信長の安土城に彦根城、年始城めぐり旅

行程

[愛知・滋賀/彦根、安土] 正月帰省の復路で立ち寄ったお城のレポート。国宝彦根城からいまだ発掘の続く安土城へ向かいます。「ひこにゃん」がブームになるのはもうちょっと後です。
「信長の安土城に彦根城、年始城めぐり旅」地図
2007-01-05
七尾―彦根
2007-01-06
彦根―安土―名古屋
2007-01-07
名古屋―東京

旅行記

2007-01-05(1日目/金曜日)
なんとなく彦根に向かって

青春18切符で鈍行の旅とすると、当たり前ですがどうしても移動に時間が掛かることになります。もちろん移り変わる景色を眺めて列車に揺られていること自体が好きなんですが、何が目的なのか分からなくなることはよくあって。大概、列車に乗るために来たんじゃないんだよな、と思って途中下車することになるんですが、この日は郷里の七尾から彦根まで、ほとんどどこにも寄らずに行きました。

なぜ彦根を目指したのかは分かりません。往路で城に寄ったので、帰りも城にしてしまえとでも思ったんでしょうか(自問)。

この日の彦根は駅前のホテルで宿をとったのみで、観光は明日。

2007-01-06(2日目/土曜日)
彦根から安土、信長の足跡

彦根城
彦根城

彦根。幕末の大老井伊直弼に連なる井伊家の居城、彦根城を中心として広がる街です。彦根城を訪れると、築城400年を記念した行事に向け整備が行われていました。姫路城や松本城には及ばないなと感じてしまいますが、国宝の天守はもちろんのこと美しいものです。

展示点数が多すぎて、出てきたときにはもう何があったか思い出せない彦根城博物館を見学した後、天守閣へ向かいます。履物は袋に入れて持って上がれという仕様なんですが、彦根城の階段はほとんど垂直の急角度に誂えられていまして、靴で片手が塞がっていたらころげ落ちる老人が続出するのではないかと心配です。古い天守の階段が急なのは珍しくはなく、安全を確保するため両手はフリーにさせるべきで、そんな方法を考えてほしいものです。

そんないらない心配および行政不信を抱えながら最上階へ。眼下に見渡せる琵琶湖は風雅なものでした。波を割って船が進むのが見えます。また天守を下りた後、庭園・玄宮園から見上げる眺めも充分な風格なもの。

安土城の天主は夢の跡
安土城の天主は夢の跡

午後には安土へ足を延ばしました。駅から田園の間を抜ける農道をのんびりと歩き、安土城跡へ。

ここは言わずと知れた信長最後の居城。近代城郭建築の先駆けとなったものの、完成後まもなく本能寺に落ちることになる夢の跡、です。最近は何か信長に縁がある気がしてやってきました。家康に呼ばれたり信長に呼ばれたり忙しいわたくし。

城域は一定程度整備が進んでいますが、まだ発掘調査中で重機が入ったりしています。石段を息を切らして登り、途中、信長の墓に手を合わせてから天主台跡へ。天主はなく、礎石だけが往時を偲ばせる静かな空間。

摠見寺三重の塔には可愛い鬼瓦
摠見寺三重の塔には可愛い鬼瓦

安土城の西峰には摠見寺があります。信長が建立した寺で、まるで城郭の一部のようにそこにあります。

比叡山焼き討ちや一向宗との対峙など仏教を敵視したイメージも信長にはありますが、仏教そのものを弾圧したわけではなくて。「兵力」あるいは「勢力」として増長するのを牽制しただけなのですよね。宗教が力を握るのを危険視しただけという。居城のそばに寺を招聘したことを見るとそんな風にも思えます。もちろんそれは良し悪しではなく、「利用できるものを利用できる形にした」ということなんでしょうけれど。

知ったようなことを考慮なく書いてしまってますが、重要文化財の三重の塔に据えられていた愛らしい鬼瓦に免じて許してください。本堂は残っていませんが、この三重の塔は当時の姿を残すもの。大正時代に突然倒壊して建て直したそうです。

安土城を再現する信長の館
安土城を再現する信長の館

すこし歩いて「安土城考古博物館」へ。

安土城考古博物館では考古史料に、戦国時代の近江の様子を展示しています。当時は湖が安土山麓を取り囲んでいて、岬のなかの城であった様子などが目に見えるのは、想像を掻き立てて楽しいものでした。

安土城考古博物館の正面に立つ信長の館では、安土城天主の5階・6階部分を原寸で再現したものが見られます。建物のなかに建物。きらびやかな装飾で絢爛豪華。金箔が目に痛い。

1992年にスペインで行われた万博に出されたものです。自らの権勢を示すランドマークとして、信長が喜んだことは想像に難くないものですが、これを日本文化代表として万博に出展すると、日本文化ってなんだろう?になりますね。

再び田圃のなかを歩いて列車に乗り、名古屋まで出て宿泊します。

2007-01-07(3日目/日曜日)
雨だったから名古屋は楽しめず

城めぐりの最後は名古屋、名古屋城で締めようかとも思ったんですが、朝起きてみたらどしゃぶりになってました。雨の中を歩き回る気にはなれず、新幹線に乗ってまっすぐ東京まで帰ることにしました。(了)