の時間を待つわけだ」

へそっこ公園は四国のへそか
へそっこ公園は四国のへそか

「駅のすぐ横には『へそっこ公園』なるものがある。こういうのは命名の由来なんかを説明したくどくどしい看板が入口に立ってるものなんだけども、そういうのが見つからなかった。観光課の手抜きかね。つまりは四国のへそ、中心ってことだろうね。四方を山に囲まれて、ここだけポコリと陥没してる、まさにへそなんだわ」

「野外イベント、どんなのがあるのか知らないけど、イベント会場になりそうなステージが中心にあって。ちなみに公園内に観光案内所があるんだけどもそこも閉まってた」

「あっるるぶ見たら『いけだ阿波踊り』の会場だって書いてある。このステージで踊るのか」

「野球は個人的にはまったく見ないんだけども、池田高校って高校野球で有名じゃないですか。ぼくかて名前ぐらいは聞きますよ。それにちなんで、野球のユニフォームを着たカエルのオブジェが置いてございましたです。なんのこっちゃで」

土讃線ローカルは停まる停まる
土讃線ローカルは停まる停まる

「高知方面の土讃線。1両で動いてるワンマン鈍行に乗ってるんだけどさ。これが列車待ち合わせって一駅ごとに5分ずつくらい停まるの。単線だからなんだろうけどね。そのたびに外へ出て廃屋みたいな駅舎を眺めたり。それがために80キロばかりを3時間かけてゆっくり走る列車なんだ。東京から小田原くらいの距離だよ? それが3時間ってすごくないか?」

「写真で分かるかな、列車に愛らしい女の子のイラストが貼り付けられてるんだけども、これはぼくにも意味不明なので尋ねないで」

「この駅がどこか忘れちゃったな、繁藤駅か新改駅かその辺なんだけど、外へ出てタバコ吸ってたら、同じように外に出た女性が花を摘んでるのね。『なんの名前の花ですか』ってぼくに聞くわけ。花の名前なんて知らない無粋な私ですから、無理な質問なんだけどもね。『日本の花、高いね。ヴェトナムでは安いよ』って爽やかに微笑むヴェトナムの方で。もちろんこんなところからロマンスが始まるはずもなく」

「いや花の名前は覚えておいたほうがいいよね」

高知について、寿司屋でカツオ食って、マンガ喫茶でネットして、アイリッシュパブなんてものがあったのでギネスビールで本読んで、ホテルのコインランドリーで洗濯して。テレビの天気予報見てたら明日の天気、全国で高知だけに傘マークがついてたりしてげんなりして眠った」

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