2002年7~9月

近況報告

『海辺のカフカ』二三言

タマちゃんはまだ放浪してるのか。なぜだ。

ま、そんなことはいいとして、『海辺のカフカ』読了です。主人公が15歳で(15歳には思えないと誰もが言いますが)、これまでの「僕」とはもちろん違いますし、不思議な雰囲気です。これまで「僕」一人が背負い込んでいた責任を、いろんな人が分担しているような感じがしますね。ナカタさん、星野ちゃん、佐伯さんも大島さんも。それゆえに皆が「繋がっている」温かみが前面にあります。たとえ全ての人間が本質的に孤独なものであっても。

そういう意味では各登場人物が果たすべき役割が明確になってて、特に星野ちゃんの日本神話的な活躍ぶりは主人公の座を奪う勢いです。大島さんに仮託された立ち位置はちょっとどうかなと思いましたが、それでもそれぞれの登場人物の光らせ方はやはり上手いと。

100字レビューのほうには伏線が伏せられっぱなしだとか書いたんですが、ここで提出されている謎をみんなで語り合ったりする、という楽しみ方もまたありなのかもしれませんね。それそういう意味だったのか! それだったら時間ずれてないか? そんなとこに繋がる? 図書館ってやっぱりアレなのか。

というわけで『海辺のカフカ』について語り明かしたい方、募集中です。

またしてもお久しぶりです

ええと。また更新期間があきまして。言い訳はぬきにしまして最近の読書情勢について申し上げますれば。ここらへんは吉田修一『パーク・ライフ』、大崎善生『アジアンタムブルー』、村上春樹『海辺のカフカ』と期待作目白押しだったわけです。春樹はまだ下巻のまんなかあたりなので次回更新でなんか言えればいいかなーと思うのですが、『パーク・ライフ』は期待に及ばず、『アジアンタムブルー』は期待通りといったところでした。

何を期待していたかによるのでしょうが、「期待通り」ってのも本来だめなんだろうと思うんですね。『アジアンタムブルー』はあまりにシンプルな「喪失」を描こうとしているゆえ、裏切られる箇所がまったくないわけで。癌を宣告された恋人との残りわずかな日々、なんていまさらそれかよーと思わないわけでもない。無理矢理に感動を含んでる展開なので、期待通りに感動するわけです。

じゃあなんで4つ星なのかといえば、細かな仕掛けが随所に入っていて、後半にちゃんと効果を上げてるからなんです。ヒロインがカモメとウミネコの区別がつかない「鳥音痴」だったりすることだとか、ボルシチにはうるさい「ボルシチ博士」だとか、前半には微笑みを誘う文脈でそれらのエピソードが登場するわけです。それが後半には泣きの要素としてきちんとリフレインしてきます。この丁寧な仕事振りには頭が下がります。

疲れてて文章まとまりませんが、次回は更新間隔が開かないよう天に祈りつつ。

短いですが

週末にやろうと会社から持ち帰った仕事ひと山にまったく手をつけてないことに日曜深夜になって気づきます。これをやらないことには相当まずいことになるので、ゲームやりながら仕事もすることにします。だからこのコーナーに書くネタ考えてる時間もないのです。

ゲーム雑誌と日本経済の考察

相変わらずファイナルファンタジーに生きがいを見出して過ごしております。呆れずともよいです。そこからむりやり書店の話題にもってこうとしてますので。

浜松町駅にある「ブックストア談」が行きつけの書店で、会社の昼休みに毎日寄るんですけども。そこで最近はゲーム雑誌コーナーによく行くんです。が、談のゲームコーナーはひどいのですよ。先日同僚と話してて、同じ想いを誰もが抱えていると感じられここに記すわけですが。

ゲーム雑誌コーナーのすぐ横がエロ雑誌コーナーなんです。子供が読んじゃいけない雑誌と、大人が読んでたら恥ずかしい雑誌を隣り合わせるのはいかがなものかと。

でね、昼休みに行くでしょ、エロ雑誌を立読みしてる人たちがあふれてゲームコーナーまでも広がってきちゃってんですよ。エロたちの脇の下から「ちょっとすいません~~」って手を伸ばしてゲーム雑誌を手に取るおれ。どうなのよ。

というかね、なんで昼からこの人たちはエロ雑誌なのか? 食欲のあとはすぐ性欲なのかと。立派な背広着てらっしゃるくせに。日本経済はどうなってゆくんでしょうか。

ゲーム雑誌コーナーを移動してもらいたい。代わりに、文芸誌なんかもってくるのはどうでしょう。どうせ閑散としてるジャンルなのでエロたちにふさがれてもいいでしょ。

まぁ、そんな、とりとめもない話。

ダカーポって読んだことある?

雑誌見てやってくる人もいるかもしれんので言っておきますけれども。今発売中の『ダカーポ』で読書特集をやっていまして、そこで当サイトが紹介されています。そのこと自体はどうでもいいんです。掲載の連絡メール等いっさい来てませんがどうでもいいんです。雑誌掲載に一喜一憂する季節は過ぎてますので。問題は紹介文でして。

なんでJASRACとの往復書簡を特記しますか?

