文学ノート 付=15篇
大江健三郎
2026-06-12
講談社 講談社文芸文庫
1973年に書き下ろし長篇小説として出版され、その年の野間文芸賞受賞作となった『洪水はわが魂に及び』執筆と並行して、大江健三郎は文芸誌「新潮」1970年12月から1973年8月にかけて6回の「文学ノート」を発表する。これは一般的なイメージでの創作ノートとは大きく異なる、作品を創造することに関する詳細な自己分析の集積である。
また「付=15篇」とされる、最終的に長篇小説『洪水はわが魂に及び』から省かれた細部の15篇は、執筆中の作品と作家にとってどうしても必要な要素であった。
最終稿としての長篇小説、執筆中の作家の意識の詳細な自己分析、執筆途上では作品そのものと作家にとって必要不可欠だった細部、この三者をあわせ読むことで、大江健三郎という稀有な作家の想像力のありよう全体が明瞭となるのである。
文学ノート
*このノートのためのノート
1作家が小説を書こうとする……
2言葉と文体、眼と観照
3表現の物質化と表現された人間の自立
4作家が異議申し立てを受ける
5書かれる言葉の創世記
6消すことによって書く
付=15篇
1隠れ家
2転換
3家族
4自殺する幼児
5光
6悲哀
7少年犯罪団
8未来
9朝鮮人
10革命
11言葉の専門家
12歯
13傷洗い
14結婚
15大洪水後
解説
年譜