遙かな都
池澤夏樹
2026-01-15
作品社
★作品社公式noteで「序」公開中→「遙かな都 試し読み」で検索!
海の彼方に揺らぐ幻影の年の二千数百年の歴史と文化を巡って遊歩する、文化史的物見遊山。
附:E・M・フォースター『ファロスとファリロン』池澤夏樹訳
書物の中と博物館の遺物の間にしかない幻影、世界史と呼ばれる集合的記憶のほんの一部で、移り住むことのできない空中楼閣の都――アレクサンドリア
《アレクサンドリア。紀元前三世紀にアフリカの地中海岸に造営されたこの都は二千数百年に亘って支配する民族を次々に替えながら繁栄し、一九五二年に至って本来の主人であるべきエジプト人の手に渡った。/それまでの間、文化的なものはすべて地中海の北岸からあるいは東のアラビア半島からやってきて、エジプト人はただ住民に穀物を供することだけを求められた。/だから、エジプト革命で都市の相貌はすっかり変わり、それ以前の姿は文学の中にしか残らなかった。華麗で壮大な、言葉だけで築かれた大厦高楼の集合。古代の詩人や思想家に始まって近代ギリシャ語の詩人K・P・カヴァフィス、イギリス人であるE・M・フォースターとロレンス・ダレルの作品群。/ぼくは若い時にこの文学の都市に出会って夢中になり、いくつかの文章を書き、翻訳もした。気がつけばこれが相当な量になる。そこでこれを一巻に纏めようと思い立った。》――本書「はじめに」より
*
【目次】
はじめに
Ⅰ アレクサンドリア小史
Ⅱ アレクサンドリアを巡って――『アレクサンドリアの風』と『アレクサンドリア四重奏』
Ⅲ E・M・フォースター『ファロスとファリロン』 池澤夏樹訳
初出一覧
はじめに
Ⅰ アレクサンドリア小史
序
Ⅰ 動く宮殿のような柩車
Ⅱ 腫れあがった打ち身の灰いろ
Ⅲ 一般埃乃[エジプト]人の魯鈍に至りては
Ⅳ クレオパトラ・フィロパトール・フィラデルフス・フィロパトリスまで
Ⅴ しかしそれは暖かい詩的な日のことで……
Ⅵ 限りなく口論を続ける肥った鳥ども
Ⅶ 科学の諸分野を正しく関係づける体系の存在
Ⅷ 水売りが泉の歌をうたい、荷車の車軸のきしみが……
Ⅸ あまりに遠い神までの距離 その一
Ⅹ あまりに遠い神までの距離 その二
Ⅺ 針の穴から息をしているようだ
Ⅱ アレクサンドリアを巡って――『アレクサンドリアの風』と『アレクサンドリア四重奏』
この都市の二つの像――あるいはオリエンタリズムの練習問題
都市と恋情
虚構の国際都市に浮かぶ美しい蜃気楼――ロレンス・ダレル『アレクサンドリア四重奏Ⅰ ジュスティーヌ』
魅力的な都市の楽しいエッセー――ダニエル・ロンドー『アレクサンドリア』
Ⅲ E・M・フォースター『ファロスとファリロン』 池澤夏樹訳
序
ファロス
ファロス
シワから戻ったあと
顕現
フィロンの小旅行
アレクサンドリアのクレメンス
聖アタナシウス
猫のテモテと白頭巾のテモテ
ファリロン
イライザ、エジプトに行く
外から見た綿花
阿片窟
寂しい場所
太陽と月の間
K・P ・カヴァフィスの詩
結論
訳者解題
初出一覧