あまりJASRACがらみでは目立ちたくないのです。こっそりとやってたつもりなのに。まだ終わってもないナーバスな問題なのに。↑で親切にリンク貼ったりしてますけども、あまり前に出すつもりもなかったんです。

それなのにそこが一番のみどころみたいに書かれてしまって困惑しております。いや、実際おもしろい読み物だよな、とは自分でも思いますが。次に来る(はずの)JASRACからのメールに「告訴します」との言葉があってもおかしくない時期ですものでね。裁判時にこのサイトでのメール公開が不利な材料になったらどうするんでしょうか(←雑誌掲載とは無関係)。

話は変わって、吉田修一『最後の息子』が文庫になりました。掲示板で「文藝春秋は話題に合わせて文庫化って手法をなかなかとらないので、まだ先かも」なんて言ったりしたんですが、文庫出ちゃいましたね。捨てたもんじゃないですね、文藝春秋も。単行本から3年たってるので時期といえば時期なんですが、川上弘美『溺レる』が今月予定だったのに出てないので、どうやらそれと入れ替えての緊急出版のような気がします。

久しぶりの帰還

丸1ヵ月ぶりの更新です。間に10日ばかりの出張不在が挟まってるとはいえ、これだけ間隔が開いたのはサイト設立以来初めてのことです。かといって、健康崩したとか何か異常事態が発生してるわけでもなく、まぁご想像のとおりゲームに生きてるだけです。たはは。ってホンマすいません。

だんだんボリュームが大きくなってきたとはいえ、完全個人でやってる手工業サイトですので、仕事に喘いだり恋に破れたり、個人的な事由で更新は滞ります。そのへんご理解いただけると幸いです。

今回は溜め込んでしまった読了本100字レビューと、単行本の新刊情報(ってもう新刊とは呼べなかったり)だけの更新です。8月分の文庫新刊の整備ほかもろもろ更に次回へ持ち越し。すんません。これでもね、6時間ばかり更新作業にかかってるのですよ。なんか泣き言ばかりですが、ゲームが原因と公言してるので説得力はありませんよねぇ。

FF11の総プレイ時間は300時間を超えてます。「更新に6時間」で割ると50回分ですね(死)。

さて。この間に読んだ本で、四つ星つけたのは北村薫『ターン』。ストーリーや構成の妙は読んでくださいってことで触れなかったりしまして。これ、二人称小説です。「僕は~~した。」が一人称、「彼は~~した。」が三人称、二人称は「君は~~した。」ですね。二人称小説で成功してる作品って見たことなかったんです。

というより二人称小説を読んだのはたぶん前に1作きり。辻仁成の『グラスウールの城』収録「ゴーストライター」がそうでした。二人称の試みとしては完全に失敗してる作品です(いやいや)。

二人称を使うからには、「君は~~」と呼びかけているのは誰なのか、という影の一人称が構造的必然にちらつくもので、そこの処理をうまくしないと破綻してしまうのです。

『ターン』では、誰もいない世界という設定なので、主人公「君」に喋らせるための必要性から置かれた装置なんだろうな、と思ってました。初めは。これが、最後には完璧に着地する。すごいです。この試みだけでも評価に値しますね。その技は読んでみてのお楽しみ。

文章の色艶を純粋に楽しめばいいんでしょうけど、そんなテクニカルな部分が気になる29歳の夏です。

やっぱりヴァナ・ディールな日々

読書量が減ってます。明らかに。週1冊ペースなんてまるで平均的読書人みたいじゃないですか。ちょっと本好きのサラリーマン程度じゃないですか。そんなもんじゃなかったはずなのに。チャットでも「早く現実世界へ帰っておいでよ」なんていわれてる仮想現実な日々ゆえ、明け方まで異世界を旅しつつ、通勤電車で吊り革つかまりながら眠ってるので読書時間帯がない。

ファイナルファンタジーな仮想現実の私としては、先週までは斧かついだ戦士だったのを転職して、回復魔法の使い手「白魔道士」となってます。やってない人には全然伝わらないでしょうが、道すがらモンスターに殺られそうになってる人をさっとサポートして「助かりました!ありがとう!」「いえいえー」なんて言ったりして、なんでしょうか、この充実感。ここに生きているという実感はなんでしょうか。

そんなわけでこのサイトの読者にも呆れられて去られつつある昨今。「今月のフェア」もとめちゃってるし。いやはやもうちょっとだけ許して。

そうそう、JASRACとの往復書簡書き足しました。もう一往復したので。って問題のサイト上には書かずにここだけで公表してていいものなのかどうか分かりませんが。

あと、私、17日まで出張で憧れのハワイへ行って来るのでしばらく留守です。すいません。

JASRAC問題はいかに推移するか

先日言ってました、JASRAC問題。こちらから投げかけた質問には返答いただいたものの、それに僕が再反論したメールに関してずっと返事がきません。このまま収束していいものなのかどうかも分からず、困っています。「返答がないのは、こちらの主張にご理解いただいたものと考えてよろしいですか? ぜひ返答くれませんか?」と追って投げたメールからも一週間がたっていますので、こちらの勝利なのかもしれません。

でも「不正使用」としての疑いをかけられた身なので、「それなら裁判だ!」もしくは「間違いでしたごめんなさい」とのどちらかの返答を貰うまでは終わらない問題だと思われ。

反則なのかもしれませんが、これまでのメールのやりとりを公開してしまうことにします。返答くれないのは不誠実な態度ですしね。ぜひご覧下さい。「JASRACのほうが正しいよこの場合は」とか「こう主張してみてはどう?」とか意見をいただけると嬉しいです。

「公開はやめてくれ」と先方から言われたら消さざるをえないので、お早めにどうぞ。下記です。

JASRACとの往復書簡