マグナス・ミルズ/柴田元幸『鑑識レコード倶楽部』

書誌情報

  • 鑑識レコード倶楽部かんしきれこーどくらぶ
    マグナス・ミルズまぐなすみるず/柴田元幸しばたもとゆき
    2022-04-15
    アルテスパブリッシング
    月曜の夜、3枚のレコード盤を持ち寄り、ただ黙って聴く──このストイックな倶楽部はやがて分裂の危機に揺さぶられる。トマス・ピンチョンがデビュー作を賞賛、イギリスならではの乾いたユーモアの名手が送る現代社会の寓話。
    「俱楽部を作るんだよ。レコードをじっくり、
    綿密に聴くことだけを目的にした俱楽部を。
    いわば鑑識的に、いっさいの邪魔を排して聴くんだ」

    ピーター・バラカン
    「持ち寄ったレコードを黙って聞き、意見を一切言わない。この極度のオタク行為に潜む意義はあるのか、答えはまだ出ませんが、一気に読んでしまいました」

    直枝政広(カーネーション)
    「明かされるタイトルだけを頼りに、読みながらプレイリストを作った。音楽の迷路に迷い込む気持ち良さを存分に味わった。答え合わせは後のお楽しみだ」

    月曜の夜、パブの小部屋に3枚のレコード盤を持ち寄り、厳格なルールのもとにただ黙って聴く──ストイックな倶楽部は順調に育っていくかに見えたが、やがてライバルが出現し、分裂の危機に揺さぶられる……トマス・ピンチョンがデビュー作を賞賛、イギリスならではの乾いたユーモアの名手が送る現代社会の寓話。

    作中には60年代以降のロック、ポップスのタイトルが無数に登場するが、ミュージシャンやバンド名はいっさいナシ。そんな意地の悪い小説だが、作者本人が“The Official Forensic Records Society Playlist by Magnus Mills”と題したプレイリストをSpotifyで公開中!
    訳者・柴田元幸によるあとがき、注解とマグナス・ミルズの著作ガイドとともにお楽しみ下さい

    訳者あとがきより───
    「人物の過去も背景も示さず、ほかに何をやっているかも伝えず、ひたすらひとつの営みに携わるさまを、比喩などのレトリックにも頼らず描く。そうやって自主的に素材を貧しくすることを通して、この作家ならではの、オフビートな可笑し味が生まれてくる。無表情で可笑しいことを言ったりすることを英語ではdeadpanと呼ぶが、マグナス・ミルズほどdeadpan humourに長けた書き手もそうザラにいない。」

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