山田太一『冬の蜃気楼』

書誌情報

  • 冬の蜃気楼ふゆ の しんきろう
    山田太一やまだたいち
    2013-04-05
    小学館 小学館文庫
    一九五八年、東京郊外にある映画撮影所から物語は始まる。大学を出たばかりの二十二歳の助監督石田の前に現れた下手な中年役者羽柴、そして巨匠が監督する映画「一葉」の主演女優・十六歳の美少女瑠美。青年は少女の無垢な美しさに心を奪われ、奇妙な中年役者の言動にもてあそばれる。最盛期を過ぎたとはいえまだまだ活気に満ちていた撮影現場と、二人に翻弄される若き助監督の姿がリアルに立ち上がる。そして三十三年後という最終章には、謎に満ちた再会の夜が待ち受けている。甘美で残酷な青春を、“時”の迷宮のなかに描いた傑作長篇小説。

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