現代文学100字レビュー
ピックアップレビュー
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スラップスティック、という見本のようなショート・ショート集。発作的破裂的でパンキッシュな暴力衝動といった風な掌編。個人的には筒井で初めて読んだ一冊であるのでなかなかこのイメージが抜けてなかったりする。文学(小説)
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占い師が切り出したタロットカードが暗示する未来を、作家のインスピレーションで小説化した連作短編。不確定な過去と、想い出のような未来が軋む音調。重苦しい「物語り」はどれだけ現実と寄り添いうるのだろうか?文学(小説)
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「エイズのオカマ」に追われる恐怖を描く長編。彼女(彼?)をめぐるドタバタ悲劇。時代のためか、この茶化し方にいくらか差別的ニュアンスを感じないこともないのだが、一人で死んでたまるかと鬼気迫るオカマは強烈。文学(小説)
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金井美恵子、橋本治、村上春樹、村上龍、山川健一へのインタビュー集成。それぞれ勢いのある時期で、自信を固めつつある言葉が頼もしい。人選が僕好みだし。田中康夫などパートIIもあるそうだがそっちは読んでない。文学(エッセイ)
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「らいほうさんの場所」と呼ぶ庭の一角に埋められた秘密。その秘密を守るため寄り添って暮らす三姉弟の物語。庭から立ち上るホラー臭が家族関係をも歪ませて、みんな世界認識がおかしい。その気持ち悪さを味わって。文学(小説)