椎名誠『銀天公社の偽月』レビュー

書誌情報

椎名誠『銀天公社の偽月』表紙
銀天公社の偽月ぎんてんこうしゃのにせづき
2006/09
NDC:913 | 文学>日本文学>小説 物語
目次:滑騙の夜 / 銀天公社の偽月 / 爪と咆哮 (ほか)

レビュー

『武装島田倉庫』の嫡男はこいつだった。荒廃した世界をうごめく男たちを偽月が優しく照らす。脂雨の滑りが肌から取れない連作短編集。サイバーな匂いさえシーナワールドのなかでは自然物として定着してて。いいね。
読了:2006/12/03

長めの感想

椎名誠『銀天公社の偽月』いいですね。久しぶりに力の入った超常小説でしびれました。こういうのがあるから麺だ麺だとウハウハしてても見限れません。

『アド・バード』『水域』『武装島田倉庫』のすばらしき三部作以降、その世界観を再現させた作品はときどき出ていたし、つい最近の『砲艦銀鼠号』もありましたけど、少なからず残念な思いをしてたんですよね。あの三部作のようなディープさにはもう会えないんだなって。

そういう意味においては『銀天公社の偽月』、なかなかのクオリティですよ。一番最後の短編でややずっこけるんだけれども、全体的にハードでダークな世界。タイトルも装丁も決まってます。60歳超えててこれが書けるんだったらもう少し期待しててもいいかな。

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