肥薩線で鉄ちゃんのふり、霧島でトレッカーのふり(2)

球磨川

球磨川に沿った肥薩線へ

肥薩線は球磨川沿いに走る気持ちのいい路線だ。しかしトンネルも多く、車窓を楽しもうとするとすぐ暗転になってしまう。鹿児島本線(現・肥薩おれんじ鉄道)ができるまではこの肥薩線が熊本と鹿児島を結ぶ大動脈だったのだが、今では存続の危ぶまれるローカル線だ。そのぶん、静かな山村を抜ける旅情が楽しめるラインではある。

途中、一勝地駅で下車する。その駅名にあやかって、受験や勝負事にご利益があるお守り・・・風の入場券を駅で販売している。「地に足つけてまず一勝」。昔の愛国駅→幸福駅みたいなもんだ。

一勝地温泉かわせみ

立ち寄り温泉、一勝地温泉かわせみ

そのお守りが目当てではなく、温泉があると、昨晩ネットで調べてきたのだ。

誰も住んでいないような家、崩れさった家が並ぶなかを20分ほど歩くと、「一勝地温泉かわせみ」がある。宿泊施設でもあるけれど、立ち寄り入浴可能。

すいていたのでゆっくり浸かった。サウナ、露天風呂もあるので何往復か。アルカリ泉特有の、表皮が溶け落ちるような感覚が気持ちいい。休憩室では何人かが湯上りに横になっている。

青井阿蘇神社

青井阿蘇神社の楼門

さらに肥薩線で山間を進み、盆地に出たところが人吉だ。熊本県南部の中核都市、沿線では一番の観光地。駅で観光マップをもらい、市内観光に出る。

駅前にはからくり時計があり、毎時になにやら動くらしいのだが、待ちきれずに歩く。車道をよたよた歩いている犬を呼び止めたりしながら歩く。

まずは青井阿蘇神社へ。806年創建という古社で、殊にどっしりとした楼門が立派。軒下四隅には白い鬼面があり、珍しい様式になっている。カメラのズームで寄ってみるとかなり怖い。鬼瓦と同様に魔除けの役を果たしているんだろうか。

楼門もそうだが、本殿も茅葺で重量感がある。鳥居前に太鼓橋が架かる蓮池があるのだが、池が少々汚れていたのが残念。

ゆうれい寺

幽霊が出たという永国寺の池

次は永国寺。ゆうれい寺として知られる。幽霊の絵が描かれた掛け軸が祀られているのだ。本堂に住職の「説法ビデオ」が設置されていて、団体客が見ていたので後ろから聞く。境内の池に現れた幽霊を描いて見せ、自分の恐ろしい容貌を知った幽霊が成仏させてくれるよう願った、といった由来を解説している。「今はもう出ませんからね」って漫談師のような口調に団体がどっと笑う。さらには「幽霊など本当はいないのです。私たちの心が作り出して見せるものなのです」なんて言っていて、ゆうれい寺としてそんな言い方はないんじゃないかと思った。幽霊絵は写真に撮っちゃいけないような気が出ていたので避け、「出た」という池の写真を貼っておく。

人吉温泉元湯

生活の湯としての人吉温泉元湯

人吉は温泉の町でもある。市内には数多くの温泉銭湯があり、スタンプラリーだってやっている。そのなかの人吉温泉元湯へ。水道(カラン)の設備もないような古いタイプの湯で、近所の爺さん方が床に座って小さな湯船の湯を頭からかぶったりしている。もちろん観光施設じゃなくって生活のなかの銭湯なわけで。鄙びたいいムード。

僕は本日二湯目でもあるので、湯船に浸かってうぃーとか言うのみ。やや熱めの湯だが、掛け流しになっていて、肌触りもよい。湯の花なのか汚れなのか微妙なものがたくさん浮いている。もちろん湯の花だとは思うのだが、一緒に入っている煮干のような爺さんに囲まれて入っていると断定する自信はなくなってくる。