丸山健二

丸山健二プロフィール&ガイド

丸山健二(まるやまけんじ)―1943年生まれ(80歳)。長野県飯山市出身。小説家。

芥川賞最年少受賞者(23歳)の地位を綿矢りさに破られるまで保持していた。安曇野にこもって文学の高い壁に楔を打ち込む孤高の作家。

1966年『夏の流れ』で第23回文學界新人賞、1967年同作で第56回芥川賞受賞。

近年は大作志向で簡単に手を出せる作品ではなくなっています。しかもどんどん絶版になってて手に入る本が少なすぎます。孤高とは大変な身分であることよな。初めて手に取るなら、おそらく選り好みはできないので書店で見つけた文庫をそのまま買って帰りましょう。たぶん上下巻だけど。文壇と決別し、また世間とも決別したように、世の潮流とは無関係に問われる作品群は、読者を選ぶことは確かですが、「文学」を(庭いじりしながら)これほど考え続けている人はそうはいないです。

関連作家・似てるかも作家:小島信夫 安岡章太郎 富岡多惠子 藤枝静男 津島佑子 遠藤周作 大岡昇平

丸山健二おすすめ本ベスト3

  1. 『争いの樹の下で』表紙
    首吊り女から産み落とされた子供。老木が見据えるその運命。彼は猿の詩集を抱えて二十一世紀を流れる。「よくぞ生まれし!」。著者の哲学満載で説教臭いと感じる部分もあるが、文学の熱気が充満する迫力に敗北感嘆。
    文学(小説)
  2. 『千日の瑠璃』表紙
    私は風だ、私は焦燥だ、私は精進料理だ。千の森羅万象が頁毎に主人公となり、まほろ町の現在を語る。「踊る体を持つ」少年与一の青い未来を語る。純文学であることの痛々しいまでの決意が作家に行わせる忍耐ゲーム。
    文学(小説)
  3. 『ぶっぽうそうの夜』表紙
    定年退職をした男が死に場所を求めて過疎化した郷里へ帰る。そこには彼の一家を墜落させた猟奇殺人者が暮らしている。おどろおどろしい復讐劇となってゆくのだが、持続する怒りのパワーでのごり押しが快かったりと。
    文学(小説)

丸山健二レビュー一覧(12冊)

  1. 『猿の詩集』表紙
    戦場で散った兵士の魂に叫ばせた反戦歌。ただ観察するのみの無力な猿が、戦争の悪を問う。世間を遮断した孤高の作家であることの強みと弱みが存分に発揮され、どこにも出口がないし誰も入り込めない物語になったな。
    文学(小説)
  2. 『逃げ歌』表紙
    没落した山村の名家、畢生の詩、革命家の爆薬、いろんな意志が見え隠れしながらそれは形になることがない。口先だけの弱い人物ばかりが夢と現を行き来する。ただ都会的なものから、現実から、逃げているだけなのか。
    文学(小説)

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