遠い山なみの光
IshiguroKazuo/小野寺健
2025-06-02
早川書房 ハヤカワepi文庫
戦後の長崎、女たちは懸命に生きた。どんな明日が待っていたとしてもーー。
ノーベル賞作家イシグロが出生地・長崎を舞台に書き上げたデビュー作!
文芸評論家・三宅香帆による解説を付した新版
イギリスで暮らす悦子は、娘の自殺に直面した喪失感のなか、故郷の日々に思いを馳せる。戦後の長崎、復興しつつある街で、彼女は佐知子に出会った。娘を一人で育て、男と渡米する夢にすがる佐知子は、現実的な悦子とは対照的に見えた。だが回想するうち、悦子の記憶は揺らぎ、不穏の色を濃くしていく。時代に翻弄されながら自らの道を生きる人々の姿を描いたイシグロのデビュー作。映画化原作。
解説/池澤夏樹、三宅香帆
「カズオ・イシグロが故郷を描くとき、そこにあるのはいつも、後悔と喪失の記憶である。美しい故郷とは、それが美しければ美しいほど、美しさを見出したいくらい後悔した記憶を抱えている。そういうことについて、書いた小説である」 --三宅香帆(文芸評論家、本書「解説」より)