傍らにいた人
堀江敏幸
2018-11-05
日本経済新聞出版社
■堀江敏幸氏による、読書をめぐるエッセイ集。
■日経新聞土曜朝刊の連載随想が、待望の単行本化!
堀江敏幸さんがなれ親しんできた書物の頁の風景の中で、なにかの拍子によみがえってくる人の姿。「たいていはだれもが知っている人物の傍らの、淡い接触をしただけの存在で、顔の輪郭がはっきりしていないことさえあるのだが、思い出したらそのまま忘れて終わりというわけではなく、何年か経つと、べつの角度で刺激された記憶の片隅から、また不意にあらわれたりする。」「私は実際に、思い出されてはじめて、なるほどその折の景色のなかに目立たない見えない傍点が打たれていたのだと気づかされるような影たちと、何度も遭遇してきた。」--文芸作品の楽しみ、それは細部につまづくこと。「読む」ことをめぐる52篇。
傍点のある風景ーー國木田独歩「忘れえぬ人々」
ふたつの黒い影ーー安岡章太郎「夕陽の河岸」
洗面器に入れて運ぶーー井伏鱒二「鯉」
ハトロン紙の謝罪文ーー井伏鱒二「スガレ追ひ」
乾いた言葉の粒でーーマルセル・ムルージ『涙』『エンリコ』
心に礫を浴びた傷としてーー瀧井孝作「父」(上)
顔がとれさうなほどの哀しみーー瀧井孝作「父」(下)
悲しみを運んで歩くーー佐多稲子「水」
ほか全52篇